人材開発・教育

2024.08.20

ヒューマンスキルとは?注目される背景や向上させるメリット、構成要素などを解説

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ヒューマンスキルとは?注目される背景や向上させるメリット、構成要素などを解説

ビジネスにおけるヒューマンスキルは、組織の競争力向上に欠かせない要素です。優秀な人材を獲得し、イノベーションを起こすには、社員のヒューマンスキルを磨き、活かすことが不可欠でしょう。 そこで本記事では、ビジネスにおけるヒューマンスキルの重要性を具体的に解説し、その構成要素について詳しく掘り下げていきます。ヒューマンスキルをマネジメントに活かしたい方は、ぜひ参考にしてください。

ヒューマンスキルとは?定義と重要性

ビジネスにおけるヒューマンスキルについて、以下のとおり解説します。

  • マネージャー層にとって重要なスキル
  • 人材育成や人事評価に導入
  • ヒューマンスキルの課題

それぞれ詳しく見ていきましょう。

マネージャー層にとって重要なスキル

ヒューマンスキルの重要性を最初に提唱したのは、アメリカの経済学者であるロバート・L・カッツ氏です。彼は、マネジメント層に必要な能力を体系的に整理し、3つに分類しました。それが以下のとおりです。

  1. テクニカルスキル:業務遂行に必要な専門知識や能力
  2. ヒューマンスキル:人間関係を円滑に築き、チームをまとめる能力
  3. コンセプチュアルスキル:抽象的な概念を理解し、組織全体を見渡して戦略を策定する能力

これらのスキルは、組織内で育成され、組織の成功に寄与するとされています。

カッツが提唱した3つのスキルのうち、マネージャー層にとって特に重要なのがヒューマンスキルといわれています。ヒューマンスキルは、対人関係能力ともいわれ、職務遂行のために重要なコミュニケーション能力や交渉力を指します。ヒューマンスキルの具体的な内容は、優れたコミュニケーション能力、リーダーシップ、問題解決能力、プレゼンテーション能力、傾聴力などです。

人材育成や人事評価に導入

近年、多くの企業では、ヒューマンスキルの重要性を認識し、人材育成や人事評価に導入する動きが活発化しています。 具体的には、以下のような取り組みが行われています。

  • コミュニケーション研修
  • リーダーシップ研修
  • チームワーク研修
  • メンター制度
  • ジョブローテーション制度

各自のヒューマンスキルを把握しておくことで、効果的な人事配置に役立ちます。

ヒューマンスキルの課題

ヒューマンスキルは、あくまでもフレームワークであり、すべてのマネージャーが能力を均等に持っているわけではありません。また、時代背景によって求められる能力も変化します。

ヒューマンスキルは定量化しにくく、習得に時間がかかるため、評価や育成が難しいという課題があります。また、個人の性格や価値観によっても大きく左右され、画一的な指導では効果が出にくいといった側面もあるのです。ただ、ヒューマンスキルの育成が組織の活性化や業績向上につながるため、今後ますます重要性を増していくでしょう。

ヒューマンスキルが注目される背景

ヒューマンスキルが注目される背景について、以下の4つを紹介します。

  • 激変する社会へ適応するため
  • AIが代替できない部分をカバーするため
  • 個人とチームを成長させるため
  • 人材育成への意識の高まりがあるため

それぞれ詳しく見ていきましょう。

激変する社会へ適応するため

私たちは、グローバル化、価値観の多様化など激変の時代に直面しています。先行きが不透明で、将来の予測が困難な状況ともいえるでしょう。

VUCA(ブーカ)時代ともよばれ、生き残るためには、情報収集力や意思決定力などのヒューマンスキルが重要です。VUCA(ブーカ)とは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の4つの単語の頭文字をとった言葉で、目まぐるしく変転する予測困難な状況を意味します。

ヒューマンスキルは、予想不可能な状態に直面しても、適切に対処できる能力です。これからの不確実な社会へ対抗するには、必須な能力といえるでしょう。

AIが代替できない部分をカバーするため

AIやロボットは、近年目覚ましい進化を遂げており、多くの業務を自動化できるようになりました。しかし、創造性や共感力、倫理的な判断など、人間特有の能力を必要とする仕事はまだ多く残されています。こうしたAIが代替できない部分をカバーするのがヒューマンスキルです。

独創的なアイデアや新しい価値を創造する能力はAIにはありません。また、相手の気持ちに共感し、理解する能力もAIやロボットには欠けているといわれています。それに付随して、倫理的な観点から正しい判断を下し、決定に責任を持つのもヒューマンスキルの領域です。

