人事労務
2025.02.05
離職票とは? 離職票の役割や退職証明書・離職証明書との違い、退職から失業手当を受給するまでの具体的な流れを紹介
- #退職証明書
- #離職票
- #離職証明書

退職後、失業手当を受給する際に必要となるのが「離職票」です。手続のタイミングや種類の違いを正しく理解していないと、受給開始が遅れるなどのトラブルが発生するリスクがあります。この記事では、離職票の概要から手続、退職証明書・離職証明書などとの違い、さらに失業手当受給までの流れを詳しく紹介します。
離職票とは?
離職票とは、正式名称を「雇用保険被保険者離職票」といい、退職後に失業手当(雇用保険の基本手当)を申請する際に必要となる書類です。この書類は、退職者が雇用保険に加入していたことや退職理由を証明するためのもので、退職した会社を通じてハローワークが発行します。
離職票の種類
離職票には2種類あり、それぞれ役割が異なります。
離職票-1:雇用保険被保険者の、被保険者番号、氏名・生年月日、雇用保険の資格取得日と喪失日が記載されています。
離職票-2:雇用保険の失業手当を申請する際に重要な離職理由(自己都合、会社都合など)、賃金の支払い状況(直近6か月分の賃金)、雇用保険加入期間が記載されています。
とくに離職票-2に記載される離職理由は、失業手当の給付条件や給付開始時期に大きな影響を与えます。
離職票の役割
離職票は、失業手当を受給するための重要な書類であり、その記載内容は失業手当の給付条件や受給額に直結します。以下に、離職票の主な役割を3つ紹介します。
- 失業手当の申請に必要
- 退職理由の証明
- 雇用保険加入期間の証明
それぞれ詳しく見ていきましょう。
失業手当の申請に必要
離職票は、ハローワークで失業手当を申請する際に必須の書類です。この書類に基づき、失業手当を受給する資格があるかどうかが審査されます。また、給付額や給付期間も離職票の情報を基に決定されます。
退職理由の証明
離職票には、退職理由が詳細に記載されています。退職理由は、自己都合退職か会社都合退職かを判断する根拠となり、失業手当の給付開始時期や制限期間に大きく影響を与えます。たとえば、会社都合退職であれば給付制限がなく、早期に受給が開始されます。
雇用保険加入期間の証明
離職票には、雇用保険に加入していた期間が明記されています。この情報により、失業手当を受給する資格があるか(一般的には12か月以上の加入期間が必要)、また給付額の計算基準となる賃金額が確認されます。
退職証明書や離職証明書との違い
退職後に関わる書類として離職票とは別に「退職証明書」と「離職証明書」がありますが、それぞれの目的や使用場面、発行対象が異なります。
退職証明書
労働基準法第22条に基づき、退職者が会社に請求することで発行される書類で、主に退職者の在籍確認や退職理由を証明するために使用されます。
この書類には、在籍期間や退職理由(自己都合または会社都合)、職種、地位、職務内容などが記載されますが、記載事項は退職者の希望に応じて調整可能です。転職活動や住宅ローン審査など、退職の事実を証明する必要がある場面で利用され、会社は請求があれば必ず発行する義務があります。ただし、退職者が請求しない限り発行されることはありません。
離職証明書
雇用保険に関する手続を進めるために会社がハローワークに提出する書類で、退職者本人には渡されません。この書類は、会社が退職者の雇用保険被保険者資格を喪失させるために使用され、ハローワークが離職票を発行するための基礎資料となります。
記載内容には、被保険者番号、在籍期間、退職理由(失業手当の給付条件に直結する重要な情報)、そして直近6か月分の賃金額が含まれます。発行のタイミングは退職後で、会社がハローワークに「雇用保険被保険者資格喪失届」とともに提出します。
まとめると、離職票は失業手当用、退職証明書は転職や証明用、離職証明書は事務手続用の書類となります。
離職票がもらえないケース
離職票が発行されない場合、失業手当の申請が遅れるなどのトラブルにつながることがあるため、事前に発行条件や注意点を把握しておくことが大切です。以下に、離職票がもらえない主なケースを3つ紹介します。
- 雇用保険に加入していない場合
- 退職後に失業手当の申請を予定していない場合
- 経営難などで会社と連絡が取れない場合
それぞれ詳しく見ていきましょう。
雇用保険に加入していない場合
週の労働時間が20時間未満や、雇用期間が31日未満の短期契約の場合、雇用保険の加入対象外となるため、離職票は発行されません。また、会社側が手続ミスや未加入状態のまま雇用していた場合も、離職票が発行されない可能性があります。
※パートやアルバイトでも、雇用保険加入が条件を満たしていれば対象となります。
退職後に失業手当の申請を予定していない場合
