人事労務

2024.09.24

福利厚生とは? 福利厚生の種類やメリット、導入時の注意点、ユニークな福利厚生の導入事例などを紹介

  • #福利厚生
福利厚生とは? 福利厚生の種類やメリット、導入時の注意点、ユニークな福利厚生の導入事例などを紹介

現代の企業経営において、福利厚生の充実は欠かせない要素となっています。とくに近年では、社員のモチベーション向上や人材の定着率を高めるために、従来の枠を超えた多様な福利厚生が注目されています。この記事では、福利厚生の基本的な考え方やそのメリット、導入事例などを詳しく紹介します。

福利厚生とは?

福利厚生とは、企業が社員に提供する給与以外の補助やサービスです。これには社員の健康維持、生活の安定、仕事と生活の両立支援など、社員が安心して働ける環境を整えるための様々な取り組みが含まれます。また、福利厚生は社員の満足度を高め、企業への帰属意識を強化する重要な手段といえます。

今、福利厚生の充実が求められる理由

福利厚生は企業が優秀な人材を確保し、長期的に定着させるための一つの手段といえます。とくに近年、競争が激化する労働市場では、福利厚生が社員の満足度を向上させる要因として、あらためて注目されるようになりました。また、働き方改革やワークライフバランスの重視が進む中で、社員の多様なニーズに応えるための柔軟な福利厚生が求められるようになってきています。

福利厚生の種類

福利厚生は、大きく分けると「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の二種類があります。

法定福利厚生

法定福利厚生は、法律で会社から社員への提供が定められた福利厚生で、社員の基本的な生活を保障するための制度です。この制度は社員が安心して働ける環境を整えるために設けられており、主に健康、年金、失業、労働災害などのリスクに対応することを目的としています。主な例として以下のものが挙げられます。

健康保険:社員とその家族の医療費を補助するための保険制度です。企業と社員がそれぞれ保険料を負担します。

厚生年金保険:社員の老後の生活を支える年金制度で、企業と社員が保険料を負担します。

雇用保険:社員が失業時に一定の給付を受けられる制度です。失業手当のほか、育児休業給付金や教育訓練給付金も含まれます。

労災保険:業務中の事故や病気、通勤中の怪我などに対する補償制度です。

法定外福利厚生

法定外福利厚生は、企業が自主的に提供する福利厚生で、社員の満足度向上や働きやすさを追求するものです。法定外福利厚生は企業の方針や文化によって大きく異なり、社員のニーズに合わせたカスタマイズが可能ですが、代表的な例として以下のようなものが挙げられます。

慶弔見舞金制度:結婚や出産、家族の死去などの際に支給される一時金です。社員の生活イベントを支援します。

社内託児所:小さな子どもを持つ社員が安心して働けるよう、社内で子どもを預かる施設です。育児と仕事の両立を支援します。

特別休暇:法定休日とは別に与えられる休暇です。例として、リフレッシュ休暇や誕生日休暇、長期勤続者への特別休暇などがあります。

社員食堂:社員に低価格、または無料で食事を提供する施設です。健康的な食事を提供することで、社員の健康管理にも寄与します。

施設利用の割引:レジャー施設や宿泊施設、フィットネスクラブの利用割引などを提供する制度で、社員の余暇活動を支援します。

福利厚生を充実させるメリット

福利厚生の充実は社員だけではなく、企業に対しても様々なメリットをもたらします。企業にとっては重要な戦略ともいえるでしょう。以下に、メリットを3つ紹介します。

  • 社員のモチベーション向上
  • 人材確保と社員の定着
  • 企業のブランドイメージ向上

それぞれ詳しく見ていきましょう。

社員のモチベーション向上

福利厚生は社員のモチベーションを向上させる効果があります。福利厚生が充実している企業では、社員が「大切にされている」と感じるため、仕事に対する意欲が自然と高まります。働きやすい環境や充実したサポート体制が整っていると、社員はストレスが軽減され、業務に集中できるようになります。また、仕事とプライベートのバランスが取れることで、精神的・身体的な健康も維持され、結果的に生産性が向上します。

人材確保と社員の定着

福利厚生は優秀な人材を引き付け、長期的に働いてもらうための大きな要因となります。福利厚生を充実させ求職者にとって魅力的な職場環境を提供することは、優秀な人材を引き付けるきっかけになります。また、福利厚生が整っている企業は、社員に安心感と満足感を与え、企業に対する忠誠心や愛着を高めます。これにより、社員が長期間働き続けたいと感じるため、離職率が低下し、結果的に人材の確保と定着が実現します。

