人材開発・教育
2024.12.19
指示待ち人間になってしまう心理的原因とは|自発的に社員が行動する改善tips
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「指示待ち人間」という言葉は、現代の職場においてよく耳にするようになりました。社員が自ら考え、行動することを期待される一方で、指示を待つだけの姿勢が見られるケースは少なくありません。なぜ、人は指示待ちになってしまうのでしょうか?そして、組織全体で自発的な行動を促すには、どのような対策が有効なのでしょうか。
本記事では、指示待ち人間になってしまう心理的な原因を深く掘り下げ、組織活性化のために人事関係者が取り組むべき改善策を具体的な事例を交えてご紹介します。
指示待ち人間になる心理的原因とは
指示待ち人間になる大きな要因として以下の5つを紹介します。
- 失敗が怖い
- 優柔不断で決断力がない
- 責任を負いたくない
- 仕事にやりがいを感じていない
- 無関心
それぞれ詳しく見ていきましょう。
失敗が怖い
指示待ち人間は、失敗することを極端に恐れる傾向があります。新しい仕事や未知の領域に飛び込むことに抵抗があり、失敗によって周囲から非難されたり、信頼を失ったりするのではないかと不安を感じているのです。そのため、事前に指示確認を何度もし、少しでもリスクを減らそうとする行動に出てしまいます。
優柔不断で決断力がない
指示待ち人間は、多くの場合、優柔不断で決断力に欠ける傾向があります。自分自身で判断するのが苦手で、常に誰かの指示を仰ぎたくなってしまうのです。選択肢が複数ある場合、どれを選ぶべきか決められず、なかなか前に進めず、、判断を先延ばしにしてしまうのです。
責任を負いたくない
指示待ち人間の中には、責任を負うことを極端に恐れている人もいます。自分の判断が間違っていた場合、責任を問われたり、非難されたりするのではないかと不安を感じるのです。そのため、大きな責任を伴う仕事であればあるほどは、積極的に行動せず、指示を待つ方が安全だと考えてしまいます。
仕事にやりがいを感じていない
仕事にやりがいを感じていない場合、指示待ち人間になりやすい傾向があります。仕事へのモチベーションが低いと、自ら進んで行動するよりも指示を待つ方が楽だと感じるからです。自分がどのような仕事をしているのか、その仕事が社会にどのような貢献をしているのかなど、仕事の意味や価値を認識していないためです。
無関心
指示待ち人間の中には、周囲の状況や仕事内容に無関心な人もいます。興味や関心がなければ、自ら行動する意欲も湧きません。仕事内容や会社の状況、業界トレンドなどに目を向け、関心を持たせることが必要でしょう。
指示待ち人間が生まれる環境的要因とは
指示待ち人間は、個人の心理的な要因だけでなく、組織や職場環境といった外的要因によっても生まれます。ここでは、組織や上司の行動が、指示待ち人間を生み出してしまう要因について解説します。
上司が仕事を任せない
上司が部下に仕事を任せず、常に指示を出してしまう場合、部下は指示待ち人間になりがちです。自分自身で考えて行動しなくても、上司のやることに従っていれば済むからです。これは、上司が部下の能力を過小評価しているのではなく、部下の失敗の責任を負いたくないという気持ちに起因しています。しかし、部下を成長させるためには、ある程度の権限と責任を委ねなければなりません。上司は、部下の能力や経験に応じて、少しずつ責任のある仕事を任せるようにしましょう。また、部下が積極的に行動できるように、適切なサポートや指導を提供することも重要です。
上司が高圧的で完璧主義
上司が高圧的で完璧主義な場合、部下は指示待ち人間になりやすい傾向があります。上司の期待に応えようと、常に指示を仰ぎ、確認を求めてしまうからです。間違いが許されない雰囲気から、少しのミスでも厳しく叱責されるのではないかと不安を感じ、自分自身で判断することをためらってしまいます。
間違いが許されない雰囲気がある
職場全体で、ミスや失敗に対して厳しい雰囲気が漂っている場合、部下は指示待ち人間になりがちです。少しでもミスをすると、周囲から非難されたり、責任を問われたりするのではないかと不安を感じ、新しいことへの挑戦をためらってしまいます。
この対策としては、職場全体で、失敗から学ぶ文化を醸成することです。ミスや失敗は、成長の機会であるという意識を共有し、部下が積極的に行動できる環境を作りましょう。また、上司は、部下の失敗に対して、厳しく叱責するのではなく、指導や助言を行うように心がけましょう。
意見を求められない・期待されていない
意見や提案を求められなかったり、期待されていないと感じていたりする場合、部下は主体性を失い、指示待ち人間になりがちです。自分の意見が尊重されない、または役に立たないと感じることが続くと、積極的に行動する意欲は減退してしまいます。
上司が部下の意見や提案を積極的に聞き、尊重することが重要です。部下の意見を参考にしながら、一緒に問題解決に取り組みましょう。期待されていることが伝わると、部下は主体性を発揮し、より良いアイデアや解決策を生み出すよう積極的になれます。
仕事やチームの目的を共有していない
チームや組織全体の目標や目的を共有できていない場合、社員は自分の仕事が組織全体の中でどのような意味を持つのか、理解できない状態に陥ります。目的意識が希薄になると、自ら行動する意欲も低下し、指示待ち人間になりがちです。
上司は、チームや組織の目標を明確にし、各社員の仕事が組織全体の中でどのような役割を果たしているのかを説明する必要があります。また、定期的にチームメンバーと目標達成状況を共有し、フィードバックを行いましょう。その結果として、社員のモチベーションを維持でき、各自の主体性を高められます。
指示待ち人間がチームにいるデメリット
