人材開発・教育
2024.12.19
DX人材とは?DX人材が求められる理由や求められるスキル、DX人材育成の事例などを紹介
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デジタルトランスフォーメーション(DX)が進む現代において、多くの企業がデジタル技術を用いたビジネスの革新や業務効率の向上を目指しています。その中で重要視されているのが「DX人材」です。しかしながら、日本ではDX人材の不足が問題視され、企業のDX化を進める上で大きな障害となっています。この記事では、DX人材の基礎知識や人材の獲得方法、DX人材育成の事例などを紹介します。
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DX人材とは? DX人材が求められる理由
DX人材とは、DXを推進し、企業や社会の変革を実現するためのスキルとマインドセットを持つ人材です。デジタル技術の進歩がめざましい現代において、AIやIoT、ビッグデータなどの最新技術を十分に活用できる人材が求められるようになってきました。
しかしながら、日本においてはDXの推進が諸外国と比較して遅れているのが現状です。その要因の一つに、DXの知識や専門性を持った人材が不足していることが挙げられます。
とくに中小企業においては、DX人材の必要性への認識が不足しているケースも多く、結果としてDX人材の育成や採用が進んでいない傾向があります。こうした中で、国内のIT人材の数も依然として不足しており、とくに高度なデジタルスキルを備えたDX人材の確保が困難です。
そのような状況を踏まえ政府は、令和4年6月7日に閣議決定された「デジタル田園都市国家構想基本方針」において、DX推進人材向けのスキル習得基準を策定・公開しました。
デジタルスキル標準によると、「DX人材」には、ソフトウェアエンジニアやデータサイエンティストのような人材に加え、「ビジネスアーキテクト」と呼ばれる、DXを推進する目的の設定やプロセス管理をする人材も含まれます。テクノロジーのバックグラウンドがない代わりに、事業ドメインへの深い理解があるビジネスパーソンもまた、ビジネスを牽引するDX人材となる可能性を秘めていると言えます。
詳しくは、下記の記事を参考にしてください。
経済産業省が定めるDX人材とは? 求められるスキルや人材類型、DX人材の育成プラットフォームなどを紹介
DX人材を獲得する方法
多くの企業にとってDX人材の獲得は急務となっています。しかしながらDX人材の不足が叫ばれる日本において、こうしたスキルを持つ人材は限られています。そのため、企業は柔軟な採用・育成体制を整えるとともに、戦略的な人材育成やリスキリングの取り組みが求められます。
以下に、DX人材を獲得する方法を3つ紹介します。
- DX人材の採用
- リスキリングによる社内育成
- 外部人材の活用
それぞれ詳しく見ていきましょう。
DX人材の採用
DX人材の採用は競争率が高いため、報酬制度や待遇面での優位性を積極的にアピールする必要があります。また、企業がDXを進めていることやデジタル分野での革新を行っていることを発信し、デジタル分野に関心のある人材にアピールします。また、事前にDX人材に求める役割や必要なスキル、ノウハウを明確にしておくとよいでしょう。
リスキリングによる社内育成
必要なスキルをすぐに持つ人材を外部から採用するのは難しいため、既存社員のリスキリングを進めることも有効です。経済産業省の「デジタルスキル標準」に基づき、社内でDXに必要なスキルを段階的に学べるプログラムを用意することも考えられます。社内の潜在的なDX人材を発掘し、将来のDXリーダーを育成することも効果的です。
外部人材の活用
DXスキルは高度で専門的なことが多いため、即戦力となる外部のデジタル人材にプロジェクト単位で参画してもらうのも一つの方法です。専門性の高いフリーランス、パートナー企業と協力することで、DX推進のスピードを上げることができます。また、専門機関や大学との連携も効果的です。
DX人材の育成方法
