人材開発・教育

2025.03.12

属人化とは? 業務の属人化のデメリットや標準化のためのポイントを紹介

  • #人事戦略
  • #人材育成
  • #組織
属人化とは? 業務の属人化のデメリットや標準化のためのポイントを紹介

企業や組織で業務を進めるうえで、「この仕事は○○さんしかできない」といった状況に陥ることはめずらしくありません。これは「属人化」と呼ばれる状態です。属人化が進むと、業務の効率低下やリスクの増加を招くため、企業にとって大きな課題となります。この記事では、属人化の定義やデメリット、属人化防止のための具体的な方法について紹介します。

属人化と標準化

属人化とは

属人化とは、特定の個人が持つスキルや知識、ノウハウに業務が依存している状態を指します。この状態では、業務の知識やノウハウが担当者の頭の中にしか存在しないという状況になりがちで、組織としての管理が難しくなります。たとえば、その人がいなければ業務が遂行できないため、引き継ぎが困難になることがあります。

標準化とは

属人化の対義語にあたるのが「標準化」です。標準化とは、業務の手順・ルール・基準を明確にし、誰が実施しても同じ品質や効率で業務を遂行できるようにすることを指します。標準化は、特定の個人の裁量やノウハウに依存するのではなく、組織として一貫性を持った業務運営を行うことで達成されます。

たとえば、マクドナルドのハンバーガーは世界中どこでも同じ品質で提供されます。これは、作業手順や材料の使用量が統一されているからです。標準化は、製造業・医療・サービス業・IT業界など、安定した供給が求められる分野で重要視されています。

属人化のデメリット

属人化が進むと、業務の効率低下やリスクの増大を招き、組織全体の運営に悪影響を及ぼすケースがあります。ここでは属人化のデメリットやその影響について4つ紹介します。

  • 業務のブラックボックス化
  • 業務や顧客対応の停滞
  • 教育・引き継ぎコストの増加
  • 組織の成長の阻害

それぞれ詳しく見ていきましょう。

業務のブラックボックス化

属人化が進むと業務のプロセスやノウハウが明文化されず、担当者以外が業務の詳細を把握できなくなります。たとえば、「○○さんにしかわからない業務」 が増えて他の社員が手を出せなくなるといった事態が考えられます。また、特定の担当者のみがその業務を行うため、不正が見逃されるリスクも考えられます。

業務や顧客対応の停滞

属人化した業務は、担当者が休職・退職した際、「代わりに業務を行える者がいない」という状況を引き起こします。たとえば、社内システムの管理者が休職した場合、「システムの設定方法がわからず、業務がストップする」などのケースが考えられ、その結果、 納期遅延や顧客対応の遅れが発生し、 取引先からの信頼を失うリスクがあります。

教育・引き継ぎコストの増加

属人化が進むと、新しい担当者に業務を引き継ぐ際の教育コストが高くなります。具体的には、担当者が異動したり辞めたりするたびにゼロから業務を教えなければならず、新担当者の育成に時間がかかるようになります。また最悪の場合、知識やスキルの継承が断たれ、商品やサービスの品質低下につながります。

組織の成長の阻害

属人化は組織全体の成長を妨げる要因になります。たとえば、業務のやり方が属人的な方法に依存し、新しい手法やツールの導入が進まないケースが考えられます。また、特定の担当者のスキルに依存しすぎると、経営層が現場の業務状況を把握できず、企業全体の競争力が低下するリスクがあります。

属人化のメリット

属人化は一般的に「避けるべきもの」と考えられがちですが、必ずしも悪いことばかりではありません。特定の人に依存することで、意思決定が簡略化されたり、専門的なスキルを活かした戦略が立てやすくなる場合もあります。

まず、担当者が業務に精通している場合、迅速な判断や対応が可能になります。たとえば、ベテランの営業担当が顧客の状況をすぐに把握し、スムーズに提案を進められることなどが考えられます。

また、特定の分野において、 個人の専門知識や経験が強みになることがあります。たとえば、職人技が必要な工芸やデザインなどの分野では、属人化がブランド価値を高めることがあります。この場合、属人化が他の企業に真似できないユニークな価値を発揮します。

属人化にはデメリットが多いため、標準化によるリスクを分散することが求められますが、一方で、専門性の高い分野では管理可能な範囲で属人化をコントロールすることも一つの戦略となります。

