人材採用

2025.04.14

アルムナイ採用とは? 概要やメリット・デメリットを解説

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アルムナイ採用とは? 概要やメリット・デメリットを解説

アルムナイ採用は、退職した社員を再び雇用する制度のことで、近年特に注目が集まっている採用手法の一つです。労働人口の減少、働き方の多様化といった社会的な背景の中で、即戦力となる人材の確保が多くの企業で課題となっており、その解決のための一つの方法として注目されています。

この記事では、アルムナイ採用のメリット・デメリット、また、導入する際に気をつけたいポイントを解説します。

アルムナイ採用とは

アルムナイ採用の概要

「アルムナイ(alumni)」とは、卒業生を意味する英語です。ここから転じて、ビジネスシーンでは退職者のことを指す言葉として用いられており、離職者やOB・OGといったアルムナイを再雇用する採用手法について「アルムナイ採用」といわれています。

従来、終身雇用の慣行のもとでは、新卒で入社した企業で定年退職まで働く人が多くを占めるため、転職、さらにいわゆる「出戻り」は、あまり考えられることはありませんでした。しかし、労働人口の減少や雇用の流動化が進む現在では、中途採用も増加しています。その一環としてアルムナイ採用を導入する企業が増えており、退職者とのつながりを持ち続けるための「アルムナイネットワーク」が構築されるケースも増加傾向にあります。

カムバック制度やジョブ・リターン制度との違い

アルムナイ採用の制度は、カムバック制度やジョブ・リターン制度とも呼ばれ、これらは、退職した社員を再び自社で雇用するという意味で共通する言葉として用いられます。ただし、次のような異なる意味合いで使われるケースもあります。

すなわち、カムバック制度やジョブ・リターン制度は、結婚や出産、育児、介護など、やむを得ない事情で退職した人を対象とする再雇用制度を指す場合が多いといえます。これに対しアルムナイ採用の対象者はより広く、やむを得ない事情に限らず、転職や起業など自発的な理由で退職した人も含まれます。

転職や起業を経て自社に戻ってきた社員には、即戦力としての活躍のほか、社外で獲得した多様な知見を活かしてもらうことも期待できます。出産や育児、介護などで退職した人に再び働いてもらう場合、退職前の経験を活かしつつ再びキャリアを形成してもらうことができるでしょう。

アルムナイ採用が注目される背景

近年注目の高まっているアルムナイ採用ですが、その背景としては、以下の2つが考えられます。

  • 労働人口の減少による人材確保の困難化
  • 働き方改革の多様化

それぞれの内容を詳しく解説します。

労働人口の減少による人材確保の困難化

労働人口の減少による人材確保の困難化は、企業が抱える大きな課題の一つです。

日本では近年、少子高齢化による労働人口の減少から、人材確保が困難になっています。中でも、多くの企業が求める優秀な人材は、特に確保が難しいとされます。日本の人口が減少を続けていることを考えると、人材確保が困難な状況は今後も続くと考えられるでしょう。

そこで、一定水準以上のスキルを保有しているアルムナイの採用が注目されています。アルムナイ採用であれば、自社の業務内容や企業風土に理解がある人材の採用が期待できるでしょう。

働き方の多様化

働き方の多様化も、アルムナイ採用が注目される背景の一つです。

従来のような、正社員、パートタイムやアルバイトに加え、近年では、職務や勤務地、労働時間を限定したいわゆる「限定正社員」や、フリーランスも広がりを見せており、さまざまな雇用形態の中から、個々人に適した働き方を選ぶことが可能となっています。また、毎日出社するのではなくテレワークで働く人も増えています。

働き方の多様化を受け、たとえばプロジェクトベースの短期契約やアウトソーシングといった雇用を選ぶ企業も増えています。このような短期雇用の場合、社員の育成や研修を十分に実施することは簡単ではありません。

