人事戦略
2024.08.20
人事の仕事とはどんなことをする?業務や役割、必要なスキルをわかりやすく解説
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企業の成長のためには、優秀な人材を獲得するだけでなく、その能力を最大限に発揮できる環境を整えることが不可欠です。人事部は、まさにその実現に向けて尽力する部署と言えるでしょう。「人材」という重要な経営資源を管理し、育成する役割を担っています。 しかし「人事の仕事って具体的にどんなことをするの?」 と疑問を抱く方も少なくありません。そこで今回は、人事の仕事内容を6つの柱に分類し、それぞれの業務内容を詳しく解説します。さらに、人事の役割や必要なスキルについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
人事の仕事内容
人事の仕事内容は、大きく分けて以下の6つに分類されます。
- 人事企画
- 人材採用
- 人材育成
- 人事評価
- 制度・環境整備
- 労務管理
それぞれ詳しく見ていきましょう。
人事企画
人事企画は、企業が掲げる経営戦略を実現するために、人材に関する計画を策定する仕事です。具体的には、以下の業務を行います。
- 人材管理と配置
- 採用方針の決定
まず、社員の能力を把握し、スキルを活かせる最適な部署やポジションに配置します。社員の強みを生かすためには、それぞれの能力の把握が重要です。また、企業の経営戦略に合わせて、必要なスキルを持つ人材を分析し、採用方針や採用活動の内容を決定します。
人材採用
企業に必要な人材を見つけ、採用する仕事です。具体的には、以下のような業務を行います。
- 採用計画の立案
- 求人広告の制作・掲載
- 採用選考の実施
- 内定者の入社手続き
- 入社後のフォローアップ
どの部署にどのくらいの新規人員が必要かを評価し、採用可能な時期や退職人数を考慮したうえで採用人数や採用時期を決定します。採用計画ができたら、適した手法や予算の確認が必要です。次に、決められた予算内で効果的な採用方法を選択し、求人広告を製作して掲載します。採用選考では、書類選考・面接・グループディスカッションなどを適切に組み合わせて進めていきます。
人材育成
採用した人材に対して、企業が必要とする能力やスキルを得られるよう教育する仕事です。具体的には、以下のような業務を行います。
- 新入社員研修の実施
- OJT・OFF-JT研修の企画・運営
- 社内研修プログラムの企画・運営
- キャリア開発支援
- 外部研修の選定・受講
人材教育は、組織の成長と成功に不可欠です。各社員のキャリアパスを明確にし、昇進やスキルアップの道筋を設けます。ニーズに合わせて研修プログラムを設計し、社員が目指す方向性も示します。個別の社員に対して、目標設定やスキル向上のアドバイスをするのも人材育成の一環です。
人事評価
人事評価は、社員の能力や貢献度を評価する仕事です。具体的には、以下のような業務を行います。
- 人事評価制度の導入・運用
- パフォーマンスマネジメントの実施
- フィードバックの実施
- 昇進・昇格の審査
- 給与・賞与の決定
人事評価制度は、等級制度・評価制度・報酬制度の3つの機能から成り立っています。それぞれ公平性を保ちつつ、社員のモチベーションを維持することが重要です。
制度・環境整備
社員が働きやすい環境や制度を整える仕事です。具体的には以下のような業務を行います。
- 労働規則の作成・改定
- 福利厚生制度の設計・運用
- 労働環境の改善
- ダイバーシティ・インクルージョンの推進
ダイバーシティ・インクルージョンとは、多様な人材を活かし、その能力を発揮できるようにする取り組みです。性別、年齢、障がいの有無、国籍など異なるバックグラウンドの人々が平等に所属している状態を指します。人事部は、そのための労働規則や労働環境の改善への取り組みも担います。
労務管理
社会保険の手続きや給与計算、労働災害対策など社員の労務に関する事務処理をする仕事です。具体的には以下のような業務を行います。
- 社会保険の手続き
- 基本給の決定
- 給与計算
- 昇進・昇給に伴う待遇の変更
- 労働災害対策
- 出退勤管理
- 労働基準法の遵守
ほかにも社員の健康やハラスメント対策なども人事の仕事です。社員の生産性向上のために、安心して働ける環境整備全般を担います。
人事の役割
人事の仕事は上記で紹介したように多岐に渡ります。売上アップに直接的な影響力はありませんが、内部組織を整え企業の成長に寄与する仕事ばかりです。
その主な役割は、以下の3つです。
- 人材戦略の立案・実行
- 社員のエンゲージメント向上
- 法令遵守
それぞれ詳しく見ていきましょう。
人材戦略の立案・実行
