人事労務

2025.02.13

ピアボーナス制度の導入事例、失敗しないためのステップを紹介

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ピアボーナス制度の導入事例、失敗しないためのステップを紹介

ピアボーナス制度は、社員同士が感謝や評価を送り合い、その結果を報酬として反映する新しい仕組みです。ピアボーナス制度には、社員のエンゲージメントを高め、職場の雰囲気やチームワークを向上させる効果が期待できます。この記事では、ピアボーナス制度の具体的な導入事例や、失敗しないための制度設計などを紹介します。

ピアボーナス制度の失敗例

ピアボーナス制度は、多くのメリットが期待される一方で、導入や運用の仕方によっては失敗するケースもあります。以下に、よくある失敗例を4つ紹介します。

  • 評価基準が曖昧
  • 不公平感の発生
  • 不正利用や制度の濫用
  • コストの管理不足

それぞれ詳しく見ていきましょう。

評価基準が曖昧

明確な評価基準を設定せず、どの行動がボーナスの対象になるかが不明確だと、社員がどのように制度を活用すればよいかわからず、利用が広がらない可能性があります。また、「どの程度の貢献でボーナスを贈るべきか」の基準が曖昧だと、感謝や評価のハードルが個々人で異なり、不公平感が生じるおそれもあります。

不公平感の発生

社交的で目立つ社員に評価が集中し、裏方業務や目立たない貢献をする社員が評価されにくい状況になることがあります。結果として、制度が公平性を欠き、一部の社員が「評価されない」と感じてモチベーションを失うリスクがあります。

不正利用や制度の濫用

評価ポイントの付与に関する管理が甘い場合、社員同士で「ポイントの貸し借り」や「意図的な交換」を行うなど、制度が不正に利用されるリスクがあります。このような状況は制度への信頼を損ない、運用そのものが破綻する可能性を生じさせます。

コストの管理不足

予算や報酬設計が適切に行われていないと、想定以上のコストが発生し、経営に負担をかけることになりかねません。とくにポイントやボーナスの利用が増加した場合、運用予算が不足し、制度を継続できなくなることがあります。

ピアボーナス制度の失敗は、評価基準の曖昧さや不公平感、不正利用、運用コストの管理不足など、設計や運用の欠陥が原因になることが多いといえます。明確なルール設定、透明性の確保、公平性を意識した運用が求められるでしょう。また、社員への周知やリーダー層の積極的な関与も欠かせません。

ピアボーナス制度導入のステップ

それでは、ピアボーナス制度を失敗に終わらせることなく効果的に導入するには、どのようなことが必要でしょうか。明確な目標設定から運用の見直しまで、段階的かつ計画的に進めることが重要であり、以下に、ピアボーナス制度導入のための6つのステップを解説します。

  1. 目的とゴールの明確化
  2. 評価基準とルールの策定
  3. ツールやプラットフォームの選定
  4. 試験運用の実施
  5. 社員への周知と教育
  6. 導入と継続的な改善

それぞれ詳しく見ていきましょう。

目的とゴールの明確化

まず、ピアボーナス制度を導入する目的を明確にします。例として、社員エンゲージメントの向上や感謝の文化の醸成、部門間のコミュニケーション促進、離職率の低下などの目的が考えられます。また、「制度導入後の社員満足度を10%向上させる」など、ゴールを定量化すると効果測定が容易になります。

評価基準とルールの策定

次に、評価基準と運用ルールを明確にします。たとえば、以下のような内容を設定することで評価基準が明確になり、制度の濫用を防ぐことができるでしょう。

評価対象:どのような行動が評価されるべきか(例:日常業務でのサポートやプロジェクト貢献)。

ポイントや報酬の設計:1回の感謝で贈るポイント量や、年間予算を設定します。

送信頻度:1人が1ヶ月に贈れるポイント数や回数の上限を決め、不正利用を防ぎます。

ツールやプラットフォームの選定

ピアボーナスの運用をスムーズに行うため、適切なツールを選定します。ピアボーナスに適用できるサービスにはさまざまな専用ツールがあります。選定の基準として、社内チャットツール(SlackやTeams)と連携可能か、ポイント管理が簡単か、データ分析機能があるかなどが考えられます。

試験運用の実施

制度導入前に、特定のチームや部署で1~3ヶ月程度の試験運用を行います。この段階で、試験運用に参加した社員から制度の利便性や問題点をヒアリングするとともに、試験運用の結果をもとに、評価基準やポイント配分などを微調整します。

社員への周知と教育

導入の前に、制度の意図や運用方法を社員にしっかり説明し、利用を促進します。たとえば、制度の目的、使い方、メリットを伝える場を設けます。その際、評価基準や運用ルールを明記した資料を配布するとよいでしょう。初期段階での疑問や不安を解消するための相談窓口を設けることも考えられます。

