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2025.04.08

OKRとは? KPI・MBOとの違いや導入方法、具体例を解説

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OKRとは? KPI・MBOとの違いや導入方法、具体例を解説

OKRは、「目標」と「主要な結果」から構成される目標設定・目標管理のための手法です。会社全体の目標と社員の目標を結びつけて設定・管理するものであるため、社内全体が一丸となり方向性を統一させて業務に取り組むことができます。

この記事では、OKRの概要やメリット、導入方法を紹介します。

OKRとは

OKRは「Objectives and Key Results」の略で、「目標(Objectives)」とその達成度を測る「主要な結果(Key Results)」により目標を設定し、その達成のための管理を行うフレームワークを指します。

会社が目指す目標と社員個人の目標をリンクさせ、すべての社員が同じ方向に向かって課題に取り組むことができるよう設定・管理するのが特徴のひとつです。

OKRと似た用語に、KGIやKPI、MBOなどがあります。これらとの比較によりOKRの特徴を確認し、また、OKRが注目される背景についても見ていきましょう。

KGI・KPI・MBOとの違い

KGI・KPI・MBOとOKR、それぞれの概要は、次のとおりです。

目的期間目標達成率
KGI(重要目標達成指標)目標の達成プロジェクトにより異なる100%
KPI(重要業績評価指標)業務プロセスを評価するプロジェクトにより異なる100%
MBO(目標管理)目標達成度に基づいて社員を評価する1年100%
OKR(目標と主要な結果)高い目標を設定し、全社員が目標を共有して方向性を統一する1~3ヶ月60~70%

KGIは「Key Goal Indicator」の略で、プロジェクトや業務全体の目標達成に向けた指標のことであり、何を最終目標とするかを示すものです。

KPIは「Key Performance Indicator」の略で、目標達成に向けた業務プロセスが適切に実施されているかを測るための指標です。目標へ向けた指標という点でKPIとKGIは同じですが、KGIは「結果」を測るものであり、KPIは結果へ向けた「過程」を測るものです。最終目標であるKGIを達成するために必要な要素は何かという観点でKPIは設定されます。

MBOは「Management By Objectives」の略で、社員が自ら目標を設定して達成を目指し、その達成度に基づいて評価を行う、人事評価のひとつの方法です。社員の主体性を高め、パフォーマンス向上を図ることも目的として行われます。

OKRでは、60〜70%の達成で成功といえるような、達成不可能ではないものの難易度の高い目標を設定し、これにより、社員のモチベーション向上にもつなげます。これに対し、KPI・KGI・MBOでは達成率100%を目指す点が異なります。また、OKRは原則として人事評価とは結びつけませんが、MBOは社員の処遇を決める判断材料となることも、それぞれの異なる点です。さらに、OKRは、1〜3ヶ月という短期間・高頻度で設定・評価を行うのが望ましいとされていることも特徴といえます。

OKRが注目される背景

OKRは、1970年代にアメリカの半導体メーカーのIntelが採用したのが始まりとされます。その後、Google、Facebookなど先駆的な企業が導入し、話題を集めました。

OKRは、会社と個人の目標が連動することにより、統一された方向性のもとで速く効果的な行動を取れること、また、モチベーションや生産性の向上に結びつきやすいことが特徴です。ビジネス環境の変化が激しい現代において、短い期間で変化に早く対応しながら事業を推進するために効果的な方法でもあり、注目する企業が増えています。

OKRを導入するメリット

OKRを導入することで自社の課題が明確になり、社員が優先順位をつけて業務を推進できるというメリットがあります。

ここでは、OKRを導入するメリットについて、さらに詳しく見ていきましょう。

自社の課題を明確にして共有できる

OKRでは、自社の目標を設定し、それに結びつける形で社員一人ひとりの目標を設定します。その結果、会社全体としての目標を社員全員が共有でき、目的意識と連帯感をもって課題に取り組めるようになります。

目標設定から達成度の評価までを1~3ヶ月程度の短い期間で行うことで、目標や課題をより明確に見通しやすくなり、前向きに取り組めるようにもなるでしょう。

社員1人ひとりが業務の優先順位を認識できる

OKRでは、会社全体の目標に基づいて個人の目標を設定します。これにより、個々人がどのような行動をすれば目標を達成できるかが明確になり、業務の優先順位をつけやすくなります。

優先的に行う事項が明らかになれば、社員一人ひとりが今取り組むべき仕事に集中でき、業務効率が上がるでしょう。社内全体で生産性向上を図ることが可能となります。

社員のモチベーションが高まる

OKRの導入により、社員のモチベーションが高まることもメリットです。自分の業務が会社の利益にどのように結びついているかがわからなければ、社員はやりがいを感じられず、モチベーションは下がりやすくなるでしょう。

OKRでは、会社の目標と、チームの目標、個人の目標が連動するため、自分の仕事が会社の業績に対してどのように貢献できるかが明確になります。そのため、目標達成に向けてモチベーションやエンゲージメントを高めることができるでしょう。その結果、生産性向上につながります。

OKRを導入する方法

OKR導入の大きな流れは、次のとおりです。

  1. 会社全体のOKRを設定する
  2. 部署・チームのOKRを設定する
  3. 個人のOKRを設定する
  4. 定期的に評価を行う

それぞれのプロセスを見ていきましょう。

会社全体のOKRを設定する

まず、会社全体のOKRを設定します。「目標(Objectives)」と「主要な結果(Key Results)」を正しく設定することが大切です。

「目標」は、4半期など短期間での評価を想定し、評価の際に60~70%程度の達成率となっているような難易度で設定します。あえて「挑戦的な目標」を設定することで、適度なプレッシャーの下でのチャレンジを促します。一般的に、1つの会社で1つ設定することが考えられますが、複数の事業を行っている場合は、事業ごとに1つずつ設定するケースもあるでしょう。

