人事戦略
2025.01.23
PDCAとは? メリット・デメリット、OODAやPDRとの違いを解説
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PDCAは、管理業務の改善・向上に有効であり、業務効率を上げたい、チームのマネジメントをスムーズに実行したいといった考えのもと、導入を検討したことがある方もいるでしょう。
この記事では、PDCAの基本的な内容およびメリット・デメリット、OODAループやPDRサイクルとの違いを解説します。PDCAを活用し、業務効率の改善と生産性向上を目指しましょう。
PDCAとは?
「PDCA」とは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の頭文字を取ったフレームワークのことです。
管理業務を継続的に改善・向上していくための手法として、アメリカの統計学者でコンサルタントのウィリアム・エドワード・デミングらによって提唱されました。
品質管理や業務効率化などに効果があるとされ、日本では1950年代に広がったといわれます。現在は品質管理や業務効率化だけでなく、経営管理や人材育成マネジメントなどさまざまな場面で活用されています。
PDCAの4つの要素
PDCAを構成するのは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の4つの要素です。
PlanからActionまでのサイクルを一回りとし、Actionまで進んだら再度Planからサイクルを実行します。この一連の流れが「PDCAサイクル」と呼ばれており、PlanからActionまでのサイクルを繰り返すことで、継続的な業務改善を目指します。
ここでは、4つの要素それぞれの概要と、実行する際のコツを見ていきましょう。
Plan(計画)
「Plan(計画)」の段階では、目標や目的を設定し、実行計画を立てます。ここでのポイントには、以下の3つが挙げられます。
- 具体的な数字や日付を使う
- 5W1Hを活用する
- 無理な目標は立てない
計画を立てるうえで重要なのは、わかりやすく具体性がある内容にすることです。そのためには、数値目標や期日などを具体的に決める必要があります。
また、「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(誰が)」「What(何を)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」で構成される5W1Hの活用も、具体性のある計画を立てるうえで有効です。
なお、高すぎる目標を設定すると予定どおりに進まなくなり、計画が頓挫するおそれがあります。計画を確実に遂行するには、実現可能なゴールを設定することが肝心です。
Do(実行)
「Do(実行)」の段階では、計画を立てた内容を実行に移します。実行にあたり重要なのは、プロセスや成果をしっかりと記録することです。その際、数値として記録することで、以下の効果が期待できます。
- 計画と現実の差を把握できる
- 成果が明確になる
- 課題の洗い出しにつながる
ただ実行するだけでなく詳細に数値を記録することは、この後の「Check」の段階で意味を持ちます。すなわち、計画と現実の差を把握することができ、これにより、計画の有効性がはっきりするでしょう。仮に思うような成果が出ていなかったとしても、記録を残すことで問題点の洗い出しにつながります。
Check(評価)
「Check(評価)」の段階では、計画の内容と実行した結果を検証します。立てた目標・目的を達成できたか否か、計画は妥当であったか否かを見極めるのです。検証するうえで重要な点は、以下の3つです。
- 具体的な数字を用いる
- 結果だけでなくプロセスも検証する
- 問題点だけでなく成果も検証する
検証は、実行段階で記録した具体的な数字を使って行いましょう。その際、最終的な結果や達成度だけでなく、プロセスも検証することが重要です。プロセスを検証することで、その結果が導かれた要因を明確にできます。
また、問題点を検証することはもちろん、成果が出た部分について「なぜうまくいったのか」を考えることも大切です。成果を振り返ることで、成功のノウハウの蓄積につながるでしょう。
Action(改善)
「Action(改善)」の段階では、評価の段階で得られた検証結果をもとに、次のサイクルに向けた改善案を作成します。改善案作成の際に気を付けるべき点は、以下の2つです。
- 成果にとって必要な策を盛り込む
- 優先順位を付ける
改善案には、より高い成果を上げるために必要な策を盛り込みます。
改善点が複数ある場合は、優先順位を付けて取り組みましょう。一度にまとめて改善しようとするのではなく、優先順位に則り、1つずつ確実に改善していくことが、より良い成果を生むコツです。
改善案を明確にしたら、Planの段階に戻って再度サイクルを進め、業務を継続的に向上させていきましょう。
PDCAを取り入れる3つのメリット
PDCAを取り入れると、以下の3つのメリットが期待できます。
- 目標や課題が明確化される
- 業務を効率化できる
- 業務改善のノウハウを獲得できる
PDCAのメリットを確認し、ぜひ積極的に業務に取り入れましょう。
目標や課題が明確化される