個人とチームを成長させるため

ヒューマンスキルは、個人の成長とチームの成長を両立させるための重要な要素です。個人の成長に関しては、自分の強みや弱みを理解し、自己研鑽するのに役立ちます。チームにおいては、メンバー間のコミュニケーション円滑化やチームワークの強化に欠かせません。

具体的には、以下のような効果が期待できます。

  • モチベーションの向上
  • イノベーションの創出
  • 顧客満足度の向上

自分の能力を発揮できる環境で働くことで、モチベーションが高まります。また、異なる視点を持つメンバーが協力しつつアイデアを交換することで、イノベーションが生まれやすくなるでしょう。顧客のニーズの理解や共感は、顧客満足度の高いサービス提供につながります。

人材育成への意識の高まりがあるため

近年、企業における人材育成への意識が高まっており、従来のテクニカルスキルの育成に加え、ヒューマンスキルの育成も重要視されるようになりました。 その背景には、以下のような理由が挙げられます。 優秀な人材の獲得競争の激化 人材の定着率向上 組織の活性化 豊富なスキルアップ研修がある企業は、自己研鑽に積極的で優秀な人にとって魅力的です。また、ヒューマンスキルが高い組織は、モチベーションも高く、人材の定着率向上にもつながります。やりがいを感じながら働ければ、離職率低減にもつながるでしょう。 さらに、ヒューマンスキルを備えた人材が増えることで、組織全体のコミュニケーションが活性化し、創造性やイノベーションが生まれやすくなります。

ヒューマンスキルを向上させるメリット

ヒューマンスキルを向上させるメリットを具体的に解説します。

  • 社員のエンゲージメントと生産性の向上
  • 顧客満足度と売上アップ
  • 人材の育成と定着率向上
  • 企業イメージの向上
  • リスクマネジメント

それぞれ詳しく見ていきましょう。

社員のエンゲージメントと生産性の向上

ヒューマンスキルを身につけた社員は、仕事にやりがいを感じ、高いモチベーションで働きます。また、周囲と協力し、問題を解決する能力にも優れているため、生産性の向上も期待できます。

ほかにも、以下のような効果が期待できるでしょう。

  • 離職率の低下
  • 欠勤率の低下
  • 業務効率の向上

働きがいのある職場環境であれば、離職率や欠勤率の低減につながります。また、円滑なコミュニケーションやチームワークによって、業務効率の向上も期待できるでしょう。

顧客満足度と売上のアップ

ヒューマンスキルが高い社員は、顧客のニーズを的確に理解し、共感を持って対応できます。そのため、顧客満足度が向上し、売上アップにつながるでしょう。

具体的には、以下のような効果が期待できます。

  • 顧客離れの防止
  • 顧客単価の向上
  • リピート率の向上

顧客との良好な関係を築くことで、顧客離れ防止につながります。 それ以外にも、顧客単価アップやリピート率アップにも貢献してくれるでしょう。

人材の育成と定着率向上

ヒューマンスキルを向上させるための育成プログラムを導入することで、社員の成長を促し、定着率を向上させられます。

具体的には、以下のような効果が期待できます。

  • 潜在能力の引き出し
  • 後継者育成
  • 組織力の強化

社員の潜在能力を引き出すことで、新たな力を発揮できる人材に育成できます。その人材が将来のリーダーとなるだけでなく、組織全体が強化されるでしょう。

企業イメージの向上

ヒューマンスキルが高い社員は、誠実で責任感があり、倫理的な行動を取れます。こうした社員が多くいる企業は、社会から高い評価を得ることができ、企業イメージ向上につながるでしょう。

具体的には、以下のような効果が期待できます。

  • 採用活動の強化
  • 顧客からの信頼獲得
  • 社会貢献

企業イメージが向上することで、優秀な人材を採用しやすくなります。また、顧客からの信頼を獲得できるだけでなく、社会貢献できる企業としてイメージ定着に期待できるでしょう。

リスクマネジメント

低いコミュニケーション能力は、人間関係の悪化やトラブルに発展しやすいといったリスクがあります。一方、ヒューマンスキルが高い社員は、リスクを事前に察知し、適切な対応を取れます。

具体的には、以下のような効果が期待できます。

  • コンプライアンス違反の防止
  • ハラスメントの防止
  • 事故の防止

倫理的な判断によって、コンプライアンス違反を未然に防止できるでしょう。また、コミュニケーション能力や共感力によって、ハラスメントも防止できます。高い 安全意識があれば、事故も未然に防止できるでしょう。