「主要な結果」は、目標に対して2〜5個を目安に設定するのが適切です。また、数値や数量で計測でき、やや難しいものの実現不可能ではない内容とすることがポイントです。

OKRの最終的な設定は経営陣で行うとしても、現場の意見を反映させることが必要です。事前に社員からヒアリングを行うなど、意見を汲み取るようにしましょう。社員の意見を取り入れたOKRを設定することで、同じ目標を共有するという連帯感が強まり、モチベーションも高まります。

部署・チームのOKRを設定する

次に、部署・チームごとのOKRを設定します。会社全体のOKRと同様に、高い「目標」と、2〜5個の計測可能な「主要な結果」を設定しましょう。社員の意見を取り入れながら、全員が納得できるような内容にすることも大切です。

このとき、会社全体のOKRと連動させ、その達成のために部署・チームが貢献できるような内容は何かを考え設定するのがポイントです。そのためには、会社のOKRを正しく理解していることが必要です。

個人のOKRを設定する

最後に、社員一人ひとりのOKRを設定します。高い「目標」と、2〜5個の計測可能な「主要な結果」を設定するのは、ここでも同様です。

部署・チームで設定した目標を達成するために必要な事項を個人のタスクとして細分化し、社員一人ひとりがどのような目標を立てるべきかを明確にしていきます。社員本人と上司や管理職などで話し合い、納得できるOKRを設定しましょう。

個人のOKRは会社全体や部署・チームのOKRと関連づける必要があり、単なる社員個人の目標にならないよう、上司や管理職が確認することが大切です。

定期的に評価を行う

すべてのOKRを設定したら、1〜3ヶ月程度の期間ごとに、定期的な評価を行います。それぞれの「主要な結果」をどの程度達成できたかを測り、「目標」の達成率を確認しましょう。60〜70%の達成率であれば順調と評価できます。評価を行った後は、OKRの見直しや調整を行って、次の期へ進みます。

OKRを成功させるためには、上司と部下で積極的にコミュニケーションをとり、定期的に進捗を確認することが大切です。成果に対するミーティングやフィードバックを行い、成果が出ない場合は原因について話し合いましょう。改善策を立てながら、達成を目指すことが大切です。

【職種別】OKRの具体例

職種により、OKRの設定内容は異なります。職種に適したOKRを設定できるよう、ポイントを確認しておきましょう。

営業

営業のOKRは、一般的に会社やチームの売上増加に直接つながる内容になります。具体的には、新規顧客の獲得や売上額のアップが挙げられます。

営業の目標は数値化しやすく、できるだけ具体的な目標数値を設定することで、より目標が明確になるでしょう。

(OKRの設定例)

  • 目標(Objectives):新規顧客獲得の倍増を目指す
  • 達成指標(Key Results):4半期で新規顧客を10社獲得、月間の新規商談を20件に増やす

人事

人事のOKRは、採用や人材育成、組織開発などに関する内容になります。具体的には、人材不足の解消や教育制度の構築、社員満足度の向上などが挙げられます。

(OKRの設定例)

  • 目標(Objectives):採用活動を見直し、希望する人材を確保する
  • 達成指標(Key Results):幹部候補の人材を5名確保する、求人媒体を見直して求人応募数を20%アップする

製品開発

製品開発に向けたOKRは、製品の品質の改善や安全性の強化、開発コスト削減、顧客ニーズに合う製品開発などが挙げられます。具体的には、新規事業として新しい製品を開発することや、既存事業で新しいカテゴリーとなる製品の開発などが目標となるでしょう。

(OKRの設定例)

  • 目標(Objectives):新規事業で競合と差別化できる新製品を開発する
  • 達成指標(Key Results):開発費を10%削減する、A社製品よりも性能を10%高める

マーケティング

マーケティング部門では、自社製品・サービスをアピールし、認知を高めて選んでもらうことが目標になります。そのため、「どのような層をターゲットにするか」「どのように購買意欲を高めるか」といった点にフォーカスしてOKRを設定するとよいでしょう。

(OKRの設定例)

  • 目標(Objectives):市場で商品の認知を高める
  • 達成指標(Key Results):公式サイトへのアクセスを40%増やす、アンケート調査で商品の認知度を70%に高める

まとめ

OKRは会社と社員の目標を連携させ、目標の方向性を統一する目標管理方法です。KGI・KPIやMBOなど100%の達成を目指す方法と異なり、ややハードルが高いながらも達成不可能ではない目標を設定します。そのため、挑戦的な目標を達成するために、モチベーションを高める効果も生むでしょう。

社内全体で一丸となって目標達成に取り組みたいとき、OKRの導入も検討してみてください。

この記事を担当した人

PeopleX コンテンツグループ

人事・労務・採用・人材開発・評価・エンプロイーサクセス等についての用語をわかりやすく解説いたします。

これまでに出版レーベル「PeopleX Book」の立ち上げ、書籍『エンプロイーサクセス 社員が成功するための7つの指針』の企画・編集、PeopleX発信のホワイトペーパーの企画・編集などを担当しました。

株式会社PeopleXについて
エンプロイーサクセスHRプラットフォーム「PeopleWork」の開発・運営をはじめとした、新しい時代に適合したHR事業を幅広く展開する総合HRカンパニーです。

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