人事労務
2025.03.06
カフェテリアプランとは? 会社にとってのメリット、代表的なメニューを紹介
- #カフェテリアプラン
- #福利厚生

福利厚生の形態の一つであるカフェテリアプランに近年注目が集まっています。しかし、次ような悩みをお持ちの経営者や管理職の方もいるのではないでしょうか?
「カフェテリアプランがどのようなものか、よくわからない」
「カフェテリアプランの導入によって期待できる効果が知りたい」
この記事では、カフェテリアプランの代表的なメニューや導入効果、期待されるメリットなどを解説します。自社の福利厚生の改善をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
カフェテリアプランとは
カフェテリアプランとは、会社が提供するメニューの中から社員が自由に好きなものを選択することができる、福利厚生の運営方法の一つです。メニューは会社ごとに異なりますが、資格取得支援、健診や医療費の補助、旅行費の補助など、さまざまなものが存在します。
カフェテリアプランという名前は、好きな食べ物や飲み物を幅広いメニューの中から選べる「カフェテリア」に由来します。
カフェテリアプランが注目される背景
社員のライフスタイルや働き方の多様化に伴い、福利厚生へのニーズも多様化しています。あらかじめ決められた内容のものしか利用できない従来の福利厚生の形態では、多様化しつつあるニーズに応えることは困難です。
カスタマイズ可能なカフェテリアプランであれば、自社の社員の属性やライフスタイルを考慮して独自にメニューをアレンジすることができるため、社員の満足度やロイヤリティの向上が期待できるでしょう。
カフェテリアプランの仕組み
社員は、会社から支給された一定額の補助金(ポイント)の範囲内で、利用したい福利厚生のメニューを自由に選ぶというものが、カフェテリアプランの基本的な仕組みです。
従来の福利厚生制度との主な違いは、次の表をご参照ください。
カフェテリアプラン | 従来の福利厚生制度 | |
---|---|---|
仕組み・内容 | ・会社は社員の属性やニーズに合わせた福利厚生のメニューを用意 ・社員は一定額の補助金(ポイント)の範囲内で自分に必要なものを選択し利用する | ・パッケージ化された福利厚生メニューが、会社から一律に提供される |
代表的なカフェテリアプランのメニュー
カフェテリアプランのメニューにはさまざまなものがありますが、代表的なメニューは、以下のとおりです。
自己啓発 | ・資格取得支援 ・書籍購入費用補助 ・各種スクール受講費用補助 |
健康/医療 | ・フィットネス利用補助 ・健康診断費用補助 ・人間ドック費用補助 ・予防接種補助 ・入院時差額ベッド代 |
住宅 | ・家賃補助 ・住宅ローン補助 ・社宅 |
財産形成 | ・持株会奨励金 ・財形貯蓄奨励金 ・確定拠出年金 |
保険 | ・団体生命保険 ・自動車保険 ・火災保険 ・傷害保険 |
生活支援 | ・昼食費補助 ・社員食堂 ・通勤費補助 |
余暇支援 | ・宿泊/旅行費補助 ・チケット費用補助 ・イベント参加費用補助 ・レジャー施設利用補助 |
カフェテリアプランのメニューは数多く存在し、多く取り入れたほうが社員の多様なニーズに応えられるでしょう。しかし、すべてを取り入れようとすると、予算に収まらなくなってしまいます。
予算の範囲内で社員のニーズに合ったメニューを取捨選択し、カフェテリアプランを設計することが大切です。
カフェテリアプランの導入により期待できる効果
カフェテリアプランの導入により、社員の満足度・エンゲージメントや採用力の向上が期待できます。それぞれの内容を見ていきましょう。
社員の満足度・エンゲージメントが向上する
カフェテリアプランの導入によって、社員の満足度・エンゲージメントが向上します。
従来の福利厚生は、会社から社員に一律に与えられる側面が強いものでした。しかし、カフェテリアプランは、社員が自らのライフスタイルや価値観に合ったメニューを選べるため、従来の福利厚生よりも満足度が高まるでしょう。社員のモチベーションは日々の業務の品質に関わり、会社の業績に直結します。
また、会社の理念や自社の社員に合うように独自に設計するカフェテリアプランは、会社から社員に対してのメッセージにもなりうるでしょう。そのため、社員のエンゲージメントが向上し、離職率の低下にもつながります。
採用力が高まる
カフェテリアプランを導入することで、採用力の向上も期待できるでしょう。就職や転職の際に、会社の福利厚生が重視されるケースは多く、求職者一人ひとりのニーズに合った福利厚生を提供できることは、会社にとって大きなアドバンテージとなります。
また、社員の自主性や価値観に寄り添い、社員にとって働きやすい環境を提供したり活躍を願ったりする会社の姿勢は、好感度の高さにもつながります。
カフェテリアプランのメリット
カフェテリアプランの導入には、社員だけでなく会社にとっての利点もあります。主なメリットは、以下の3点です。
- メニューの柔軟性が高い
- 公平性を保ちやすい
- 福利厚生費の総額管理がしやすい
それぞれの内容を解説します。
メニューの柔軟性が高い
カフェテリアプランは、社員のニーズや会社の予算に応じて、柔軟に設計することが可能です。各メニューの利用状況や社員のニーズの変化、時代の流れなどに応じて、適宜アップデートすることができます。
