人材開発・教育

2025.04.14

スキルアップとは? 具体的な方法や企業が取り組むべき施策について解説

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スキルアップとは? 具体的な方法や企業が取り組むべき施策について解説

スキルアップの重要性を理解していても、実際の現場では日常業務が優先されて後回しになってしまいがちです。

また、ひとくちにスキルと言っても、実務上のスキルから、いわゆる「人間力」や「地頭」と呼ばれるようなものまで、人によって求めるものも想像するものも異なります。

この記事では、「そもそもスキルアップとは何か」という概要から、社員にスキルアップを促す支援方法まで、まとめて解説します。

ビジネスにおけるスキルアップとは

ビジネスにおける「スキルアップ」とは、業務に役立つスキルの向上を意味します。「スキル(Skill)」という単語は技術や技能を指しますが、ビジネスシーンでは、コミュニケーション能力や知識、業務への姿勢など、より広範囲かつ概念的な能力全体を含めることが一般的です。

ビジネスで重視される「スキル」の種類

ビジネスで重視されるスキルは幅広く、また役職や職種、会社によっても求められるスキルは異なります。多種多様なスキルをわかりやすく整理した手法の一つが、カッツモデルです。

カッツモデルでは、ビジネスで必要とされるスキルを性質によって3つに分類しています。

テクニカルスキル特定の作業に要するプロセスや手順に関するスキル。実務能力。
例:機械操作、商品知識、プログラミング、会計処理など
ヒューマンスキル組織内のメンバーと連携したり、適切な指導を行ったりするスキル
例:リーダーシップ、コミュニケーション、動機付けなど
コンセプチュアルスキル組織の方向性や組織構築、メンバーの最適な行動促進に関するスキル
例:論理的思考、柔軟性、俯瞰力など

参照:内閣官房|管理職に求められる「マネジメント」、管理職が執るべき行動の在り方について(管理職のマネジメント能力に関する懇談会 第1回 資料6)

この分類では、組織内のマネジメント階層ごとにどのスキルが重視されるかという観点が採り入れられています。

テクニカルスキルは、現場のメンバークラスや、下位のマネジメント層で主に重視されるスキルです。スキルアップを図りやすく、また資格などでレベルを計りやすい一方で、会社・業界・職種ごとの差が大きく、異なる会社では役に立たなくなってしまうこともあります。

たとえば、ある会社で専用システムの操作に熟達していても、そのシステムが使われていない他の会社では、そのスキルは役に立ちません。

また、卸売業者向けの営業でトップセールスを上げている営業担当者でも、保険商品の提案などエンドユーザーに向けた営業では、商品知識や営業手法を学び直す必要があります。

ヒューマンスキルは、ポジションを問わず重視されるスキルです。本人の価値観やそれまでの人生経験などビジネス以外の要素にも左右されるため、一朝一夕では身に付けにくいスキルといえるでしょう。しかし、会社や業界が変わっても力を発揮しやすく、またあらゆる業務を円滑に進行する上での基礎能力でもあります。

コンセプチュアルスキルは、経営層や事業部長など高位のマネジメント層で特に重視されるスキルです。組織運営や組織の成長に深く関わっており、スキルの熟達度合いは組織全体に影響します。

3つのスキルのうち、ヒューマンスキルやコンセプチュアルスキルのように会社や業界が変わっても活用できるスキルを「ポータブルスキル(持ち運びできるスキル)」と呼ぶこともあります。

スキルアップとキャリアアップとの違い

スキルアップとキャリアアップは、向上させる対象が異なります。スキルアップでは技術や能力の向上を目指しますが、キャリアアップで向上させるのは役職や年収です。

スキルアップがキャリアアップにつながることもありますが、スキルアップはあくまでキャリアアップの手段の一つにすぎません。

【企業側・社員側】スキルアップのメリット

スキルアップは、企業と社員の双方にメリットをもたらします。それぞれの立場にとってどのようなメリットがあるのかを解説します。

【企業側】スキルアップのメリット

社員がスキルアップすることによる企業側の主なメリットとして、以下の3つが挙げられます。

  • 企業全体の収益の向上
  • 取引先からの評価の向上、顧客の拡大
  • 企業イメージの向上

社員がスキルアップすると、業務効率が上がり、生産性が向上します。社員一人ひとりの生産性が少しずつでも高くなれば、企業全体には大きなプラスの影響を及ぼすでしょう。

また、顧客に新たな価値を提供できるようになるため、顧客からの評価が上がり、顧客単価の上昇や継続的な受注も期待できます。社員が新しい知識や提案力を身に付けられれば、既存顧客だけでなく、新規顧客の開拓にも力を発揮するでしょう。

さらに社員のスキルアップに力を入れているということ自体が、企業イメージの向上にもつながります。特に人材採用においては、会社選びの際に「企業の研修やスキル習得支援の内容を意識する」と回答した人が9割以上に上るとした調査もあります。

参照:株式会社学情|9割超が、転職活動において研修やスキル習得支援の内容を意識。「VUCAの時代は、学び続けることが必要だと思う」の声/20代アンケート

【社員側】スキルアップのメリット

スキルアップによる社員側の主なメリットには、以下の3つが挙げられます。

新たなスキルを習得したり既存のスキルを高めたりすることで、携わることのできる業務の範囲が広がります。社内での評価につながるだけでなく、転職や昇格などキャリアアップにもつながりやすいでしょう。