離職票は失業手当申請を前提に発行されるため、退職後すぐに新たな就職先が決まっている場合や、申請の意思がない場合は発行されないことがあります。
経営難などで会社と連絡が取れない場合
勤務先が倒産したり、経営が不安定で連絡が取れない場合、会社から離職票を発行してもらえないケースがあります。この場合、ハローワークに相談して代替手続を取ることが可能です。
他にも、会社が過失により手続を行わなかったり、離職票発行のために必要な書類に不備があった場合なども離職票が発行されないことがあります。
離職票が必要な場合は、適宜、手続の状況を確認しましょう。会社が対応しない場合は、ハローワークや労働基準監督署に相談することで対応を求めることができます。離職票がもらえない場合でも、状況によっては別の手段で対応できるケースもあります。
退職から失業手当を受給するまでの流れ
離職票は、退職後の失業手当申請に欠かせない書類です。スムーズな発行には、退職時に会社としっかり確認を取り、必要書類を迅速に提出することがポイントとなります。
以下に、離職票の発行手続の流れを詳しく紹介します。
- 退職者による書類提出
- 会社によるハローワークへの書類提出
- ハローワークによる確認・離職票の発行
- 会社から退職者への送付
- 求職の申し込み
- 給付制限期間(場合により適用)
- 受給資格の確認説明会への出席
- 失業状態の報告
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.退職者による書類提出
退職が決まったら、会社の担当者に対してその旨を伝えるとともに、雇用保険被保険者証(雇用保険番号が記載された書類)やその他必要書類を提出します。この情報をもとに、会社は雇用保険関係の手続を進めます。
2.会社によるハローワークへの書類提出
退職後、会社は以下の書類をハローワークに提出します。
- 雇用保険被保険者資格喪失届(退職者が雇用保険を喪失したことを届け出る書類)
- 離職証明書(退職者の退職理由や在籍期間、賃金情報を記載した書類)
※このステップでは、退職者が直接行う手続はありません。
3.ハローワークによる確認・離職票の発行
ハローワークは会社から受理した「離職証明書」の内容を確認します。この際、退職理由や賃金の記載に不備がないかを審査します。確認が完了すると、ハローワークが「離職票-1」と「離職票-2」を発行します。
4.会社から退職者への送付
発行された離職票はハローワークから会社に返送され、会社が退職者に郵送、または手渡しで渡します。郵送の場合は、自宅に届くまでにさらに数日かかることがあります。もし、退職前後のタイミングで引っ越しを予定している場合には、退職に関わる書類を記入する際、必ず新しい住所を知らせておきましょう。
5.求職の申し込み
離職票を持参してハローワークに行き、求職の申し込みを行います。求職申し込みをすることで、正式に「求職者」として登録され、失業手当の受給資格が確認されます。
6.給付制限期間(場合により適用)
退職理由が「会社都合退職」や「特定理由離職者」に該当する場合、待機期間終了後すぐに支給が開始されますが、退職理由が「自己都合退職」の場合、待機期間終了後にさらに約2か月間の給付制限期間が適用されます。この期間中も手当は支給されません。
7.受給資格の確認説明会への出席
求職の申し込み後、ハローワークが指定する日に「雇用保険受給資格者のための説明会」に参加します。この説明会では、失業手当の支給条件や手続の流れについて詳しい説明を受けます。参加は必須で、説明会の出席後に手続が進みます。その後、この期間は失業状態が継続していることを確認するために7日間の待機期間が設けられます。この間は手当は支給されません。
8.失業状態の報告
ハローワークから指定された「失業認定日」に出向き、失業状態にあることを報告します。失業認定が完了すると、約1週間後に指定した銀行口座に手当が振り込まれます。以降、次回の認定日まで同様のプロセスを繰り返します。認定日を過ぎると手続が遅れるため、必ず指定日に出向きましょう。
注意点
求職活動は最低2回以上行う必要があり、面接やセミナー参加などが該当します。この活動記録を怠ると失業手当が支給されないため注意が必要です。また、離職票に記載された退職理由が適切でない場合は、ハローワークで訂正を申し出ることが可能です。
離職票の発行や手続の遅延は受給開始の大幅な遅れにつながるため、会社やハローワークと迅速に連絡を取り、手続をスムーズに進めましょう。
まとめ
離職票は、失業手当の受給において欠かせない重要な書類です。退職時には会社に発行を依頼し、内容をしっかり確認しましょう。また、退職後は速やかにハローワークで手続し、待機期間や給付制限期間を考慮して計画的に対応することが求められます。離職票に関するトラブルを防ぐため、事前に手続の流れを把握しておきましょう。