人材採用
2024.08.07
リファラル採用とはどのような採用方法か?メリットや採用コストなどを徹底解説
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近年、転職市場は活発化しており、優秀な人材の獲得競争が激化しています。企業は、さまざまな採用方法を駆使して求める人材を獲得しようとしており、そのうちのひとつがリファラル採用です。人材採用方法として注目度が上がっているリファラル採用ですが、これから取り組みたいと考えている企業も少なくありません。
この記事では、リファラル採用についてメリットやコストなどを徹底解説します。注意点や配慮すべきポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
リファラル採用とは
リファラル採用について、意味や縁故採用との違いについてまとめました。近年において、リファラル採用が注目されるようになった背景についても紹介します。
リファラルの意味
リファラルとは、ビジネス用語として使われる英単語で「紹介」「推薦」「委託」といった意味があります。企業のニーズに合った人材を社員や外部の専門家などから紹介・推薦してもらう手法です。社員がリクルーターとなるケースが多く、信頼性の高い候補者を紹介してもらうための有効な採用方式として利用されています。人材採用以外にもマーケティングや営業など、多くのビジネスシーンで活用されています。
※英語「referral」の語源=紹介、紹介状、紹介する行為
参照:etymonline
縁故採用との違い
縁故採用とは、社員の家族や親戚を紹介によって採用する手法です。縁故採用のことを昔は「コネ入社」ともよび、単なる紹介だけでなく採用までが保証されていました。縁故採用の手法は、紹介という点ではリファラルと同じですが、否定的な意味で使われることが多いようです。リファラルは、あくまでも紹介であり、採用まで保証するものではありません。
リファラル採用が注目される背景
リファラル採用が注目される背景としては、慢性的な人材不足があります。日本では、少子高齢化などにより労働人口が減少しており、優秀な人材の獲得が課題となっているのも原因のひとつです。
以前は、求人広告を出せば求職者が集まっていましたが、最近は求める人材が集まらないという問題が深刻化しています。欲しい人材に直接アプローチできるため、リファラル採用への注目度が高まっています。
リファラル採用のメリット
リファラル採用のメリットは次の4つです。
- 即戦力人材を採用できる
- 転職潜在層にアプローチできる
- 一般採用よりも定着率が高い
- 採用コストと工数を削減できる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
即戦力人材を採用できる
リファラル採用では、既存社員が知人や友人に働きかけるため、自社のことも相手のことも十分理解しているといった前提があります。そのため、理想とする人材とマッチしやすく、場合によっては即戦力となる人材を採用できます。また、業務への理解度が高い状態で入社してもらいやすいのもメリットでしょう。
転職潜在層にアプローチできる
転職潜在層は、転職サイトや求人広告などを閲覧していないことが多く、従来の採用方法ではアプローチが困難です。リファラル採用であれば、社員のネットワークを通じて、転職を意識していない人材にもアプローチできます。社員がこれまでのキャリアを通じて出会った幅広い人脈を活用することで、求人媒体では出会えない優秀な人材と接点を持つことができる可能性があります。
一般採用よりも定着率が高い
紹介者である社員の価値観と似通った候補者が候補となるため、企業への文化適合度が高く、入社後も組織になじみやすい傾向があります。厚生労働省の調査によれば、就職後3年以内の離職率は、高卒37.0%、大卒32.3%と3割程度です。その原因のひとつが、求職者の期待や希望と業務内容のミスマッチです。その点、リファラル採用であれば、事前に業務内容を具体的にヒアリングでき、納得感を持って入社できます。
採用コストと削減できる
リファラル採用なら、コストと工数の削減効果が高いといえます。最近では、求人広告を出しても応募がない、応募者の中に欲しい人材が見つからない、内定を出しても辞退されるなど、コストに対して採用実績に結びつかないといった問題が増えています。
求人広告費は。1人あたり10万円から30万円ほどかかるといわれています。また、エージェントを利用する場合も、就職後年収の30〜35%が手数料として必要です。手間とコストがかかる採用ですが、採用率や定着率が高いリファラル採用であれば、効率よく進められます。
リファラル採用にかかるコストの内訳
リファラル採用は、コスト削減に効果的ですが、まったくコストがかからないわけではありません。むしろ効果的にコストをかけると、効果を発揮するでしょう。
リファラル採用にかかるコストの内訳は、おもに以下の3つです。
- 紹介報酬(インセンティブ)
- 採用活動費
- 外部サービスの利用料金
それぞれ詳しく見ていきましょう。
紹介報酬(インセンティブ)
紹介者に対して一定の報酬を支払うのが紹介報酬(インセンティブ)です。その相場は、数万円から十数万までといわれ、決まった額はありません。インセンティブで大切なのは、報酬は「労い」や「後押し」のために設けるべきであり、インセンティブ目当てで適当な人材を紹介することがないよう気をつけるべきだという点です。
またインセンティブ制度が、違法になるケースもあるため、体系づくりも重要です。インセンティブの法律的な問題については後述します。
採用活動費
採用目的で社員が友人や知人と会食する際の費用は、採用活動費(会議費)として経費計上できます。ほかにも交流会やセミナー、ランチ会などのイベント開催、プレゼンテーション資料の作成代など、目的が採用のためと明確であれば経費と認められます。経費を使って積極的にリファラル採用に取り組むのであれば、対象となる活動や金額を明確にし、規則を作って社員に情報共有しましょう。
外部サービスの利用料金
