人材開発・教育
2024.08.14
マンダラチャート(マンダラート)とは? 目標達成・課題解決のメソッドをご紹介
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マンダラチャートは、目標達成や問題解決のための効果的な視覚ツールであり、ビジネス戦略から自己啓発まで、幅広い分野で活用されています。このメソッドを活用することで、複雑な目標を分解し、具体的なタスクとして整理することができます。
この記事では、マンダラチャートの効果や具体的な作成方法を紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
マンダラチャートとは?
マンダラチャート(またはマンダラート)とは、目標達成や課題解決のために活用されるフレームワークです。経営コンサルタントである松村寧雄氏によって考案され、以来、企業の経営戦略や個人の自己啓発ツールとして日本国内で普及しました。
名前の由来は、仏教、とくに密教において重要な役割を果たす視覚的および象徴的な図像である曼荼羅(マンダラ)からきており、その見た目や全体像を視覚化する点が共通しています。
※「マンダラチャート」は一般社団法人マンダラチャート協会の登録商標です。
マンダラチャートの効果
マンダラチャートには下記のような効果が期待できます。
思考の整理
現代のビジネス環境では、複雑な問題や多様なタスクに直面することが増加しています。マンダラチャートは散漫になりがちな思考を整理し、視覚的に全体像を捉えるための効果的な手段といえます。これにより、問題解決のアプローチが明確になり、次に取るべき行動が見えやすくなります。
目標設定の明確化
目標を達成するためには、具体的で測定可能な目標設定が欠かせません。マンダラチャートには、主目標と、それに関連する小目標を並べることで、全体の達成に必要なステップを明確化する効果があります。
集中力の向上
具体的な目標や課題が明確になることで集中力が向上します。個々のタスクに対する集中力が高まり、効率的に作業を進めることができます。
創造力の刺激
中央の主目標から関連するサブ目標を派生させる過程で、新たなアイデアやアプローチが生まれることがあります。これにより、創造力が刺激され、革新的な解決策が見つかるかもしれません。
効率的な問題解決
マンダラチャートにより問題の全体像を把握しやすくなり、効率的な解決策を見つけることができます。複雑な問題も、小さな部分に分解することで対処しやすくなります。
チーム全体の共通理解
企業内でのプロジェクトや目標達成には、チーム全体の共通理解が重要です。マンダラチャートを使用することで、全員が同じビジョンを共有し、一致団結して取り組むことが可能になります。
マンダラチャートとマインドマップの違い
マンダラチャートと似たツールにマインドマップがあります。マインドマップも情報を視覚的に整理し、アイデアを効果的に発想するためのツールとして知られていますが、この二つの違いについて、以下の3つの視点から解説します。
- 目的
- 応用範囲
- 視覚的整理
それぞれ詳しく見ていきましょう。
目的
マンダラチャート:目標達成や問題解決を体系的に進めるためのツール。中心に主要目標を置き、関連するタスクや要素を放射状に配置することで、全体像と各要素の関係を明確にする。
マインドマップ:アイデア発想、ブレインストーミング、情報整理などに役立つツール。中心にテーマや問題を置き、そこから放射状に関連するアイデアや情報を広げていく。
応用範囲
マンダラチャート:ビジネス戦略、プロジェクト管理、自己啓発、キャリアプランニングなど。具体的な目標達成のための詳細な計画を立てるのに適している。
マインドマップ:学習、プレゼンテーションの準備、プロジェクト計画、問題解決、創造的思考の促進など。柔軟で創造的な発想を必要とする場面に適している。
視覚的整理
マンダラチャート:視覚的に整理された9つのブロックにより、全体像と詳細を同時に把握できる。各ブロックが明確に分かれているため、目標達成の進捗管理がしやすい。
マインドマップ:自由度の高いツリー構造により、情報やアイデアを直感的に整理できる。色や図形を使って視覚的に強調しやすい。
