人材開発・教育
2024.12.19
【保存版】心理的安全性の作り方|職場で高める具体的な方法やチームに与えるメリット
- #人間関係
- #心理的安全性
- #生産性向上
「チームメンバーがなかなか本音を言ってくれない」
「新しいアイデアが出にくい」
「失敗を恐れてチャレンジする人が少ない」
このような悩みを抱えているチームリーダーやマネージャーはいませんか?もしかしたら、チームに「心理的安全性」が欠けているのかもしれません。
この記事では、チームや組織における心理的安全性の重要性と、心理的安全性を高める具体的な方法を解説します。組織を活性化したいマネージャーやチームリーダーは、ぜひ組織文化構築のための参考にしてください。
心理的安全性が重視される背景と理由
職場での信頼やパフォーマンス向上の鍵として注目を集める「心理的安全性」。社員が安心して意見を交わせる環境づくりが、なぜ今の時代に求められるのでしょうか? 心理的安全性の定義から、注目される背景、そして職場での重要性まで解説します。
心理的安全性とは
心理的安全性とは「自分がチームや組織から拒絶されたり、罰せられたりしないという安心感」のことです。言い換えれば「安心して自分らしくいられる状態」といえるでしょう。心理的に安全な環境では、メンバーは自分の考えや意見を自由に表現でき、新しいアイデアの提案も積極的に行えます。また、互いに尊重し合い、協力し合うといった効果もあります。
心理的安全性がチームに与える影響について研究してきたのは、ハーバード・ビジネス・スクール教授のエイミー・C・エドモンドソンです。彼女は「優秀なチームほどエラー(ミス)回数が多い」ことに着目し、その背景に「心理的安全性」があることに気づきました。チームとして創造性、革新性、生産性を高めるには「心理的安全性」が保障されていることが重要であるとし、組織行動学の分野において注目されています。
心理的安全性が注目される背景
心理的安全性が注目されるようになった背景には、以下の様な社会情勢の変化があります。
- 変化の加速
- 多様性の増加
- 働き方改革
グローバル化やデジタル化により、ビジネス環境の変化が加速しています。そのため、変化に迅速に対応し、イノベーションを起こすことが企業にとって重要となりました。新しいアイデアや試みに挑戦するためには、トライ&エラーを歓迎する文化の醸成が必要です。
また、働き方の多様化やグローバルな人材の増加により、チームや組織の構成メンバーも多様化しています。異なる価値観や文化を持つ人々が集まる環境では、円滑なコミュニケーションや協調性を促進するために、心理的安全性を確保することが不可欠となっています。
さらに、長時間労働の是正やワークライフバランスの推進など、働き方改革が進む中で、社員の心身の健康や幸福度が重視されるようになりました。心理的に安全な職場環境は、エンゲージメントやモチベーションを高め、パフォーマンス向上にもつながります。
心理的安全性が職場で重視される理由
心理的安全性が職場において重視される理由は、単に社員の満足度を高めるためだけではなく、組織全体の成長と成功に大きく貢献するからです。心理的安全性の高い職場では、以下のようなポジティブな効果が期待できます。
- 創造性と革新性の向上
- コミュニケーションの活性化
- チームワークの強化
- エンゲージメントとモチベーションの向上
- パフォーマンスの向上
心理的安全性の高い環境は、イノベーションを促進し、チームの一体感を高めます。 意見交換が活発になり、失敗を恐れずに挑戦できることで、新しいアイデアも生まれやすくなるでしょう。また、メンバー間の信頼関係が築かれることで、コミュニケーションが円滑になり、情報共有がスムーズに行われます。個々の能力を最大限に引き出せる環境のため、組織への帰属意識も高まるのです。結果として離職率低下も期待できるでしょう。
心理的安全性が高いチームにある4つの要素
では、どのようなチームであれば心理的安全が築かれていると言えるのでしょうか?心理的安全性の高いチームに共通する要素を以下のとおり4つ紹介します。
- 話しやすい
- サポートし合える