指示待ち人間が多いチームは、さまざまな悪影響を受ける可能性があります。ここでは、指示待ち人間がチームにいることで生じるデメリットについて解説します。
業務の生産性が低下する
指示待ち人間は、自分自身で判断して行動することが苦手です。そのため、些細なことでも上司に指示を求めてしまい、業務の進捗が遅れてしまうのです。また、指示を待つ時間が増えると、チーム全体の生産性も低下します。上司は常に部下からの指示待ちに対応しなければならず、本来の業務に集中できなくなってしまうでしょう。結果として、チーム全体の業務効率が低下し、納期遅延や顧客満足度の低下といった問題にも発展します。
チームメンバーのモチベーションを低下させる
指示待ち人間は、周囲から「主体性がない」「やる気がない」といった印象を与えがちです。そのため、チームメンバーのモチベーションを低下させてしまう可能性があります。これは、周囲のメンバーが、指示待ち人間の行動に不満を抱き、自分自身が積極性を発揮する意味を見失ってしまうためです。結果として、チーム全体の士気が下がり、協調性やチームワークも阻害されてしまいます。
評価に影響する
指示待ち人間は、自分自身で考えて行動することが少ないため、新しいアイデアを生み出したり、困難な課題を解決したりする機会を避けがちです。そのため、上司からの評価は必然的に低くなってしまうでしょう。上司自身も、指示待ち人間がいることで、チームの生産性が低下し、業績を上げられないといった問題に直面します。結果として、上司の人事評価にもマイナスの影響が避けられません。それぞれの評価を高めるためには、上司も社員のやる気や積極性を促し、成果を上げるよう勇気づける必要があるでしょう。
指示待ち人間が自発的に行動するための改善tips
指示待ち人間から脱却し、主体的に行動できるようになるためには、どのような方法があるのでしょうか?ここでは、指示待ち人間が自発的に行動するための具体的な方法やヒントを紹介します。
原因を把握する
まずは、なぜ指示待ち人間になっているのか、その原因の把握が重要です。性格や行動パターン、職場環境などを冷静に分析し、指示待ちになっている根本的な原因を見つけます。本人の性格なのか環境のせいなのか、真の原因を理解することで、効果的な改善策を打てるでしょう。
目標を設定し共有する
明確な目標を持つことで、人は主体的に行動できるようになります。自分がどのような目標に向かって努力しているのかを意識するだけで、自ら行動する意欲が湧いてくるのです。
目標を設定する際には、SMARTの原則を参考にすると良いでしょう。SMARTの原則とは、目標設定の際に考慮すべき5つの要素を指します。
要素 | 説明 |
Specific(具体的) | 目標が具体的で明確であること |
Measurable(測定可能) | 目標が数字などで測定可能であること |
Achievable(達成可能) | 目標が達成可能なものであること |
Relevant(関連性) | 目標が自分にとって重要かつ関連性があること |
Time-bound(期限) | 目標達成のための期限が設定されていること |
目標を設定したら、チームで共有しましょう。同じゴールに向かって努力することで、目標達成への意欲を高められます。
主体的に動くメリットを伝える
指示待ち人間は、主体的に行動するメリットを十分に理解していない可能性があります。まずは、具体的なメリットを伝えましょう。
例えば、主体的な行動の結果、以下のようなメリットが得られます。
- 業務効率の向上
- 新しいスキルや知識の習得
- キャリアアップの機会拡大
- 自信と自己肯定感の向上
- チームへの貢献度増加
メリットを伝えたあとは、実際に行動するよう促しましょう。
意見や改善案を歓迎する
指示待ち人間は、自分の意見や提案が受け入れられないかもしれないと不安を感じています。その不安を打ち消すために、部下の意見や提案を積極的に聞き、尊重する姿勢を示しましょう。意見を参考にしながら、一緒に問題解決に取り組むことで、各自の主体性を高められます。行動した結果、成果が上がれば、それをきっかけに主体的な人間に変身するかもしれません。
失敗を受け入れる雰囲気を作る
指示待ち人間は、失敗を恐れて、挑戦をためらってしまいます。そのため、何度でもチャレンジできるよう、失敗を受け入れる雰囲気を作っておくことが大切です。「失敗は成長の機会である」といった共有認識を持ち、積極的に行動できるよう見守りましょう。もし失敗しても、厳しく叱責するのではなく、指導や助言に留めます。
個々の能力に合わせた人事配置をする
社員一人ひとりの能力や特性を理解し、それぞれの強みを活かせるような人事配置を行うことも重要です。例えば、指示待ち傾向の強い社員には、手順が明確で、責任範囲が限定された業務を任せたり、経験豊富な先輩社員とペアを組ませたりすることで、安心して仕事に取り組める環境を提供します。
研修などで教育する
主体的に行動する重要性を理解し、必要なスキルや知識を習得できる研修プログラムを提供しましょう。問題解決能力、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力など、主体的に行動するために必要なスキルを身につければ、徐々に自信を持って行動できるようになります。また、ロールプレイングやケーススタディなど、実践的な研修もおすすめです。外部の研修機関を活用したり、社内研修に専門家を招いたりすることも有効です。
まとめ|指示待ち人間改善には主体的に動ける環境づくりが大切
この記事では、指示待ち人間になってしまう心理的な原因、組織における外的要因について解説しました。指示待ち人間が多いと、業務効率が落ち、チームのモチベーションが下がるといったマイナスの影響が懸念されます。この記事で紹介した対策を参考に、環境や研修を整え、主体的に行動できる社員を増やしていきましょう。