企業においては、社員がデジタルスキルを基礎から応用まで段階的に習得できるよう、包括的な育成プログラムを導入することで、DX推進の基盤を整えることができます。以下に、DX人材育成に有効な3つの方法を紹介します。
- 基礎スキルの教育
- 実践的なプロジェクトを通じたOJT
- リスキリングとスキル認定
それぞれ詳しく見ていきましょう。
基礎スキルの教育
全社員が基本的なデジタルリテラシーを身につけられるよう、デジタル技術やツールの基礎知識を共有するeラーニングや社内研修を行います。たとえば社員全員がノーコードやローコードのツールを使って簡単なアプリ開発ができるスキルを身につけることで、業務自動化やデータ活用が促進されます。
実践的なプロジェクトを通じたOJT
研修や座学の後、実際の業務プロジェクトに参加させるOJTを行うことで学んだ知識を実務で活用する力を養います。小規模のDXプロジェクトから始め、徐々に高度なプロジェクトへ関わることで、プロジェクト推進力や課題解決能力が身につきます。たとえば経済産業省主導による「マナビDX」では、OJTを通じた実践的なDX人材育成プログラムが実施されています。
リスキリングとスキル認定
社員がDX分野で必要な新たなスキルを取得できるリスキリング制度や、学習進度を認定する資格プログラムを設けます。定期的なスキル評価を通してDXスキルの進捗を確認し、社員の成長をサポートすることも重要です。
このような育成方法を複合的に行うことで、DX人材の確保が期待できるでしょう。しかしながら、DXに必要な具体的スキルが定義しにくく、リスキリングが進まなかったり、研修や座学で学んだスキルを現場で試す機会が限られることで、せっかく学んだスキルが十分に活かせないケースも多くあります。
DX推進において、まずは社内全体にデジタルリテラシーを浸透させ、DX文化を定着させることが非常に重要です。デジタル技術への理解や活用が進むことで、社員一人ひとりがDXを身近なものと感じ、現場のDX化とデジタル変革が促進されるでしょう。
DX人材育成の事例紹介
日本企業の多くがDX推進を通じて競争力を高めるべく、社内外の専門機関との提携や、社内に学習プラットフォームを設けるなど独自の教育体制を整備して社員のスキル向上に取り組んでいます。
以下に、DX人材育成に取り組んでいる企業の例を3つ紹介します。
ダイキン株式会社
ダイキンは大阪大学と協力して「ダイキン情報技術大学(DICT)」を設立、若手社員のAIやIoTのスキルの育成に取り組んでいます。カリキュラムは基礎知識の座学と実践的な課題解決を含み、卒業後は工場の稼働管理や設備の予防保全などに活用されています。また、縦横のネットワークを形成することで、DX推進に向けた企業文化の醸成も進めています。
参照:ダイキン
株式会社LIXIL
LIXILのDX人材育成では、全社員のデジタル基礎教育と専門知識のスキルアップを行っています。デジタル基礎教育にはノーコード開発ツールを使い、専門知識のない社員も独自に業務ツールを開発できる環境を提供しています。また、生成AIやデータ活用基盤を導入し、データドリブンな意思決定を支援しています。
参照:LIXIL
中外製薬株式会社
中外製薬では、DX人材育成に向けて「Chugai Digital Academy(CDA)」を設立し、包括的な教育プログラムを実施しています。このプログラムは基礎から実践まで段階的に学べるカリキュラムで構成されており、デジタルリテラシー向上から専門スキルの習得まで様々なスキル育成に対応しています。とくにデジタル知識を養うeラーニングでは、デジタルプロジェクトリーダーやデータサイエンティストの育成に注力しています。
参照:日経クロステック
まとめ
DX人材とは、DXを推進し、企業や社会の変革を実現するためのスキルとマインドセットを持つ人材を指します。DXの実現には、デジタル技術とビジネス理解を兼ね備えたDX人材の存在が不可欠ですが、日本では依然としてDX人材が不足しているのが現状です。今後、企業の競争力強化のためにDX人材を獲得するとともに、学習プラットフォームの設置や社内外の専門機関との提携などを通して、社員のスキル向上に取り組むことが求められます。