人事評価

2025.03.12

人事評価とは? 人事評価の基準や手法の分類、課題、企業の導入事例を紹介

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人事評価とは? 人事評価の基準や手法の分類、課題、企業の導入事例を紹介

人事評価制度は、社員の公正な処遇や成長の支援、適材適所な人材配置を実現する重要な役割を果たします。しかし、適切に運用されなければ社員のモチベーション低下や離職につながるリスクもあります。この記事では、人事評価制度の基準や手法、課題、企業の導入事例などを紹介します。

人事評価とは

人事評価とは、社員の業績・能力・行動などを評価し、昇給・昇格・報酬・人材配置などの人事施策に反映させる制度のことです。企業の成長を促すために、社員のパフォーマンスを最大化する役割を担います。

人事評価の目的として主に以下の3つが挙げられます。

 公正な処遇の実現:適切な評価によって、昇進や給与を決定し、社員の納得感を高める。

 社員の成長促進:評価を通じて自身の強みや弱みを認識してもらい、社員の成長の方向性を明確にする。

 適材適所な人材配置:社員のスキルや適性を把握し、最適なポジションに配置する。

このように人事評価には、公正な処遇の実現や社員の成長促進、適材適所な人材配置を通じて、社員の働きがいを高め、企業への信頼や貢献意欲を向上させる目的があります。適切な評価制度が運用されることで、社員のエンゲージメントが強化され、組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。

人事評価の基準

人事評価は評価基準が明確であるほど社員の納得感が高まり、モチベーションの向上やエンゲージメントの強化にもつながりやすくなります。以下に、人事評価の一般的な基準となる3つの要素と、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。

業績基準

社員の仕事の成果や目標達成度を評価する基準です。定量的な指標をもとに評価することが多く、数値化しやすいのが特徴です。たとえば、売上目標の達成率、利益率、プロジェクトの進行状況などが含まれます。

メリット:数値で評価しやすく、公平性が保ちやすい。
デメリット:外部環境の影響を受けやすく、個人の努力だけでは達成が難しい場合がある。

能力基準

業務遂行に必要なスキルや知識を評価する基準です。個人の成長度や職務遂行能力を測る指標として活用されます。たとえば、専門知識、問題解決能力、リーダーシップ、プレゼンテーションスキルなどが含まれます。

メリット:長期的な成長を促し、企業の競争力向上につながりやすい。
デメリット:評価者の主観が入りやすく、明確な基準を設けないと評価のばらつきが生じやすい。

情意基準

仕事に対する姿勢や取り組み方、組織への貢献度を評価する基準です。企業文化や求める人材像に合った行動を促すための指標となります。たとえば、協調性、積極性、責任感、チームワーク、顧客対応の姿勢などが含まれます。

メリット:企業の価値観を浸透させやすく、組織の一体感を高められる。
デメリット:評価者の主観が入りやすく、定量的な評価が難しい。

業績基準・能力基準・情意基準の3つをバランスよく組み合わせることで、公正で納得感のある人事評価を実現できます。企業の目指す方向性に応じて、それぞれの基準の比重を適切に調整することが重要です。

評価手法の分類

人事評価の手法にはさまざまな種類がありますが、企業の目的や組織文化に応じて適切な方法を選択することが重要です。以下に、代表的な評価手法を3つ紹介します。

  • 目標管理
  • 360度評価
  • コンピテンシー評価

それぞれ詳しく見ていきましょう。

目標管理

目標管理(MBO:Management by Objectives)は、社員が上司とともに業務目標を設定し、その達成度に基づいて評価を行う方法です。MBOは、組織全体の目標と個人の目標を連携させることで、社員の主体性を高め、パフォーマンス向上を図ることを目的としています。

目標は「定量的なもの(売上や生産数)」と「定性的なもの(スキル向上やプロジェクト推進力)」の両方をバランスよく設定するとよいでしょう。また、評価の透明性を高めるため、目標設定時に具体的な達成基準を定めることも重要です。目標を設定し実行に移した後は、一定期間ごとに進捗を確認し、達成度を評価する仕組みが取られます。

営業職やプロジェクトベースの業務に適しており、成長意欲が高い組織で効果を発揮します。

360度評価

360度評価とは、上司だけでなく同僚・部下・他部署の関係者・顧客など、複数の視点から社員を評価する方法です。とくに管理職やリーダー層の評価において、公平で多角的な評価を行うために用いられることが多くあります。

複数の評価者が関わるため、一人の評価者の主観による偏りを軽減できます。また、評価者は匿名でフィードバックを提供することが一般的であり、組織内でのコミュニケーション能力やリーダーシップを評価しやすいという特長があります。

管理職やリーダー層の評価に適しており、フィードバック文化を重視する組織に向いています。

コンピテンシー評価

コンピテンシー評価とは、企業が求める「優秀な社員の行動特性」を基準に、近い行動を取れているかを評価する方法です。単なる成果やスキルだけでなく、仕事の進め方や考え方、価値観を重視する評価手法です。

