人事評価
2025.01.23
フィードバックとは? ビジネスにおける意味や効果、実施方法を解説
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「メンバーに対し改善点を適切にフィードバックする方法がわからない」
「フィードバックの効果を高めるコツが知りたい」
このような悩みを抱える、マネージャーやチームリーダーの方もいるのではないでしょうか?
実は、ビジネスで使えるフィードバックにはいくつもの種類や方法があり、実施目的や評価対象者に合ったフィードバック法を選択し、ポイントを押さえて実施することで効果の拡大が期待できます。
社員の成長や信頼関係の構築を実現させたいマネージャーやチームリーダーは、ぜひ参考にしてください。
フィードバックのビジネスにおける意味
フィードバックとは、「相手の行動に対する評価や改善点を、本人に伝えること」です。ビジネスシーンにおけるフィードバックは、「業務上の行動や成果に対する評価や改善点を、本人に伝えること」を意味します。
具体的には、課題の解決や成長促進を目的として、軌道修正案を提示したり、動機づけを促すコメントを行ったりします。フィードバックは上司から部下に対して行われることが多いといえますが、部下から上司へ、あるいは同僚間で行われることも少なくありません。
フィードバックの重要性
たとえば、上司からのフィードバックがないと、部下は「自分は期待されていない」「関心を持ってもらえていない」などと感じてしまうことがあります。結果的に、仕事に対するモチベーションや責任感が低下し、パフォーマンスに悪影響を及ぼしかねません。
また、フィードバックがないまま仕事を遂行する環境の場合、「自分の仕事がどの程度評価されているのか」「組織に貢献できているのか」がわかりにくく、軌道修正の必要性や自分の強みを理解することが困難です。それにより、成長の機会が損なわれてしまうリスクをはらみます。
社員の成長やパフォーマンスの向上を促すためには、定期的なフィードバックが欠かせません。
フィードバックの種類
フィードバックには、以下のようにいくつかの種類があります。
- ポジティブフィードバック
- ネガティブフィードバック
- コンストラクティブフィードバック
- 360度フィードバック
- インフォーマルフィードバック
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ポジティブフィードバック
ポジティブフィードバックとは、成果をあげたあるいは模範となる行動に対して行う、肯定的なフィードバックのことです。褒めるだけではなく、相手が仕事への自信を持ち、積極性が向上するように働きかけます。
具体的には、行動や成果への感謝やねぎらいの言葉をかけ、成長した点などについて伝えます。
ネガティブフィードバック
ネガティブフィードバックは、目標が未達成に終わったことや誤った方向性に進みつつあることを指摘し、改善を促すフィードバックのことです。現状維持にとどまらず、さらにパフォーマンスを高めてほしいときに、相手に指摘し成長を促します。
ただし、人によってはネガティブフィードバックを受けると過度なストレスを感じるでしょう。伝え方には、十分配慮しましょう。
コンストラクティブフィードバック
コンストラクティブフィードバックとは、誤った行動を肯定的に指摘しながら、望ましい方向へと導くフィードバックのことです。
頭ごなしに否定するのではなく、まずは相手の考えや行動を肯定したうえで、建設的なフィードバックを行うことが特徴です。
360度フィードバック
360度フィードバックとは、上司から部下だけではなく部下から上司、他部署、取引先などさまざまな立場の人たちがお互いにフィードバックし合う形態のことです。
多角的な評価であることから、それまで気がつかなかった自分の一面を知るきっかけとなるでしょう。ただし、複数の人に批判されるネガティブフィードバックとなってしまうと、相手が大きなストレスを抱えてしまうリスクがあるため、注意しましょう。
インフォーマルフィードバック
インフォーマルフィードバックとは、面談や人事考課などの場ではなく、業務の延長線上で行うフィードバックのことです。相手の行動をその場ですぐに褒めたり指摘したりすることができる点がメリットといえるでしょう。
とくにネガティブフィードバックにおいて、時間を空けずに伝えられるため効果的です。
フィードバックの効果
フィードバックの主な効果としては、以下の4点が挙げられます。
- 適切な対応の実現
- パフォーマンスの向上
- モチベーションの向上
- 信頼関係の構築
それぞれの内容を解説します。
適切な対応の実現
フィードバックを通じて、相手が抱えている課題や問題が明らかになり、適切な対処法を講じることができるため解決に導くことが可能です。たとえば、部下が顧客から対応がやや困難な要望を受けた場合でも、知見や経験の豊富な上司がフィードバックをすることによって、問題の解決につながる可能性が高まります。
パフォーマンスの向上
的確なフィードバックができれば、相手は自分の行動を見直し、仕事のパフォーマンスを向上させることができるでしょう。適切な仕事の進め方や対処法を学び、自らの成長につなげられるため、生産性の向上が期待できます。
モチベーションの向上
モチベーションの向上も、フィードバックを行うことで得られる効果の1つです。定期的なフィードバックが行われると、評価者にしっかりと見てもらえているという気持ちになるでしょう。