属人化が起きやすい職場の特徴

属人化は、一定の特徴を持つ環境や組織文化のもとで発生しやすくなります。以下に、業務が個人に依存しやすく、属人化が起こりやすい職場の特徴を3つ紹介します。

  • 業務マニュアルがない
  • 専門知識やスキルが求められる
  • 社員の入れ替わりが少ない

それぞれ詳しく見ていきましょう。

業務マニュアルがない

業務マニュアルが整備されていない職場では、仕事の進め方が個人の経験や暗黙知に依存しやすくなり、結果的に属人化が進行しやすくなります。これはとくに、立ち上げのスピードを優先するため、業務フローの整備が後回しになりがちなスタートアップ企業や、人手・リソース不足の関係で、マニュアル作成に手が回らない中小企業によくある例です。また、老舗企業でも「昔からこのやり方でやってきたから」という理由で、業務が明文化されていないケースが見られます。

専門知識やスキルが求められる

特定の専門知識やスキルが必要な業務は、担当者の技術や経験に依存しやすく、属人化が発生しやすくなります。たとえば、社内のシステムに特殊なプログラミング言語を使っており、特定の社員しか扱うことができないケースなどが挙げられます。また、高度な専門知識を持つ人は「言語化できないノウハウ」を持っていることが多く、他の人に教えるのが難しいことが属人化を進める要因になります。

社員の入れ替わりが少ない

社員の入れ替わりが少ない職場では、特定の社員が長年同じ業務を担当し続けることで、その人しかできない仕事が生まれやすくなります。「この仕事は○○さんに任せればいい」という意識が強くなり、他の人が関与しなくなってしまい、結果として業務が固定化されてしまいます。これはとくに、新しい人が入りにくく長年の慣習に従って業務が回っている家族経営の企業や、人の流動性が低く同じメンバーで業務を続けることが多い地方企業で多く見られます。

属人化を防ぐには、マニュアルを作成し、業務を可視化することが効果的です。加えて、組織として「チームで業務を回す」という文化を根づかせることが求められます。

属人化を防ぐ方法

属人化を防ぐためには、業務を整理するとともに、誰でも遂行できる仕組みを構築することが大切です。以下に、業務の属人化を防ぐための対策を4つ紹介します。

  • 業務フローの可視化
  • マニュアル化によるノウハウの共有
  • ジョブローテーションの導入
  • ITツールの活用

それぞれ詳しく見ていきましょう。

業務フローの可視化

属人化している業務の流れを詳細に洗い出すことで、属人化を引き起こしている要因を特定しましょう。そのうえで、とくに複雑な工程があると特定の社員しか対応できない状況を生みやすくなるため、可能な限り簡略化することが求められます。できるだけシンプルなフローを作ることで、マニュアル作成の負担を軽減し、誰でもスムーズに業務を遂行できる環境を整えられます。

マニュアル化によるノウハウの共有

属人化が進んでいる職場では、業務のノウハウが 「経験者の頭の中にしかない」 という状況がよくあります。マニュアルを作成することで、業務に必要な知識を共有し、誰でも同じレベルで業務を遂行できるようになります。たとえば、顧客対応のフローチャートを作成し、特定の担当者ではなくても同等の対応ができるようにするなどの対策が考えられます。

ジョブローテーションの導入

同じ人が長年同じ業務を担当すると、その人のやり方が業務のスタンダードになり、他の人が対応できなくなることがあります。定期的に担当業務を変更する 「ジョブローテーション」 を導入することで、業務の属人化を防ぎ、複数の社員が業務を経験する仕組みづくりが可能となります。他にもペアワークやOJTの活用により、業務の習熟を促すことなどが考えられます。

ITツールの活用

ITツールを活用することで、業務の属人化を防ぎ、情報共有をスムーズに行うことができます。たとえば、社内Wiki(Notionなど) を導入することで、業務マニュアルやナレッジを蓄積・共有し、特定の担当者に依存しない仕組みを構築できます。

これらを組み合わせることで、業務の透明性を高め、誰でも同じ業務を遂行できる環境を整えられます。さらに、教育コストの削減や不正の防止にもつながり、組織全体の業務効率と信頼性を向上させることが可能になります。

まとめ

属人化とは、特定の個人が持つスキルや知識、ノウハウに業務が依存している状態のことであり、業務の停滞や引き継ぎの困難化などのリスクを伴います。属人化を防ぐには、業務フローの可視化やマニュアル化、ジョブローテーションの導入などが効果的です。これらを組み合わせることで、業務の透明性を向上させ、教育コストを削減したり不正を防止したりすることが可能となるでしょう。

PeopleWorkの資料を無料でダウンロードいただけます

PeopleWorkの資料

下記について詳しく解説しています

  • 3分で分かる「PeopleWork」
  • 活躍人材を生み出す仕組み
  • 料金プランについて

PeopleWorkの
導入をお考えの方へ

CONTACT

導入に関するお問い合わせ

導入に関してご不明点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

ESTIMATION

見積もりを依頼する

お客さまのご状況に合わせて、最適なプランを担当者よりご提案します。

DOWNLOADS

お役立ち資料ダウンロード

社内説明等に活用いただける各種製品資料を無料でダウンロードいただけます。