従来の福利厚生は、会社側であらかじめ内容を決めて提供し、社員は自分に合ったものがあれば利用するといった形態でした。そのため、社員が「利用したい」と思えるような制度がほとんどないといったケースも散見されていました。
しかし、カフェテリアプランは、多様なライフスタイルや価値観を持つ社員一人ひとりが、自分に合ったメニューを、従来の制度よりも幅広い選択肢の中から選ぶことが可能です。そして、社員のライフスタイルや価値観は、本人と家族の年齢や状況、さらに時代に応じても変化していきますが、カフェテリアプランであれば、さまざまな変化に対しても柔軟に対応していくことができるでしょう。
公平性を保ちやすい
社員間の公正性を保ちやすいことも、カフェテリアプランのメリットとして挙げられます。
たとえ福利厚生が充実していても、提供されているメニューがすべての社員のニーズに完全に応えられていることはほとんどないのが実態です。また、たとえば子育てや介護のサポート、家族手当などは、ライフスタイルが支給条件に該当しなければ使う機会がありません。
そのため、会社としては充実したメニューを提供しているつもりでも、福利厚生を積極的に利用する社員とあえて利用しない社員、利用できない社員に分かれてしまいます。福利厚生をあまり利用できない社員と頻繁に利用する社員との間には不公平感が生じてしまい、会社全体としての社員の満足度向上は期待できない状況となるでしょう。
その点、カフェテリアプランであれば、自社の社員の属性やライフスタイルを考慮して独自にメニューを設計することができるため、利用の有無による不公平感をある程度解消できます。
福利厚生費の総額管理がしやすい
福利厚生費の総額管理がしやすい点も、カフェテリアプランのメリットです。
従来の福利厚生の仕組みでは、社員の利用状況によって、福利厚生費が予算を上回ってしまうことも生じえます。しかし、カフェテリアプランは社員一人ひとりに対して事前に一定額のポイントを付与するという仕組みのため、必要なコストの予測がしやすく、予算に対する差異が生まれにくいといえるでしょう。
また、社員は自分が必要とするメニューのみを選択して利用することから、利用されない福利厚生にコストをかけずに済むことも利点です。福利厚生費のコストと社員の満足度の費用対効果が改善され、会社と社員の双方にとってメリットを感じられる制度であるといえます。
カフェテリアプランのデメリット
メリットの多いカフェテリアプランですが、いくつかデメリットも存在します。それぞれの内容を見ていきましょう。
コストと管理の手間がかかる
そもそも、福利厚生にある程度の予算をつけなければ、カフェテリアプランを導入することは難しいでしょう。多様化する社員のニーズに合うように、選択肢に幅を持たせてメニューを用意する必要があるためです。
また、カフェテリアプランを運用するためには、人手と費用がかかることにも注意が必要です。年月が経つと、次第に社員のニーズも変化してくる傾向にあり、その都度柔軟に対応することも求められます。
税金の管理が複雑になる
税金の管理が複雑になってしまうことも、カフェテリアプランのデメリットの一つです。
カフェテリアプランとして社員が選択できるメニューの中には、課税対象となるものと非課税対象となりうるものとが混在するために、税額を計算する際に複雑になってしまうケースが多く見られます。
たとえば、健康診断の費用については、健康診断の実施が会社の義務とされていることに鑑み、条件を満たせば非課税の扱いとすることが認められています。人間ドックについても同様です。
しかし、ポイントを現金や金券に交換する場合や、商品券やスポーツ観戦チケットなどの換金性のあるものについては課税対象になるため、メニューによって課税か非課税かを判断しなければなりません。
まとめ
カフェフェテリアプランは、社員が与えられたポイントの範囲内で、自分のライフスタイルやニーズに応じたメニューを選び、利用することのできる福利厚生制度です。従来の福利厚生制度では、パッケージ化されたメニューが一律で提供されるのに対し、カフェテリアプランは社員一人ひとりのニーズに応えられる点が特徴です。
また、カフェテリアプランのメリットとして、社員間の公平性を保ちやすいことや、福利厚生費の総額管理がしやすいといった点が挙げられます。導入することで、社員の満足度やエンゲージメントの向上が期待できます。
ただし、コストや管理の手間がかかることや、税金の管理が複雑になることに注意しましょう。カフェテリアプランのメニューが多いほど、社員の多様なニーズに応えられますが、すべてを取り入れようとすると予算に収まらなくなってしまうでしょう。
自社の福利厚生制度について見直す際は、今回の記事を参考にカフェテリアプランの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

この記事を担当した人
PeopleX コンテンツグループ
人事・労務・採用・人材開発・評価・エンプロイーサクセス等についての用語をわかりやすく解説いたします。
これまでに出版レーベル「PeopleX Book」の立ち上げ、書籍『エンプロイーサクセス 社員が成功するための7つの指針』の企画・編集、PeopleX発信のホワイトペーパーの企画・編集などを担当しました。
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- エンプロイーサクセスHRプラットフォーム「PeopleWork」の開発・運営をはじめとした、新しい時代に適合したHR事業を幅広く展開する総合HRカンパニーです。