人材開発・教育
2024.08.20
OJTとは? 目的や企業が実施するメリット、成功させるためのポイントを紹介
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企業において社員の能力開発やスキル向上は重要な課題です。その中でも、実際の業務を通じて行うOJTは、多くの企業で採用されています。しかし、効果的なOJTを実施するためには、計画から評価までの綿密なプロセスが必要です。 この記事では、OJTのメリットや注意点、実施の手順などを詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
OJTとは?
OJT(On-the-Job Training)は、日本語では「現任訓練」と表され、職場で実際の業務を通じて行う教育訓練のことを指します。新入社員やスキルアップを目指す社員が、先輩や上司の指導のもとで実務を経験しながら能力開発を行うのが一般的です。
小売店のケースを例にすると、新たに入社した販売スタッフがベテランスタッフの指導の下で、商品の陳列や在庫管理、顧客対応などをマンツーマンで学んでいくようなイメージです。
OJTと対になる教育訓練を「Off-JT(Off-the-Job Training)」と言います。日常の業務を通じて教育を行うOJTに対し、Off-JTは職場や業務から離れ、専門の講師を招いたり、研修施設などで特別な時間や場所を取って行う教育を指します。
OJTを行う目的・メリット
OJTを行う目的やメリットを5つにまとめました。
- 即戦力の育成
- コスト削減
- チームビルディング
- 会社の価値観や文化の浸透
- 指導者の成長
それぞれ詳しく見ていきましょう。
即戦力の育成
OJTでは、社員が実際の業務を通じて学ぶため、理論だけでなく、即実行可能な実践的なスキルを身につけることができます。業務の流れや会社の方針、仕事の進め方などを直接体験することで、理解が深まりやすくなります。とくに新入社員にとっては、会社の文化や業務プロセスにスムーズに馴染むことができます。
コスト削減
外部の研修やセミナーに比べ、OJTは社内で行うため、直接的な教育費用を抑えることができます。また、業務中に学習を行うため、別途時間を割いて研修を行う必要がなくなります。これにより、業務を続けながら社員のスキルアップができます。
チームビルディング
指導者と被指導者の間での対話が増え、コミュニケーションが活発になります。指導を通じて、互いの理解が深まり、信頼関係が築かれやすくなることで、職場の雰囲気が向上し、チームワークが強化されます。
会社の価値観や文化の浸透
OJTは、会社の価値観や文化を新入社員に浸透させるための手段にもなります。現場での実務を通じて、企業のビジョンやミッションを体感し、企業文化に馴染んでもらう効果もあります。
指導者の成長
OJTは指導者の成長も促します。新人や部下を指導する過程で、効果的なコミュニケーションや問題解決能力を磨くことが指導者に求められるからです。この経験により、マネジメントスキルやリーダーシップが鍛えられ、指導者自身の成長にも繋がります。
OJTを行うことで発生するデメリット
OJTには様々なメリットがある一方で、デメリットもあります。以下、4つにまとめました。
- 指導内容が指導者に依存する
- 体系的に業務を学びにくい
- 指導者の負担が大きい
- 教育の進捗が見えにくい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
指導内容が指導者に依存する
OJTでは、指導者(先輩社員や上司)が直接指導するため、その指導力や経験に大きく依存します。教え方に偏りがあったりすると、教育の質にばらつきが生じることがあります。
体系的に業務を学びにくい
OJTは実務を通じた教育であるため、特定の作業や業務に対する実践的なスキルは身につきやすいです。しかし一方、業務全体の体系的な理解やビジネス理論の学習が難しいことがあります。
指導者の負担が大きい
OJTを担当する指導者は、自分の通常業務に加えて教育業務も行わなければならないため、業務負担が増加します。とくに、プロジェクトの締め切りが迫っている時期などは、新入社員の指導を行う余裕がなくなる場合があります。
教育の進捗が見えにくい
OJTでは日常の業務の中で教育が行われるため、進捗状況が見えにくく、計画的な評価や改善が難しいことがあります。指導者が進捗を把握しきれない場合、教育効果の評価が不十分になることがあります。
指導者に求められる能力
OJTの成果は指導者の能力に大きく影響されます。以下に、指導者に求められる能力を5つにまとめました。
- コミュニケーション能力
- 専門知識と実務経験
- フィードバック力
- 柔軟性と適応力
- リーダーシップとモチベーション
それぞれ詳しく見ていきましょう。
コミュニケーション能力
効果的な指導とフィードバックを行うためにコミュニケーションは欠かせません。社員に対してわかりやすい説明を行い、理解度を確認しながら進める能力が求められます。
専門知識と実務経験
教育対象者が学ぶべき業務に関する深い知識と経験が必要です。具体的な業務内容についての知識を持ち、それを適切に教える能力が求められます。
フィードバック力
適切なフィードバックを行うことで、社員の成長を促進することができます。ポジティブなフィードバックだけでなく、改善点についても建設的に伝える能力が重要です。
柔軟性と適応力
社員一人ひとりの特性や学習スタイルに合わせて指導方法を調整できる柔軟性があると、学習が促進されます。また、予期せぬ状況にも適応し、迅速に対応できる能力も必要です。
リーダーシップとモチベーション
指導する社員をリードし、モチベーションを高める力が求められます。指導者自身が模範となり、チームの士気を高める役割を果たします。
効果的なOJTのための4ステップ
効果的なOJTを実施するためには、計画から評価までの一連のプロセスをしっかりと管理することが重要です。以下に、OJTを実施するための4ステップをご紹介します。
- 準備と計画
- 指導者の選定
- 実施とフィードバック
- 改善とフォローアップ
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 準備と計画
OJTを開始する前に、詳細な計画を立てることが必要です。トレーニングの具体的な目標を設定します。教育内容や進行スケジュールを策定し、どの業務をどの順番で教えるかも明確にしておきましょう。
2. 指導者の選定
OJTの方向性が決まったら、適切な指導者を選定します。指導者は専門知識や指導経験が豊富で、コミュニケーション能力が高いことが求められます。前述の通り、OJTの質は指導者に依存することが多いため、選定は慎重に行ってください。
3. 実施とフィードバック
実施に際して、OJT対象者に目的や進め方を説明し、全体の流れを把握してもらいます。その上で手本を見せつつ、具体的なタスクを学んでいきます。実施中は定期的に進捗を確認し、適宜フィードバックを行います。良い点を認め、改善点を指摘することで、継続的な成長を促すことができます。
4. 改善とフォローアップ
事前に設定した目標に対する達成度を評価するとともに、OJTの結果を分析し、必要に応じて手順や指導方法の改善を行います。また、OJT終了後も定期的にフォローアップを行い、社員の成長をサポートします。必要に応じて、追加のトレーニングやアドバイスをしてもいいでしょう。
まとめ
OJTは、実践的なスキルを身につけるための有効な教育方法です。効果的なOJTを実施するためには、明確な目標設定や適切な指導者の選定、定期的なフィードバックが重要です。企業はOJTを活用することで、即戦力となる社員を育成し、組織全体のパフォーマンス向上を図ることができます。