また、自分がすべきことが明確になったり、感謝やねぎらいの言葉を受けることで仕事に対してポジティブなイメージを持てるようになったりするため、モチベーションが向上すると考えられます。
信頼関係の構築
フィードバックが効果的に機能すると、コミュニケーションが活性化し、評価者と評価対象者の間で信頼関係が構築されます。フィードバックを行うことで、「あなたをしっかり見ている」というメッセージを伝えられるため、相手は自分が尊重されていると感じ、安心感や信頼感が生まれるでしょう。
360度フィードバックなど全方位型のタイプもあるものの、フィードバックでは、基本的に縦のつながりが強化されます。横のつながりも強化し、新入社員や若手社員が「誰に業務内容を尋ねたらよいかわからない」と悩む状況を生まないようにするためには、「PeopleWork」が役立ちます。
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フィードバックの具体的な方法
フィードバックの具体的な方法として、以下の5つが挙げられます。
- SBI型
- KPT型
- FEED型
- サンドイッチ型
- ペンドルトン型
それぞれの方法を見ていきましょう。
SBI型
SBI型は、以下の順番でフィードバックを行う方法です。
- Situation:相手の置かれていた状況
- Behavior:相手の行動
- Impact:相手の行動によって生じた影響
SBI型は、原因と結果をわかりやすく伝えられるため、相手の納得感を得るのに適しています。ポジティブフィードバック、ネガティブフィードバックのいずれにも使え、汎用性が高いことも特徴です。
KPT型
KPT型は、エンジニアの開発現場での、1週間の振り返りによく使われる方法です。以下の順番で行います。
- Keep:良かったこと、今後も続けるべきこと
- Problem:抱えている課題
- Try:改善すべきこと
KPT型は、問題点だけではなく良かった点も振り返られることや、課題の早期発見・解決につながることがメリットです。開発現場でよく用いられるものではありますが、業務の種類を問わずに活用できるフィードバック方法といえるでしょう。
FEED型
FEED型は、相手の行動から改善策までを、一連の流れの中で伝えられるフィードバック方法です。具体的には、以下の4段階の流れで進めます。
- Fact(事実)
- Example(具体例)
- Effect(影響)
- Different(変更点・改善点)
相手の行動をもとに改善案まで伝えられるため、行動変容を促しやすく、ネガティブフィードバックに向いている手法といえます。
サンドイッチ型
サンドイッチ型は、その名のとおりポジティブフィードバックとネガティブフィードバックを挟む方法です。「褒める」「改善点の指摘」「褒める」という順番で伝えます。
最初と最後がポジティブな内容になるため、相手の自尊心を守れる反面、ネガティブな内容が薄れやすい点に注意しましょう。
ペンドルトン型
ペンドルトン型は、心理学者ペンドルトン氏が考案した、評価者と評価対象者が双方向のコミュニケーションを取り、改善点を探るフィードバック方法です。
評価者からの一方的なフィードバックではなく、評価対象者自身が振り返りを行うため、モチベーション向上につながりやすい側面があります。
フィードバックの効果を高める4つのポイント
フィードバックの効果を高めるために押さえておきたいポイントは、以下の4点です。
- 目的を明確に伝える
- 適切な頻度とタイミングで実施する
- 実施場所を慎重に選ぶ
- 性格ではなく行動を評価する
それぞれのポイントについて解説します。
目的を明確に伝える
フィードバックの目的を明確に伝えることで、評価対象者は、評価あるいは指摘された内容を踏まえて、どのように行動すべきか正しく理解できるようになるでしょう。
評価者と評価対象者が共通の目的意識を持つことで、フィードバックの効果がより高まると考えられます。
適切な頻度とタイミングで実施する
フィードバックは、適切な頻度とタイミングで実施することが欠かせません。早い段階であればあるほど、相手もそのときの状況や行動を鮮明に思い出せるはずです。
報告を受けた際やミーティング直後、業務中の問題に気がついたタイミングなど、可能な限り頻繁にフィードバックを行うことをおすすめします。
実施場所を慎重に選ぶ
フィードバックを実施する場所は、慎重に選びましょう。とくにネガティブフィードバックを行う場合、他の社員がいる場所で行わないようにすることが大切です。
また、緊張していると話に集中しにくいため、なるべくリラックスできる環境を選ぶとよいでしょう。
性格ではなく行動を評価する
フィードバックを行う対象はあくまでも相手の行動であり、性格や人間性への指摘を行わないことが基本です。性格や人間性について言及されると、言及された側は攻撃されているような気持ちになり、場合によってはハラスメントだと受け止められてしまいかねません。
フィードバックを行う際は、性格に対してではなく、行動に対して行うように意識しましょう。
まとめ
ビジネスシーンにおいて適切なフィードバックを行うことは、課題の解決や、社員のパフォーマンス・モチベーションの向上につながります。また、評価者と評価対象者の間に信頼関係が構築されることも期待できます。場面に合った種類・方法でフィードバックを実施できるよう、日頃から意識しておけるとよいでしょう。