- 挑戦を歓迎する
- 多様性を認める
それぞれ詳しく見ていきましょう。
話しやすい
心理的安全性が高いチームでは、メンバーは自分の意見や考えを自由に発言し、疑問点や不安な点があれば、上司や同僚に気軽に質問できます。そのためには「失敗を恐れない文化」の醸成が重要です。失敗は成長の機会であるという意識を共有し、失敗から学ぶことを奨励しましょう。
例えば、チームリーダーが率先して失敗談を共有したり、メンバーの失敗に対して否定的な言葉を使わず、建設的なフィードバックを提供したりするなどです。失敗に対する心理的な障壁を下げることにより、話しやすい雰囲気を作りましょう。
サポートし合える
互いに助け合い、サポートし合う関係性を築くことも、心理的安全性の重要な要素です。そのためには、困っている人がいれば、積極的に手を差し伸べ、協力し合う姿勢が求められます。
具体的には、チームメンバーがプロジェクトで苦労している場合、他のメンバーが積極的にサポートしたり、アドバイスを提供したりすることが奨励されます。チームリーダーは「チームで協力し、互いに支え合うことの重要性」を常に意識させるようにしましょう。
挑戦を歓迎する
新しいアイデアや挑戦を歓迎する雰囲気も、心理的安全性の重要な要素です。失敗したとしても、トライ&エラーの一環として歓迎すればよいのです。その結果、失敗を恐れず、成功への過程として取り組めるようになります。チームリーダーは、メンバーの新しいアイデアに対して、積極的にフィードバックを提供したり、実験的なプロジェクトを推進したりなどし、挑戦を歓迎する雰囲気を醸成していきましょう。
多様性を認める
心理的安全が保証されたチームでは、メンバーそれぞれの個性や多様性が尊重されます。そのためには、異なる意見や考え方を認め合い、互いに学び合える環境作りが重要です。チームリーダーは、率先して「多様性」を受け入れる姿勢を示さなければなりません。
心理的安全性がチームにもたらす効果やメリット
心理的安全性がチームにもたらす具体的な効果やメリットとして、以下の4つがあります。
- パフォーマンスが向上する
- イノベーションや改善が生まれやすくなる
- コミュニケーションが円滑になる
- 離職率が低下し人材が定着する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
パフォーマンスが向上する
心理的に安全な環境では、メンバーは自分の能力を最大限に発揮できます。失敗を恐れることなく、自分の意見や考えを自由に表現できるからです。また、メンバー同士が協力し合い、互いにサポートし合うことで、業務効率が向上し、生産性も高まります。実際に、Googleにおいて実施された調査では、プロジェクトの成果が高い原因として「誰がチームメンバーか」ではなく「チームがどのように協力しているか」が重要だとわかりました。そして、もっとも重要な因子が「心理的安全性」だったと結論付けています。
イノベーションや改善が生まれやすくなる
心理的安全な環境では、メンバーは新しいアイデアや発想を自由に提案できます。その理由は、失敗を恐れることなく、トライ&エラーに安心して挑めるからです。また、メンバー同士が積極的に意見交換をすることで、より良いアイデアが生まれやすくなります。
コミュニケーションが円滑になる
思いや体験を共有し合うためには、コミュニケーションやディスカッションが不可欠です。心理的安全性が確保された環境でこそ、初めて率直な意見を言い合えます。心理的安全性の高い環境では、メンバー同士が互いに信頼し合うため、情報共有がスムーズで、誤解や衝突も減るといった効果も期待できるでしょう。
離職率が低下し人材が定着する
心理的に安全な職場では、社員は自分の仕事に意義を感じ、やりがいを持って働けます。やりがいを感じれば、組織への愛着や帰属意識が高まり、離職率低下といった効果も期待できるでしょう。人材の定着率は、組織の安定性と継続的な成長を促します。ある調査では、9割の人が仕事において心理的安全性が重要と回答しています。
参照:LB Media|【実態調査】仕事で幸せを感じたり、良いパフォーマンスを発揮するためには?