マンダラチャートは、目標やタスクを視覚的に分かりやすく整理し、進捗を管理しやすくします。一方でマインドマップは、色や図形を用いて情報を視覚的に強調し、直感的に整理します。このように、マンダラチャートとマインドマップは、それぞれ異なる目的と用途に応じて活用されるべきツールです。どちらも効果的に活用することで、目標達成や創造的思考を促進する助けになります。
マンダラチャートの作成方法
マンダラチャートは3×3の9マスで構成されるものと、それをさらに詳しくした9×9の81マスで構成されたものがあります。今回は81マスをモデルに、詳しい作成方法を解説していきます。
マンダラチャート作成の5ステップ
以下、マンダラチャートの作成方法を5つのステップに分けて詳しく解説します。
1.縦9つ、横9つの合計81個のマスを用意します。
2.中央のマスに最終的に成し遂げたい目標を書き込みます。
3.中央のマスを囲むように、周りの8マスにその目標を達成するために必要な要素を書きます。
4.その8マスから1行離れた8つのマスにも同じ要素を転記します。
5.転記した要素の周りの8マスに、その要素を達成するために必要となる8つの要素を書きます。
参照:厚生労働省
マンダラチャートの作成例
マンダラチャートは、個人の目標設定から企業のプロジェクト管理まで、幅広い分野で活用できます。今回はためしに、「新製品の開発」のためにマンダラチャートを作成してみます。
1.縦9つ、横9つの合計81個のマスを用意します。
2.中心目標に「新製品を市場に投入する」と書きます。
3.その周りの8マスに以下の項目を記入します。
- 市場調査
- 競合分析
- 製品開発
- マーケティング戦略
- 販売チャネルの確立
- 財務計画
- 顧客フィードバック
- リスク管理
4.上記の8つのサブ目標を一つ離れたマスに書き写します。
5.転記した要素の周りの8マスに、下記のタスクを書き入れていきます。
市場調査
- 競合他社の分析
- 消費者ニーズの調査
- 市場トレンドの分析
競合分析
- 競合製品の特徴と価格
- 競合のマーケティング戦略
- 競合の弱点を探る
製品開発
- 製品コンセプトの設計
- プロトタイプの開発
- ユーザーテストの実施
マーケティング戦略
- ブランド戦略の策定
- 広告キャンペーンの計画
- ソーシャルメディア戦略の構築
販売チャネルの確立
- オンライン販売プラットフォームの選定
- 小売店とのパートナーシップ
- 直販のオプションを検討
財務計画
- 予算の策定
- 資金調達の計画
- 販売予測の作成
顧客フィードバック
- フィードバック収集のメカニズム構築
- フィードバックの分析
- 製品改善のためのアクションプラン
リスク管理
- 主要リスクの特定
- リスク対策の策定
- リスク管理プランの実行
マンダラチャートを作成したことで、プロジェクトの全体像が把握できるとともに、そこからタスクの特定やリソースの最適な配分など、具体的なアプローチが見えてきました。
あの大谷翔平選手も実践
マンダラチャートは、メジャーリーガーの大谷翔平選手も活用していました。このチャートを用いて自身の目標を明確化し、具体的なアクションプランを策定したといいます。
大谷選手のマンダラチャートには、打撃力の向上、投球技術の改善、身体の強化、メンタルの維持など、野球選手として必要な要素が細かく分解されて記載されていました。
たとえば、打撃力の向上にはバッティング練習や映像分析、投球技術の改善にはフォームの見直しや球種の研究、身体の強化にはウエイトトレーニングや栄養管理、メンタルの維持にはメンタルトレーニングやリラックス法など、具体的なアクション項目が設定されています。これにより、日々のトレーニングや試合に向けた準備が一層効率的になり、目標達成への道筋が明確になったといいます。
マンダラチャートの活用は、大谷選手のように高いレベルでのパフォーマンスを追求するアスリートだけでなく、ビジネスや自己啓発においても効果的です。たとえば、プロジェクトの進行管理や個人のキャリアプランニング、学習計画の立案など、様々な場面で利用できます。
参照:厚生労働省
まとめ
マンダラチャートは、目標達成や問題解決を視覚的に整理する強力なツールです。中心に主要目標を置き、その周囲に関連する要素を配置することで、全体像と具体的なアクションプランを明確にします。視覚的に整理することでやるべきことが明確になり、目標達成の道筋がはっきりと見えてきます。ぜひ、マンダラチャートを活用してみてください。