何かを進めている時、思うような成果があがらないと感じていたとしても、目標がぼんやりとしている場合や、なんとなく困ったことがあるという認識しかない場合は、問題の解決にはつながりません。解決できたとしても、余計な時間がかかります。
PDCAを導入すれば、目標や課題が明確化されることで、より効果的な施策を実行することができ、効率的な目標達成や課題解決が期待できるでしょう。
業務を効率化できる
PDCAを実施すれば、実行可能な目標が明確になるため、達成に向けた効率的なプロセスをとれるようになるでしょう。目標達成に向けた計画を立て、実行と評価、改善を継続的に続けることで、業務の問題点を洗い出したり無駄を削減したりすることができます。これにより、業務の効率化を実現できます。
業務改善のノウハウを獲得できる
PDCAでは、計画の実行と評価を行うことで、問題点を洗い出しやすくなります。この作業を繰り返すことで、業務改善のノウハウを蓄積できるでしょう。ノウハウが蓄積されることで、業務を改善する力をつけていくことが期待できます。
また、先述のとおり成果を振り返り検証することで、成功事例の積み上げも期待できます。成功のノウハウを獲得することにより、次回以降のサイクルでも効率的に成果を挙げられるでしょう。
PDCAを取り入れる3つのデメリット
PDCAにはメリットがある反面、以下の3つのデメリットもあります。
- PDCAの実行が目的になる
- 課題の改善に時間がかかる
- 過去の事例に依存しがち
PDCAは広く用いられているフレームワークですが、いくつかのデメリットから「古い」といわれることもあります。デメリットも考慮して、PDCAの実施について判断できるとよいでしょう。
PDCAの実行が目的になる
PDCAを実施する目的は、あくまでも業務の改善・向上ですが、ともするとサイクルを回すことそのものが目的となってしまいます。PDCAの実行自体が目的になってしまうと、どのような成果を目指して施策を進めているのか、本来の目的を見失い、効果も出なくなります。PDCAを有効に活用するには、しっかりと目的意識を持って取り組むことが重要です。
課題の改善に時間がかかる
PDCAは、4つの段階からなるサイクルを繰り返すことで、課題を改善し成果につなげる手法です。そのため、1回のサイクルの成果は小さく、業務改善の成果を得るまでには時間がかかることもあります。短期で成果を上げたいときには、別の手法を選ぶことを考えてもよいでしょう。
過去の事例に依存しがち
PDCAは、これまでの経験や施策をもとに、計画や改善案を考えるフレームワークです。そのため、そもそもの計画や改善案が、過去の施策や成功体験に基づくものになりがちです。新たなアイデアや試みが生まれにくいため、新しい視点で物事を見たいときや、新たなアプローチ方法を見つけたいときには、他の手法が必要になるでしょう。
PDCAと合わせて押さえておきたい2つの手法
PDCAには、前項に述べたようなデメリットがあります。そのため、PDCA以外の手法も押さえ、状況に応じて使い分けることが重要です。
ここでは、PDCA以外の代表的な手法である「OODAループ」と「PDRサイクル」について解説します。
OODAループ
OODA(ウーダ)ループとは、「Observe(観察・情報収集)」「Orient(状況判断)」「Decide(意思決定)」「Act(実行)」の4つのプロセスからなる手法のことです。プロセスを進める順番に厳密な決まりはなく、途中で前の段階に戻ったり、任意の段階から再スタートしたりすることができます。そのため、一方向の「サイクル」ではなく、「ループ」と呼ばれています。
PDCAとの違いは、外的要因も加味した状況判断を行い、それを受け迅速な意思決定や対応を行う点です。過去の経験や施策をもとに立てた計画に沿って実行・改善を進めていくPDCAとは、この点が大きく異なるといえます。
OODAループは、環境の変化が激しく、臨機応変な素早い判断が求められる場面で効果的な方法といえるでしょう。
PDRサイクル
PDRサイクルは、米国ハーバード・ビジネス・スクールのリンダ・ヒル教授が提唱した手法です。「Prep(準備)」「Do(実行)」「Review(評価)」の3つのステップからなるもので、計画段階がなく準備をしたらすぐ実行に移します。
PDCAとの違いは、サイクルの長さです。PDRはPDCAよりもサイクルが短いため、よりスピーディーに業務改善をしたいときに適しています。また、組織やチームとしてはもちろん、個人でも使いやすいフレームワークのため、多くの場面での使用が期待できます。
まとめ
PDCAは、管理業務を継続的に改善・向上していくときに有効です。「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の4つの段階からなるサイクルを繰り返すことで、業務の効率化と生産性向上につなげることが期待できます。
PDCAには、目標や課題の明確化、ノウハウの積み上げといったメリットがある一方、改善に時間がかかることや新しいアイデアが生まれにくいといったデメリットもあります。効果的に業務改善を進めるためには、PDCAサイクルの活用にとどまらず、OODAループ、PDRサイクルといった他の手法も状況に応じて使い分けることも有用でしょう。