人事部門は、近年では単なる事務処理を行う部署から脱却し、経営パートナーとして経営戦略に深く関わるようになってきました。企業の経営戦略に基づき、必要な人材を確保・育成・活用します。その中心的な仕事は、採用に関する業務です。企業のビジョンや事業計画に基づき、以下のような施策を立案・実行します。
- 採用活動
- 教育・研修
- 人事異動
- 人事考課・評価
優秀な人材を採用し、企業の競争力に貢献する重要な役割です。このようなトレンドを踏まえ、近年では「戦略人事」と呼ばれることも増えています。
社員のエンゲージメント向上
社員のエンゲージメントが高ければ高いほど、生産性や創造性が向上し、さらには離職率も低下するといわれています。社員のエンゲージメントとは、仕事に対する意欲や熱意のことです。人事部は、社員がモチベーション高く働けるよう、働きやすい環境を整備する役割を担っています。
具体的には以下のような施策があります。
- ワークライフバランスの推進
- テレワーク制度の導入
- ダイバーシティの尊重
- 社員同士の交流会の企画
- 研修制度の充実
- キャリアプランニングのサポート
- 報酬制度の見直し
社員のエンゲージメント向上は企業にとって大きな競争力となるでしょう。
法令遵守
企業は、労働基準法をはじめとする各種法令を遵守しなければなりません。人事部は、企業の社会的責任を果たし、法律違反のリスクを回避する役割も担っています。
具体的には以下のような業務を行います。
- 労務管理に関する法令の調査・把握
- 社内の労務管理体制に法令を反映
- 法令遵守のための教育
- 相談窓口の設置
- 内部監査の実施
法令遵守は、企業にとって当然の義務であり、社会的信用を守るために重要です。
人事担当者に必要なスキル
人事の仕事には、幅広い知識とスキルが必要です。
具体的には、以下のようなスキルが求められます。
- コミュニケーション能力
- 情報収集力・分析力
- 企画力と進捗管理能力
- 問題解決能力
- 法令・制度に関する知識
それぞれ詳しく見ていきましょう。
コミュニケーション能力
人事部は、経営層・社員・求職者など、さまざまな立場の人々と関わる仕事です。そのため円滑なコミュニケーション能力が必要不可欠です。コミュニケーション能力とは、相手の話をよく聞く傾聴力、相手の意図を正確に把握するための質問力、自分の考えをわかりやすく伝える表現力などを指します。企画内容を効果的にプレゼンテーションする能力も必要です。
情報収集力・分析力
人事戦略の立案や実行のためには、常に最新のデータや情報を収集しなければなりません。また、その情報を分析し、課題を抽出する力も重要です。具体的には以下のような情報収集や分析方法があります。 従業員アンケート 業界動向調査 転職市場調査 競合企業の人事制度の分析 自社の課題を抽出 収集した情報を分析し、それを人事戦略の立案や改善に役立てます。
企画力と進捗管理能力
人事部は、採用イベントなどの企画業務を担当します。企画力とは、課題解決のために具体的な施策を考え出す能力です。また、企画実行のための進捗管理も重要です。進捗管理能力は、タスク管理・スケジュール管理・リスク管理など多岐に渡ります。人事部内のみならず、各部署の意見やスケジュールを確認し、日程調整するなどの調整力も必要でしょう。
問題解決能力
予期せぬ問題が発生した際、迅速かつ的確に解決する能力が求められます。問題を論理的に分析し、原因を特定する能力や、複数の選択肢から最適な解決策を選択する意思決定力なども必要です。 人事部が直面する問題の具体的な例として、以下のようなものがあります。 応募者不足 人材定着の難しさ 育成リソースの不足 評価制度の形骸化 人材データの活用不足 適材適所の人事配置には人材データの把握が重要です。しかし活用できていない企業が多く、データの一元管理やタレントマネジメントシステムの活用などが求められます。
法令・制度に関する知識
企業は、労働基準法をはじめとする各種法令・制度を遵守しなければなりません。人事部が把握しておくべき法令には以下のようなものがあります。
労働基準法:労働時間・休憩時間・賃金・休暇などに関する基本的ルール
労働契約法:労働契約の締結・変更・解雇などに関するルール
男女雇用機会均等法:男女差別の禁止・雇用機会均等を促進するためのルール
労働安全衛生法:労働災害を防止するためのルール
人事部は、労働契約や労働災害防止など、法令や制度に対応しなければならない場面が少なくありません。そのため法令や制度に精通しておく必要があります。また、最新の人事制度や労務管理に関する知識へのキャッチアップも重要です。
まとめ
人事部は、採用や評価だけでなく、経営戦略に深くかかわる重要部門となっています。そのため、人事部で活躍するためには、コミュニケーション能力、情報収集力、分析力、問題解決能力など多くのスキルが必要です。人材をいかに適材適所で配置するかも企業成長に大きく影響します。人事の仕事は、あまりにも多岐に渡るため、属人化させず、テクノロジーを活用しつつ効率的に業務を推進しましょう