人材開発・教育
2025.04.14
レジリエンスとは? 高い人の特徴やビジネスにおけるメリットを解説
- #人材育成
- #職場環境

ビジネスシーンにおいて、レジリエンスは、「困難や逆境に遭遇してもしなやかに乗り越え対応する力」を意味する言葉として用いられます。
この記事では、レジリエンスが会社にもたらすメリットやレジリエンスが高い人材の特徴、会社としてのレジリエンスを高める方法などを詳しく解説します。変化の激しいビジネス環境や市場での対応力にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
レジリエンスとは
「レジリエンス(resilience)」とは、「外的な衝撃を受けたり困難が立ちはだかったりしたときでも、しなやかに乗り越える強さ」を意味し、ビジネスシーンでも注目されている言葉です。個人についても組織についても用いられ、いずれも社会環境の変化の大きな時代において、今後ますます求められる力となると考えられます。
レジリエンスは、もともとは、「回復力」や「復元力」、「耐久力」などの意味を持つ語であり、物体の弾性を表す用語として物理学で使われていた言葉です。ここから「外部からの力が加わっても、元の状態に戻れる力」という意味に転じ、やがて生態学や心理学の分野でも使われるようになり、発展してきました。その後、教育や子育て、防災、温暖化対策など多岐にわたる分野で使われるようになっています。
ビジネスに関連する2つのレジリエンス
ビジネスに関連するレジリエンスとしては、「組織のレジリエンス」と「個人のレジリエンス」の2つが挙げられます。それぞれの内容を解説します。
組織のレジリエンス
ビジネスにおいて、変化の激しい社会や突発的に起こる災害に対応するには、会社としてもレジリエンスを高めなければなりません。レジリエンスが高い会社の共通点は、以下のとおりです。
- 変化や失敗を恐れずに挑戦・成長を続ける
- 予期せぬ事態に対してもしっかりと対応し、事業を継続できる
- BCP対策を取っている
- ITシステムのセキュリティと安定稼動を継続するための機能を強化している
BCP対策とは、自然災害や事故、テロ攻撃などの緊急事態が起きた場合でも、事業を継続するための計画や対策のことです。
レジリエンスが高い会社には、変化や失敗を恐れずに常に挑戦し続けるとともに、予期せぬ事態への対策をあらかじめ講じているといった特徴が見られます。
個人のレジリエンス
個人のレジリエンスは、レジリエンスの高い組織づくりにおいて欠かせない要素です。レジリエンスの高い人には、以下のような共通点があります。
- 物事を柔軟に考えられる
- 挑戦を続けられる
- ストレスや逆境に強い
ビジネスにおいてレジリエンスが高い人は、周囲にさまざまなプラスの影響を与えることが多いといえるでしょう。
レジリエンスが会社にもたらすメリット
会社におけるレジリエンスは、社会環境の変化への対応力や離職の抑制につながります。ここでは、レジリエンスが会社にもたらすメリットを解説します。
社会環境の変化に対応できる
レジリエンスが高い会社は、社会環境の変化に柔軟に対応できます。経済情勢の変化や目まぐるしい技術革新、自然災害など、変化の大きなビジネス環境の中で勝ち抜いていくには、変化への対応力や困難な状況に陥った際の回復力が必須です。
会社としてのレジリエンスが高ければ、環境の変化に適応する力によって、不確実性の高い時代においても安定した成長を継続できるでしょう。
離職を抑制できる
業務量の増加や職場環境の変化などが生じると、社員に大きなストレスがかかることがあります。ストレスが継続的にかかることで、社員が心身のバランスを崩してしまうことも少なくありません。
しかし、社員のレジリエンスが高まると、仮にストレスを感じたとしても、比較的回復しやすく、心身の健康を維持しやすくなります。レジリエンスの向上は、ストレス耐性や適応力、回復力などに直結するためです。そのため、レジリエンスが高い人材が多い会社ほど、心身の不調に起因する離職を抑制できるといえます。
レジリエンスが高い人材の特徴
ここでは、先ほど触れた「個人のレジリエンス」をさらに深掘りしていきます。レジリエンスが高い人材の特徴は、以下のとおりです。
- 柔軟な考え方ができる
- リスクを恐れずにチャレンジできる
- 感情を上手にコントロールできる
それぞれの特徴を解説します。
柔軟な考え方ができる
レジリエンスが高い人には、1つの考え方に固執せず柔軟に対応できるという特徴があります。
ビジネスの現場では、予測できないトラブルや突然の状況の変化に見舞われることも多々あります。しかし、自分の方針や考え方にこだわっていると、目の前のトラブルや変化に対応しづらくなります。柔軟な思考を持つ人は、「これは自分には対応できない」と決めつけるのではなく、「どのようにすれば対応できるか」と前向きに考えられる傾向があります。
レジリエンスが高い人材は、環境の変化や困難な状況、逆境に直面したとしても、前向きに乗り越えていくことができるでしょう。
リスクを恐れずにチャレンジできる
レジリエンスの高い人材は、たとえ挑戦が失敗に終わったとしても、否定的に捉えて落ち込むことはありません。失敗したとしても、「成功するにはどのようにすればよいのか」を考え、また新たな挑戦につなげられます。