自社での業務経験があり、即戦力として期待できるアルムナイは、このような場面での活躍も期待されます。

アルムナイ採用を導入する4つのメリット

アルムナイ採用の導入には、以下のような、さまざまなメリットが存在します。

  • 採用や育成コストの削減
  • 自社にマッチした即戦力の確保
  • 社内イノベーションの促進
  • 企業イメージの向上

それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

採用や育成コストの削減

アルムナイ採用を導入すると、採用や育成コストの削減を期待することができます。

一般的な中途採用では、求人広告への掲載費、人材会社への委託費、選考にかかる人件費といったコストがかかります。これに対し、アルムナイ採用では、退職者に直接コンタクトをとり採用活動を進めるため、求人にかかる費用を削減できます。また、選考に必要な人件費や時間、手間の軽減にもつながるでしょう。

アルムナイは自社での業務経験があるため、最小限のレクチャーや研修で即戦力として働けるケースも少なくありません。これにより、育成に費やしていた人件費や業務負担の軽減も期待できます。

自社にマッチした即戦力の確保

アルムナイ採用では、自社にマッチした即戦力の確保も容易となります。

通常の採用活動により入社した社員の一部には、「思っていた業務内容と違った」「会社の雰囲気が合わない」などのミスマッチを感じる人もいないとは限りません。

一方、自社での就労経験があるアルムナイであれば、このようなミスマッチは発生しにくいと考えられます。また、社内の業務ノウハウを保有しているため、即戦力としても期待できるでしょう。

社内イノベーションの促進

社内イノベーションの促進につながる点も、アルムナイ採用のメリットとして挙げられます。社内イノベーションとは、新たな技術や考え方を社内に取り入れ、新しい価値を生み出すことです。

他の会社での就労経験を持つアルムナイが再雇用されることで、社内に新たな価値観や知識がもたらされる可能性があります。これらを効果的に活用することで、社内イノベーションの促進が期待できます。

企業イメージの向上

アルムナイ採用を実現するには、退職者と良好な関係を維持しておく必要があります。また、機会があれば再度働きたいと思える社内環境を構築することも重要で、これにより在職中の社員も働きがいをより感じやすくなると考えられます。

さらに、アルムナイ採用を実施している企業は、退職者との関係性や社内環境を良好なものとしている良い会社であるとの認識も持たれやすいと考えられ、求職者へのアピール効果も期待できます。

アルムナイ採用の導入・定着は、社内外における企業イメージの向上につながるでしょう。

アルムナイ採用を導入するデメリット

アルムナイ採用には多くのメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。

  • 既存社員のモチベーション低下を招くおそれがある
  • 退職のハードルを下げる可能性がある
  • 情報漏洩の可能性がある

デメリットを理解した上で、トラブルのないアルムナイ採用の導入を目指しましょう。

既存社員のモチベーション低下を招くおそれがある

アルムナイ採用を行うと、既存社員のモチベーション低下を招くおそれがあり、注意が必要です。特に、好条件で再雇用したり、再雇用した社員を特別に昇給・昇進させたりすると、既存社員に不公平感を与えることもあるため、十分に気を配る必要があります。

社員のモチベーション低下を防ぐには、再雇用した社員と既存社員との待遇差が生まれないようバランスをとることが重要です。また、アルムナイ採用について、広く社員が納得できる雇用条件などを設けることも対応策の一つとなります。

退職のハードルを下げる可能性がある

アルムナイ採用の制度を設けると、一度退職しても再雇用してもらえるという選択肢が生まれることとなり、退職や転職のハードルが下がる可能性があります。

アルムナイ採用の導入を離職率の上昇につなげないためには、たとえば一定のスキルを保有していることといった採用条件を設け、周知することが肝心です。

情報漏洩の可能性がある

アルムナイ採用においては、退職者と継続的にコミュニケーションをとり続けることが重要です。しかし、その際に、社内の重要な情報を伝えてしまうといったリスクもあり、この点がデメリットであると考えられます。