SNSやプラットフォームなど外部サービスを利用する場合は、運営費や外注コストが発生します。SNS更新は、継続性が重要なので片手間で取り組むには負担が大きいでしょう。もし外注化するのであれば、業務委託の費用を計上しましょう。
リファラル採用を効率的に管理するなら、専用のプラットフォームやツールもおすすめです。メールやSNSと連携してワンタッチで紹介できたり、活動状況を一括管理できたりします。
リファラル採用の注意点
費用対効果が高いリファラル採用ですが、注意点もあります。それが以下の5つです。
- リファラル採用だけに頼らない
- 不採用を出しづらい
- 公正な評価システムの可視化が必要になる
- 人材の多様性の妨げになる場合がある
- 採用までに時間がかかる可能性がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
リファラル採用だけに頼らない
リファラル採用は、社員による紹介制のため確実性がなく、大量採用には向きません。新卒一括採用のように、数十人や数百人単位の採用としては効率が悪く、望むような結果は得られないでしょう。リファラル採用だけに頼るのではなく、通年採用や通常の採用方法を柱としながら、同時にリファラル採用に取り組むのがおすすめです。
不採用を出しづらい
紹介してもらった人材を不採用にした場合、紹介してくれた社員の面目が立たないといった問題が生じます。そのため、不採用を出すのも慎重にならざるを得ません。最悪の場合、友人関係に亀裂が生じるなどマイナス効果のほうが高い場合もあるのです。
そのため、採用につながらなかった場合のリスクも考えておく必要があります。リファラルといっても、採用基準が一般選考と同じであり、有利に働くものではないことを社員および求職者に事前に伝えておきましょう。
公正な評価システムの可視化が必要になる
リファラル採用では、紹介者と候補者が親しい関係であるケースが多いため、紹介者によるバイアスやコネによる不公平な評価を受けやすいという懸念があります。先入観に基づいて選考を行うと、本来採用すべき人材を見逃したり、不適切な人材を採用したりする可能性があります。それを防ぐために、評価基準を明確にする必要があります。
人材の多様性の妨げになる場合がある
リファラル採用では、紹介者と候補者との間に共通点が多いため、似たような経歴や価値観を持つ人材ばかり集まりがちです。多様な人材が集まらないと、組織の視野が狭くなり、新しいアイデアやイノベーションが生まれにくいといった弊害が生まれます。その結果として、組織の柔軟性や適応力、そして競争力の低下にもつながるかもしれません。
採用までに時間がかかる可能性がある
リファラル採用は、転職活動をしていない潜在層にアプローチするため、候補者を見つけるまでに時間がかかる可能性があります。採用にかかる期間は、約3か月といわれていますが、個別に対応するため手間がかかります。また、候補者の能力や適性を慎重に評価する必要があるため、従来の選考に比べて時間も必要です。
リファラル採用の際に配慮すべきポイント
リファラル採用の際に配慮すべきポイントについて4つ紹介します。
- インセンティブが違法にならないようにする
- 紹介者と応募者の関係悪化を防ぐ
- 人材が偏らないようにする
- 紹介しやすい環境づくりをする
それぞれ詳しく見ていきましょう。
インセンティブが違法にならないようにする
人材紹介は、厚生労働省の認可事業であり、免許を取得せずに紹介および報酬を受け取った場合、違法となってしまいます。職業安定法40条の「報酬の供与の禁止」によると、以下のように明示されています。
「労働者の募集を行う者は、その被用者で当該労働者の募集に従事するもの又は募集受託者に対し、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合又は第36条第2項の認可に係る報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはならない。」
つまり、紹介は業務の一部だと位置づけて賃金として支払うことが重要です。そのためには、従業員規則に人材紹介を業務の一環であると明記しておきましょう。
紹介者と応募者の関係悪化を防ぐ
不採用になった場合、紹介者と応募者の関係が悪化しやすいことも考慮しておきましょう。「紹介した友人が不採用になったら気まずいから」とリファラル採用に積極的になれない社員も当然いるはずです。積極的に紹介してもらうためには、不採用となった場合でも、紹介者と被紹介者の関係がこじれないための配慮をしていきます。
例えば、リファラル採用とコネ入社とは違うこと、採用基準は一般選考と同じだと理解してもらうなど、事前に説明しておきましょう。また不採用になった場合は、その理由を丁寧に説明し、双方が納得できるようフォローしていきます。
人材が偏らないようにする
積極的に友人を紹介してくれる社員はありがたい一方で、一部の社員の友達だらけになってしまう危険性も。社内に派閥ができたり、候補者のバックグラウンドや考え方が偏ってしまったりと、既存の社員にも悪影響をおよぼします。人材が偏らないよう紹介人数に制限を設けるなどの配慮が必要です。
紹介しやすい環境づくりをする
リファラル採用の活動は、メインの業務ではないため本業の負担にならないよう配慮が必要です。社員の負荷とならないよう気をつけつつ、モチベーション高く取り組めるような施策を考えましょう。具体的な取り組みとして次のようなものがあります。
- 社内での定期的な告知
- 社員と候補者が気軽に交流できる場やイベントの提供
- 報酬制度の設定
- インタビューや体験談による事例の共有
- 紹介方法のレクチャー
- 紹介しやすい仕組みづくり
以上のような施策を組み合わせて、社員がリファラル採用に積極的に取り組める環境を整えていきましょう。
まとめ
リファラル採用を成功させるためには、社員に取り組んでもらいやすい環境づくりにくわえ、求める人材像の共有が重要です。明確なペルソナ設定のためには、社内で活躍している人材の分析が有効でしょう。また、自社社員の口コミから自社の魅力を抽出するなど、リファラル採用に使えるトークなどを提案していきましょう。