導入と継続的な改善

ピアボーナス制度を全社的に導入した後も、定期的に運用状況を確認し、データ分析や社員アンケートを通じて制度の改善を図ります。利用状況や社員満足度の変化は、データをもとに数値で把握し、制度の効果を定量的に評価しましょう。たとえば、利用率が低迷している場合は、評価基準や運用ルールを見直し、改善を図ります。また、社員アンケートを実施することで、制度の使いやすさや課題について具体的な意見を収集し、社員目線での改善を実現しましょう。

このように段階的に進めることで、ピアボーナス制度を効果的に導入し、社員エンゲージメントの向上や職場文化の改善につなげることが可能となります。

ピアボーナス制度の導入事例

実際にピアボーナス制度を導入している事例にはどのようなものがあるでしょうか。以下に紹介します。

メルカリ

株式会社メルカリが導入したピアボーナス制度「mertip(メルチップ)」は、社員同士が感謝や賞賛を送り合い、その行動が金銭的なインセンティブとして反映される仕組みです。この制度は、社内コミュニケーションを活性化させ、感謝の文化を育む目的で2017年10月に導入されました。

制度の仕組み

mertipの運営には、「Unipos」というピアボーナス管理ツールが活用されています。この制度では、社員が感謝や賞賛のメッセージを社内コミュニケーションツール(例:Slack)で送る際に、少額の金銭を添えることができます。この金額は相手の報酬に反映されるため、感謝を具体的な形で伝えることが可能となります。

導入の目的

この制度の導入には、感謝の文化を組織内に浸透させるという明確な目的があります。メルカリでは、日々の小さな貢献や協力を見逃さずに感謝を言葉と金銭で示すことで、職場内の連携を強化しようと考えられました。また、拠点や部署の垣根を越えた感謝の共有を通じて、グローバルなつながりを深める狙いもあります。リアルタイムで感謝を受け取る仕組みは、社員のモチベーションを高め、組織全体のエンゲージメントを向上させる効果が期待されています。

導入後の成果

制度導入後、社員同士の感謝が目に見える形で活発にやり取りされ、多い日には1,000件以上の投稿があり、社内アンケートでは満足度が約87%との結果につながっています。互いを賞賛し合う文化が醸成されていることがわかります。

参照:株式会社メルカリ

homie

homie株式会社は、住宅・不動産営業のDX支援を行う企業です。同社が導入したピアボーナス制度「HeyTaco!」は、Slackを活用して社員同士が感謝の気持ちを伝え合う仕組みです。

制度の仕組み

社員はSlack上で感謝の言葉とともにタコスの絵文字を同僚に送ります。タコスを送られた社員は貯めたタコスを設定された景品と交換することができます。

導入の目的

導入の主な目的は、職種を越えた感謝の可視化やチームとしての一体感の醸成です。とくに、リモートワーク環境でも気軽に感謝を伝えられる仕組みを構築するために導入されました。

導入後の成果

タコスの絵文字を送り合うことが習慣となり社内コミュニケーションが活性化され、運用開始から約4ヶ月で、3,349回の「ありがとう」が社内で生まれました。また、Slackで感謝の言葉とタコスを送る際、関連する会社のビジョンも添えて投稿するというルールも設けたことにより、会社のビジョンの浸透も促進されました。

参照:homie株式会社公式note

その他の事例

デパート

Webサイト制作やシステム開発を行う株式会社デパートでは、社員が同僚に褒賞を贈ることのできる「Depapos」を導入しています。毎週社員1人につき400ポイントが付与され、そのポイントを使って、同僚に称賛や感謝のメッセージを投稿したり、誰かの投稿に拍手を送ったりすることができます。受け取ったポイントは、1ポイント=1円に換算され、1ヶ月でもらったポイントをギフト券へ交換することができます。

参照:株式会社デパート

じげん

ライフイベント領域のプラットフォーム事業を運営する株式会社じげんでは、お世話になった社員に感謝の気持ちを贈る社内通貨「GAT」を取り入れています。この制度では、月に1回、感謝の気持ちを書いた一言メッセージとともにGATを社員間で贈り合います。贈られたGATは四半期に一度、ギフト券に交換できます。何気ない感謝の気持ちを伝えられたり、小さなコミュニケーションを生み出すことから、社内で長年愛される制度となっています。

参照:株式会社じげん

まとめ

ピアボーナス制度により感謝を可視化することで、職場環境がポジティブになり、組織全体の一体感が高まることが期待できます。また、定期的なデータ分析や社員アンケートを通じて制度の効果を測定し、改善を繰り返すことで、長期的な成功につなげることができます。社員のエンゲージメントを向上させるとともに感謝の文化を根付かせる手段として、ピアボーナス制度は非常に有効といえるでしょう。

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