企業の求める理想的な行動モデルを明確にし、それに基づいた評価を行います。行動やプロセスに焦点を当てた評価が可能であり、職種ごとに異なるコンピテンシーモデルを設定できるため、企業文化の浸透にも効果的です。

企業の価値観を重視する組織や、管理職・リーダー層の評価に適しています。

人事評価の課題

人事評価制度は、社員の成長やエンゲージメント強化、組織全体のパフォーマンス向上を目的とした制度ですが、運用次第では社員の不満を生む要因にもなります。以下に、多くの企業が直面している4つの課題を紹介します。

  • 公平性の確保
  • 評価基準の不明確さ
  • 短期的な成果に偏る評価
  • 変化する働き方への対応

それぞれ詳しく見ていきましょう。

公平性の確保

人事評価は評価者(上司やマネージャー)の判断に依存するため、主観が入りやすく、公平性が損なわれることがあります。たとえば、評価者によって基準が異なると、社員の納得感が得られず、モチベーションの低下や不満につながります。

評価基準の不明確さ

評価基準が不明確な場合、評価結果に対する社員の納得感が得られにくくなります。たとえば、「努力を評価する」という基準があっても、その努力がどのように測定されるのかが曖昧だと、評価の正当性に疑問を持たれることがあります。

短期的な成果に偏る評価

業績評価が重視される場合、短期的な成果ばかりを追求する傾向が強まり、社員が長期的なスキルアップやキャリア形成を意識しにくくなります。たとえば、営業職では売上目標の達成度だけで評価されると、顧客満足度やチームワークなどの要素が軽視される可能性があります。

変化する働き方への対応

リモートワークやハイブリッドワークが普及する中で、従来の評価方法では適切に社員のパフォーマンスを測定できないという課題が生じています。たとえば、勤務態度やチームとの関わりを評価基準とする場合、リモートワークではそれを可視化するのが難しくなります。

このような課題に対処するためには、評価基準を明確化するとともに、評価者の評価スキルを向上させる努力が求められます。また、業績だけでなく、日々の業務に対する成果やスキル向上も適切に測定できる仕組みを構築することが必要です。

人事評価制度の事例

ディー・エヌ・エー

株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)は、社内外の変化に合わせてアップデートし、かつ、ミッション・ビジョンの実現に向けてより最適化させるべく、2024年4月に約10年ぶりとなる人事評価制度の大幅な改定を実施しました。 

この新制度では、社員が自身のキャリア志向に合わせてキャリアを選択できるよう、「Professionalコース」と「Managementコース」の2つのキャリアパスが設けられています。

Professionalコースは、個人の専門性や強みを活かして目標達成に向け挑戦することで成果創出にコミットする役割で、8段階のグレードに分かれています。一方、Managementコースは、組織をつくり上げることで成果創出にコミットする役割で、4段階のグレードが設定されています。各社員の成果や影響力に応じてグレードが決定され、そのグレードに基づいて報酬が決定されます。

また、賞与制度においては、全社の業績を反映する「全社賞与」と、各社員の所属部門や個人の貢献度に応じて評価される「成果貢献賞与」の2種類で構成されています。これにより、社員の成果や組織への貢献が明確に評価される仕組みとなっています。

この制度により、DeNAでは、社員一人ひとりの挑戦を後押しし成果に応じて報いる処遇が実現されています。年齢や勤続年数ではなく、実際の能力と成果が評価される制度であり、個々人のキャリア開発を促す仕組みともなっています。

参照:株式会社ディー・エヌ・エー

メルカリ

株式会社メルカリでは、「成果評価」と「行動評価」の2つの軸を基に、社員のパフォーマンスを評価しています。

成果評価では、期待された成果を達成できたかどうかを測定します。一方、行動評価では、メルカリが掲げるバリューを発揮し実践できたかどうかを評価の対象としています。会社としての成長を実現させるために、成果よりも行動を重視し、2つの評価軸のうち行動評価に重きを置くこととしているのが特徴です。

また、メルカリでは、年に2回の評価と四半期ごとのフィードバックを実施しています。これにより、短いスパンでフィードバックを行い、社員が迅速に成長できる環境を整えています。

この制度によりメルカリでは、個人の成果と企業の価値観の両方をバランスよく評価し、社員の成長を促進するとともに、明確な評価基準と定期的なフィードバックを通じて、公正な処遇を行うことを実現しています。

参照:株式会社メルカリ

まとめ

人事評価制度は、社員の公正な処遇や成長の支援、適材適所な人材配置を目的とした重要な仕組みである一方で、評価の公平性確保や基準の不明確さ、短期的な成果への偏りなどの課題も存在します。これらを解決するためには、評価基準の明確化や評価者のスキル向上などが不可欠です。企業の成長を支えるためにも、効果的な人事評価制度を構築し、継続的に改善していきましょう。

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