アルムナイは以前は社員であったとはいえ、再雇用前は社外の人間です。情報漏洩を防ぐには、再雇用が決定するまでは社外の人間であることを念頭に置いてコミュニケーションをとることが重要です。

アルムナイ採用を導入する際のポイント

最後に、アルムナイ採用を導入する際に押さえておきたい以下のポイントを解説します。

  • 社内体制を整える
  • アルムナイと継続的な交流を持つ
  • 復職するための条件を明示する

アルムナイ採用は、一般的な中途採用とは手法が大きく異なります。ここでの内容を参考に、スムーズな導入を実現しましょう。

社内体制を整える

アルムナイ採用をスムーズに始めるには、社内体制を整えることが肝心です。アルムナイ採用の実施にあたっては、以下の点が検討すべきポイントです。

  • 再雇用までのプロセス
  • 再雇用の際の評価基準
  • 再雇用時の待遇
  • 既存社員への説明

アルムナイ採用を滞りなく進めるには、プロセスや待遇などを事前に明確にしておく必要があります。待遇に関し、より柔軟にアルムナイを再雇用できるよう多様な雇用形態を設ける場合には、その詳細についても定めることとなります。その上で、社内体制について既存社員への説明を実施し、アルムナイ採用への理解を深めてもらうことで、不公平感や不透明感からくるトラブルの発生を防止できるでしょう。

アルムナイと継続的な交流を持つ

アルムナイ採用を実施するには、退職者と継続的な交流を持ち続けられるか否かも大きなポイントです。退職者とのコミュニケーション方法の具体例としては、以下のものが挙げられます。

  • アルムナイネットワークと呼ばれる運営システムの構築
  • 定期的な交流イベントの開催

アルムナイとどのような距離感を保っていくかは、会社によって異なりますが、担当者によってアルムナイとの関わり方に違いが出ないよう、アプローチの基準を事前に決めておくことが重要です。

また、アルムナイネットワークを構築・運営する際は、会社とユーザーとの間やユーザー同士での交流・情報共有につなげられる「PeopleWork」が役立ちます。「PeopleWork」にご興味をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードして詳細をご確認ください。

復職するための条件を明示する

先述のとおり、誰でも簡単に復職できるという認識が広まってしまうと、離職率の上昇につながりかねません。また、既存社員の不満や不安を軽減するためにも、復職のための条件を明示することが大切です。

復職の条件の具体例としては、以下のものが挙げられます。

  • 勤続年数
  • 退職時の役職
  • 保有スキル

これらの条件を決定したら、誰でも確認できるように採用規程などに明示することが重要です。

まとめ

アルムナイ採用とは、退職者を再雇用する制度のことです。労働人口の減少や働き方の多様化を受け、近年アルムナイ採用への注目が高まっています。

アルムナイ採用の主なメリットは、採用コストを抑えて即戦力となる人材を雇用できる点です。デメリットには、既存社員のモチベーション低下や情報漏洩の可能性が挙げられます。

アルムナイ採用を導入する際は、再雇用の条件や待遇を事前にしっかりと決め、周知することが重要です。既存社員への説明の機会を設け理解を深めることで、スムーズでトラブルのないアルムナイ採用の実施を目指しましょう。

この記事を担当した人

PeopleX コンテンツグループ

人事・労務・採用・人材開発・評価・エンプロイーサクセス等についての用語をわかりやすく解説いたします。

これまでに出版レーベル「PeopleX Book」の立ち上げ、書籍『エンプロイーサクセス 社員が成功するための7つの指針』の企画・編集、PeopleX発信のホワイトペーパーの企画・編集などを担当しました。

株式会社PeopleXについて
エンプロイーサクセスHRプラットフォーム「PeopleWork」の開発・運営をはじめとした、新しい時代に適合したHR事業を幅広く展開する総合HRカンパニーです。

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