企業のブランドイメージ向上

福利厚生の充実は、社員に対して企業が配慮している姿勢を外部に示すことに繋がり、企業のイメージアップにも貢献します。充実した福利厚生は、企業が社員の生活や健康に真剣に取り組んでいる証拠となり、企業が「働きやすい環境を提供している」として認識されます。また、既存の社員が満足している環境は、社外にポジティブな口コミとして広がり、企業の評判を高めることにも繋がります。これらの要素が重なり、結果的に企業全体のブランド価値が向上し、社会的な信頼を得ることができるのです。

福利厚生の充実は様々なメリットをもたらす一方で、企業コストの増加、制度運用の複雑化、そして社員間での不公平感の発生といったリスクを伴うため、導入の際には慎重な姿勢が求められます。つぎの項目で、注意点について確認しましょう。

福利厚生制度を導入するときの注意点

福利厚生制度を導入する際には、様々な要素を慎重に検討することが求められます。具体的には以下の5つの注意点があります。

  • 社員ニーズの把握
  • コストと効果のバランス
  • 公平性の確保
  • 見直しのできる体制
  • 制度の周知

それぞれ詳しく見ていきましょう。

社員ニーズの把握

福利厚生制度が効果を発揮するためには、社員のニーズを正確に理解することが不可欠です。調査やアンケートを通じて社員が求める福利厚生を把握し、それに基づいて制度を設計することで、社員満足度の向上が期待できます。

コストと効果のバランス

福利厚生の導入にはコストがかかるため、その費用対効果を慎重に検討することが求められます。高額な制度を導入しても利用率が低ければ、企業にとって負担となるだけです。コストと効果のバランスを見極め、持続可能な範囲で最大の効果を得られる制度を設計しましょう。

公平性の確保

福利厚生はすべての社員に平等に提供されるべきです。特定の社員だけが利用できる制度は、不公平感を生み、職場の士気に悪影響を及ぼすリスクがあります。そのため制度の設計と運用においては、公平性を確保することが非常に重要です。

見直しのできる体制

社会の変化や社員のライフスタイルの多様化に対応するため、福利厚生制度も柔軟に見直しができる体制を整えることが重要です。たとえば昨今だとリモートワークの普及に合わせた新たな支援策を導入するなど、変化に対応できる制度設計が求められます。

制度の周知

福利厚生制度が導入されても、社員がその内容や利用方法を理解していなければ制度の効果が発揮されません。そのため、福利厚生についての情報を社員に明確かつ積極的に伝えることが重要です。社内のポータルサイトや説明会などを活用して、社員が福利厚生制度を活用できるようにサポートすることが求められます。

これらのポイントを踏まえて、福利厚生制度を計画的かつ慎重に導入・運用することで、社員の満足度を高め、企業の成長と持続可能性を確保することができます。

参照:NTTビジネスアソシエ東日本

ユニークな福利厚生を導入している企業の例

LINEヤフー

LINEヤフー株式会社は社員の資産形成を助ける福利厚生を多数導入しています。その一つが「株式累積投資制度」です。これは毎月一定の金額を継続的に株式投資を行える制度であり、その積立金に加え、会社からの奨励金があります。

参照:LINEヤフー

バンク・オブ・イノベーション

バンク・オブ・イノベーションは福利厚生に「花粉症手当」を導入しています。具体的には花粉症の診察代や上質ティッシュ、マスク、目薬などを支給する制度です。通院費用も年に1回まで会社が負担します。

参照:バンク・オブ・イノベーション

ヤプリ

株式会社ヤプリでは長期的に安心して働けるように支援する「lily制度(働き方支援制度)」を採用しています。従来の産休育休制度に加え、保活サポートや妊活、不妊治療の支援など、ライフステージに合わせたサポートを行っています。

参照:ヤプリ

面白法人カヤック

カヤックの福利厚生には「サイコロ給」と「スマイル給」があります。「サイコロ給」は、社員は毎月サイコロを振り、その出た目によって給料が上乗せされる制度です。運試しの要素を取り入れ、社員が楽しめる要素を取り入れています。

参照:面白法人カヤック

まとめ

福利厚生は、社員の生活の質を向上させ、企業の競争力を高める重要な要素です。法定福利厚生と法定外福利厚生をバランスよく取り入れることで、社員のモチベーションや定着率を向上させることができます。ただし、導入にはコストや制度運用の難しさが伴うため、計画的に進めることが必要です。各企業の独自性を活かした福利厚生制度の導入が、今後の企業成長において鍵となるでしょう。

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