心理的安全性を高める具体的な方法
心理的安全性を高める具体的な方法として、以下の8つを紹介します。
- チームメンバー同士で承認し合う
- 1on1ミーティングで発言してもらう
- 発言の機会を平等に与える
- 業務以外でも交流する
- 助け合いのカルチャーを根付かせる
- 4つの不安を否定する雰囲気を作る
- メンター制度やフィードバック制度を導入する
- 多様性を尊重する職場文化を育む
チームリーダーやマネージャーは、ぜひ参考にしてください。
チームメンバー同士で承認し合う
チームメンバーが互いに認め合い、感謝の気持ちを伝えることは、心理的安全性を高める上で非常に効果的です。メンバーの良い点や頑張っている点を積極的に言葉で伝えるようにしましょう。感謝の気持ちを表現するのも有効です。メンバーは自分の存在価値を認められ、安心してチームに貢献できるようになります。
1on1ミーティングで発言してもらう
1on1ミーティングは、チームリーダーとメンバーが個別に対話する場です。この機会を活かして、メンバーが自分の意見や考えを自由に発言できる環境を作りましょう。チームリーダーは、メンバーの話をじっくり聞き、共感的に受け止め、質問することに集中します。
発言の機会を平等に与える
チームミーティングや会議など、メンバーが発言する機会を平等に与えることも、心理的安全性を高める上で重要です。発言の機会が少ないメンバーに対しては、積極的に質問を投げかけたり、発言を促したりすることで、全員が参加しやすい雰囲気を作ります。その際、メンバーの発言を遮ったり、否定的な言葉を使ったりしないように注意しましょう。
業務以外でも交流をする
業務以外の場でも、チームメンバー同士が交流する機会を作ると、心理的安全性を高める効果があります。懇親会や飲み会、スポーツイベントなど、非公式な場での交流は、メンバー同士の親睦を深め、お互いの理解を深められます。また、普段は話さないような話題に触れることで、メンバーの意外な一面を発見できるでしょう。
助け合いのカルチャーを根付かせる
チームメンバー同士が互いに助け合い、サポートし合う文化を醸成することは、心理的安全性を高めるために不可欠です。具体的には、チームリーダーがメンバー同士の助け合いを奨励したり、チームで協力して問題解決に取り組む機会を設けたりするなどです。また、メンバー同士で業務効率化のノウハウを共有するのも効果的です。
4つの不安を否定する雰囲気を作る
心理的安全性を阻害する要因の一つに、メンバーが抱く4つの不安が挙げられます。それは「自分が間違っているかもしれない」「仲間はずれにされるかもしれない」「自分の意見が否定されるかもしれない」「評価が下がるかもしれない」という不安です。これらの不安を解消するためには、チームリーダーが率先して、4つの不安を否定するような雰囲気を作るようにしましょう。
メンター制度やフィードバック制を導入する
メンター制度やフィードバック制度を導入することで、メンバーは安心して相談できる相手を見つけられます。メンターは、メンバーのキャリアを支援し、相談相手となる役割を担います。また、フィードバック制度は、メンバーのパフォーマンスを向上させるために、定期的にアドバイスを提供する制度です。これらの制度を導入することで、メンバーは、心理的安全性を確保しながら、徐々に自分の成長や発展に責任を持てるようになるでしょう。
多様性を尊重する職場文化を育む
多様性を尊重する職場文化を育むことは、心理的安全性を高める上で重要です。これは、メンバーそれぞれが、異なる価値観やバックグラウンドを持っているためです。チームリーダーは、メンバーの個性や多様性を認め、各自が才能を活かせるよう勇気づけましょう。その結果、チーム全体のパフォーマンス向上に繋がるはずです。
まとめ|心理的安全性を築いて、チームを活性化させよう!
この記事では、心理的安全性の重要性、それを高める具体的な方法、そして組織文化について解説しました。心理的安全性を高めることは、チームのパフォーマンス向上、イノベーションの促進、人材の定着など、組織全体の成長と成功に大きく貢献します。ただし、心理的安全性の向上は、決して一朝一夕に達成できるものではありません。継続的な努力と改善を繰り返すことで、理想的な組織文化を築いていきましょう。