ヒューマンスキルの構成要素と具体的な習得方法

ロバート・カッツが提唱するヒューマンスキルにおいて、重要な7つの能力について解説します。

  • リーダーシップ
  • コミュニケーション能力
  • 問題解決能力
  • プレゼンテーション能力
  • コーチング能力
  • ヒアリング能力
  • 向上心

具体的な習得方法についても紹介するので、参考にしてください。

1.リーダーシップ

リーダーシップは、チームを導き、目標達成へ導く力です。メンバーの意見に耳を傾け、尊重するだけでなく、責任を持って行動し、模範を示します。困難な状況に陥っても、冷静さを保ちつつ、判断を下すことも必要です。

リーダーシップの習得方法としては、以下のようなものがあります。

  • リーダーシップ研修に参加する
  • メンターを見つける
  • 積極的にリーダー役を務める
  • リーダーシップに関する書籍を読む

育成のためには、研修やリーダーシップの経験を積む機会を提供しましょう。

2.コミュニケーション能力

コミュニケーション能力は、わかりやすく正確に情報を伝達する力です。積極的に人と話す機会を増やすことで育まれます。 コミュニケーション能力の習得方法としては、以下のようなものがあります。

  • 相手の話をよく聞き、共感を示す
  • 自分の意見を明確に伝える
  • 非言語コミュニケーションにも気を配る
  • 自分の言葉遣いや態度に注意する

積極的に話すだけでなく、相手への共感力も重要です。ケーススタディなどで、それぞれの立場に必要なコミュニケーション方法を学んでもらいましょう。

3.問題解決能力

問題解決能力は、論理的に考え、課題を克服する力です。問題を分析し、原因を特定する必要があります。また、複数の解決策を検討し、最善の策を選ばなければいけません。

問題解決能力の習得方法としては、以下のようなものがあります。

  • フレームワークを活用する
  • 過去の失敗事例から学ぶ

トラブル事例と解決策事例を知ることで、問題解決能力はブラッシュアップできるでしょう。

4.プレゼンテーション能力

プレゼンテーション能力は、相手に分かりやすく情報を伝える力です。聴衆のニーズを理解し、それに合った内容を準備する必要があります。

プレゼンテーション能力の習得方法としては、以下のようなものがあります。

  • スライドなど視覚資料を活用する
  • プレゼンテーションツールを使いこなす
  • ストーリーテリングを活用する
  • 練習を重ねる

プレゼンテーション能力は訓練によって向上します。わかりやすく簡潔に話す、自信を持って話すなど、練習を重ねることで改善していきましょう。スライド作成に関しては、AI補助などを活用すると時間を短縮できるでしょう。

5.コーチング能力

コーチング能力は、相手の中にある「やる気や能力」「アイデアや可能性」「行動力」などを引き出し、自発性を促すコミュニケーションスキルです。

コーチング能力の習得方法としては、以下のようなものがあります。

  • 自分自身でコーチングを受けてみる
  • セミナーや講座で学ぶ
  • 身近な人を相手に練習する

コーチングも訓練によって向上するスキルです。意識的に研鑽の機会を作りましょう。

6.ヒアリング能力

ビジネスシーンにおけるヒアリング能力は、相手の要望や意見、意向などを聞き取るスキルです。真のニーズを引き出すために重要です。

ヒアリング能力の習得方法としては、以下のようなものがあります。

  • 質問を効果的に活用する
  • 自分の意見を述べない
  • 相手の気持ちに共感する
  • うなずきや相槌を打つ

効果を高めるために、事前に情報収集をする、相手に確認を取りながら聞くなどのテクニックがあります。研修などでヒアリングの練習をするのも効果的でしょう。

7.向上心

向上心は、常に学び続け、自分の成長を追い求める意欲です。新しいことに興味を持つ好奇心や失敗を恐れずに挑戦する勇気なども向上心といえます。

部下やチームメンバーの向上心を上げるための工夫として、以下のようなものがあります。

  • 積極的に学ぶ機会を作る
  • 目標を決めさせる
  • 意識的に褒める

向上心を刺激するには、読書会やセミナーを定期的に開催し、啓発活動を続けることが重要です。成長を応援している雰囲気や環境づくりなどでサポートしましょう。

まとめ

ヒューマンスキルは、意識的にトレーニングすることで向上できます。具体的な習得方法としては、研修に参加する、書籍を読むなどです。企業は、社員のヒューマンスキルを向上させる支援体制を整備しましょう。社員のヒューマンスキル向上は、組織全体の競争力を高め、持続的な成長に貢献します。

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