スキルアップは、業務効率の向上も期待できます。特にテクニカルスキルを向上させると、今までよりも短時間かつ正確な作業が可能になり、残業時間の軽減につながります。業務効率の向上は自信にもなるため、仕事へのモチベーション向上にも効果的です。

スキルアップのための具体的な方法

スキルアップの具体的な方法として、採り入れやすいものをいくつか解説します。

  • 資格を取得する
  • セミナーやワークショップに参加する
  • 外部の教育機関を利用する
  • 副業を始める

これらの手法は個人でも取り組みやすいため、自分自身のスキルアップだけでなく部下や後輩にスキルアップを促す際にも有効です。

資格を取得する

業務に関連する資格がある場合は、取得を目指すとよいでしょう。具体的な目標があることでモチベーションになり、学習の過程では、体系的かつ効率的に知識や技術を習得できます。

資格は客観的な指標でもあるため、社内での昇格や昇給、転職といったキャリアアップにもつながります。

セミナーやワークショップに参加する

専門家から直接指導を受けられるセミナーやワークショップに参加すれば、正しい知識や技術を学べます。参加しやすい単発での開催も多く、ヒューマンスキルやコンセプチュアルスキルの向上にもつながる幅広い内容の講座があるのが魅力です。

また、講師や他の受講生の存在があるため、独学よりもモチベーションを維持しやすい点もメリットといえるでしょう。

外部の教育機関を利用する

外部の教育機関には、大学で開かれている社会人向けの講義、各種スクール、ハローワークによる無料の職業訓練などが挙げられます。オンラインスクールを利用すれば、通学の時間や費用を節約できるため、会社の仕事と無理なく両立できるでしょう。

副業を始める

副業では、知識や技術を習得しながら、本業以外の収入も得られます。また、個人で仕事を受けることになるため、価格交渉やスケジュール管理を通じて、仕事への向き合い方や自身の市場価値など視野を広げる機会になるでしょう。

ただし、副業を始める際には、勤務先の就業規則を事前に確認することが重要です。機密保持などの観点から副業が禁止されていたり、会社の承認が必要とされていたりする場合もあります。

就業規則に違反すると注意を受けたり何らかの処分を受けたりする可能性もあるため、必ず事前に確認しましょう。

企業が採れるスキルアップのための施策

社員にスキルアップをしてほしいと思っても、社員自身が日々の業務に追われ、なかなか自主的に行動できないことも少なくありません。そのようなときは会社として支援体制を充実させることで、社員のスキルアップを促せます。

  • 研修制度の充実を図る
  • スキルアップに関する制度を見直す
  • eラーニングを採り入れる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

研修制度の充実を図る

研修はスキルの習熟度や職位に応じて実施することで、必要なスキルを過不足なく習得してもらうことができます。グループワークやディスカッション、ロールプレイングなど参加型の形式にすると、より主体的に取り組めるため学習効果が高まるでしょう。

また「OJT(現場での実務研修)」と「OFF-JT(座学)」の組み合わせもおすすめです。研修で学んだことが現場にどう活かせるのかを社員が実感しやすく、スキルアップ研修を受けるモチベーションにもつながります。

スキルアップに関する制度を見直す

人事制度の一環として、スキルアップに関する制度の見直しも効果的です。会社がスキルアップを制度として支援している姿勢を見せることで、スキルアップそのものはもちろん、社員のモチベーション向上にもつながります。

具体的には、新入社員など社歴の浅い社員に先輩社員が助言・指導する立場(メンター)につく「メンター制度」や、さまざまな部門を異動し業務を経験する「ジョブローテーション制度」が挙げられます。

メンター制度は、若手の社員が職場での悩みやキャリアなど幅広く相談に乗ってもらうことで、仕事への考え方や成長への意識を醸成していくことができます。また、メンターの側にも、自身のスキルを振り返ったり、後輩を育成するスキルを身に付けたりすることができるといった効果があります。

ジョブローテーション制度は、幅広い視野を獲得し、配属部署で円滑に業務を進めたり部門間で連携をとったりするのに役立つでしょう。

eラーニングを採り入れる

eラーニングは、スキルアップ研修を社員が受けやすくなるようにするために有効です。オンラインで研修が完結するため、業務の空き時間など社員一人ひとりが都合の良いタイミングで受講できます。わからないところを繰り返し視聴できるため、自分の理解度に合わせた学習が可能で、理解が深まりやすい点もメリットといえるでしょう。

ここまでに見てきたような制度をより効果的に実施する上では、「PeopleWork」の「オンボーディング」機能が役立ちます。「PeopleWork」にご興味をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードして詳細をご確認ください。

まとめ

ビジネスにおけるスキルアップとは、実務的な技術だけでなく、コミュニケーション能力や判断力などビジネス上で必要とされる能力全般の向上を意味します。

社員一人ひとりが積極的に取り組むことはもちろん、会社側も社員の意識を高めスキルアップにチャレンジできるよう、研修制度を充実させるなどさまざまな方法で支援することが重要です。

この記事を担当した人

PeopleX コンテンツグループ

人事・労務・採用・人材開発・評価・エンプロイーサクセス等についての用語をわかりやすく解説いたします。

これまでに出版レーベル「PeopleX Book」の立ち上げ、書籍『エンプロイーサクセス 社員が成功するための7つの指針』の企画・編集、PeopleX発信のホワイトペーパーの企画・編集などを担当しました。

株式会社PeopleXについて
エンプロイーサクセスHRプラットフォーム「PeopleWork」の開発・運営をはじめとした、新しい時代に適合したHR事業を幅広く展開する総合HRカンパニーです。

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