多くの人は失敗を恐れるあまり、リスクを取る行動を選択しません。しかし、レジリエンスが高い人材は、リスクを恐れずに挑戦できる力を持っており、知識やスキルを積み上げ飛躍的に成長することができるでしょう。
感情を上手にコントロールできる
感情のコントロールが上手であることも、レジリエンスが高い人材の特徴といえます。
感情のコントロールを上手に行える人は、失敗したりマイナスの指摘を受けたりしたとしても、感情まかせにならず気持ちを切り替えるなどして状況に対応することができます。ストレスや感情を客観的に認識し、心身を良好に保った状態で仕事に取り組むことも得意です。
感情を上手にコントロールできる力は、長期的なストレス耐性にもつながり、モチベーションの維持やパフォーマンスの向上を実現しやすくなります。
会社としてのレジリエンスを高める方法
レジリエンスは、個人だけでなく組織としても高めることができると、先ほど見たようなメリットにつなげられます。会社としてのレジリエンスを高める方法としては、以下の3つが挙げられます。
- 働きやすい職場環境を整備する
- 失敗を受け入れる企業風土を作る
- 自社のミッションやビジョンの浸透を目指す
それぞれの方法を解説します。
働きやすい職場環境を整備する
会社としてレジリエンスを高めるためには、社員が働きやすい職場環境を整備することが重要です。
いかにポジティブな考え方をする人であっても、逆境に直面した際に誰にも助けを求められないような状況が続くと、次第にネガティブな感情を抱えてしまうようになりかねません。
会社は個人のレジリエンスにばかり頼るのではなく、社員のレジリエンスを発揮できるような環境整備を行う必要があります。チームや部署内の社員一人ひとりが、自分の考えをアサーティブに発言できるような環境や、困ったときにチームのメンバーにサポートを求められるような環境を作ることが大切です。
働きやすい職場環境は、社員のストレスを軽減しモチベーションを高めるだけでなく、組織全体の適応力や持続性を高める重要な要素となります。
失敗を受け入れる企業風土を作る
失敗を受け入れる企業風土を作ることも、会社としてのレジリエンスを高めるために欠かせない取り組みです。
会社全体として減点方式の評価が当たり前になっていると、社員としてはチャレンジすることを躊躇してしまうでしょう。また、ミスをした社員が過度に責められる状況では、変化や予期せぬ出来事に対する前向きで柔軟な考え方が失われやすいため、レジリエンスを育てる機会も奪われてしまいます。
組織としてレジリエンスを高めるためには、チャレンジを恐れない積極的な姿勢を評価し、応援する企業風土の醸成が重要です。
自社のミッションやビジョンの浸透を目指す
会社としてのレジリエンスを高めるためには、自社のミッションやビジョンを浸透させることも重要です。
自社のミッションやビジョンは、外部に発信することはもちろん、社内に浸透させることも意識しなければなりません。自社のミッションやビジョンが明確になっていない状態では、社員が自分の判断に自信を持って行動することが難しくなる可能性があります。
社内にミッションとビジョンが行き渡っていれば、会社と社員一人ひとりが目指す方向が一致しやすくなります。その結果、社会環境や市場が大きく変化した場合でも、一丸となって乗り越えていけるようになるでしょう。
なお、社員の挑戦を讃えたり、自社のミッション・ビジョンを社内に浸透させたりするには、エンプロイーサクセスHRプラットフォーム「PeopleWork」の「社内報」機能が役立ちます。「PeopleWork」にご興味をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードして詳細をご確認ください。
まとめ
ビジネスシーンで使われるレジリエンスという言葉は、困難に遭遇しても柔軟に対応できる力という意味で使われます。
レジリエンスが高い会社には、変化や失敗を恐れずに挑戦・成長を続ける、予期せぬ事態にもしっかりと対応し、事業を継続できるといった共通点が見られます。またレジリエンスが高い人材の特徴としては、柔軟な考え方ができる、リスクを恐れずにチャレンジできる、感情を上手にコントロールできるといった点が挙げられます。
働きやすい職場環境を整備する、失敗を受け入れる企業風土を作る、自社のミッションやビジョンの浸透を目指すといった取り組みにより、変化や難局にも立ち向かえるよう、レジリエンスを向上させていけるとよいでしょう。

この記事を担当した人
PeopleX コンテンツグループ
人事・労務・採用・人材開発・評価・エンプロイーサクセス等についての用語をわかりやすく解説いたします。
これまでに出版レーベル「PeopleX Book」の立ち上げ、書籍『エンプロイーサクセス 社員が成功するための7つの指針』の企画・編集、PeopleX発信のホワイトペーパーの企画・編集などを担当しました。
- 株式会社PeopleXについて
- エンプロイーサクセスHRプラットフォーム「PeopleWork」の開発・運営をはじめとした、新しい時代に適合したHR事業を幅広く展開する総合HRカンパニーです。