人事労務

2025.03.03

福利厚生費とは? 人件費との関係性や経費計上の条件、おすすめの福利厚生を解説

  • #人事労務
  • #福利厚生
福利厚生費とは? 人件費との関係性や経費計上の条件、おすすめの福利厚生を解説

「人件費と福利厚生費の違いがわからない」

「コストを意識しながらも福利厚生を充実させるには、何に気をつけたらよいのだろうか」

福利厚生の導入にあたり、このような考えを抱いたことがある方もいるのではないでしょうか。この記事では、人件費の中における福利厚生費の位置づけ、および福利厚生費が経費として認められるポイントについて解説するとともに、人材確保につながるおすすめの福利厚生5選を紹介します。

福利厚生の有効活用を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

福利厚生費の意味・位置づけ

福利厚生費は人件費の一部

人件費と福利厚生費は、どちらも社員に支払う費用を指す言葉です。この2つは別のものではなく、人件費は企業が社員に支払う費用の総称で、福利厚生費は人件費の一部にあたります。人件費に含まれるものとしては以下のものがあり、ここに福利厚生費が含まれることを確認しましょう。

  • 給与
  • 賞与
  • 各種手当
  • 退職給付費用(退職一時金や退職年金の引当金など)
  • 福利厚生費

法定福利費と法定外福利費

福利厚生には、法定福利厚生と法定外福利厚生とがあり、これを費用面で見ると以下の2つの種類となります。

  • 法定福利費
  • 法定外福利費

法定福利費と法定外福利費の違いは、会社の負担義務の有無です。法定福利費は、企業による支出が法律によって義務づけられている費用であるのに対して、法定外福利費は、企業が任意で支出する費用です。

法定福利費にあたるのは、健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、子ども・子育て拠出金、雇用保険料、労災保険料ですが、これらを支払わない場合については、懲役や罰金といった罰則があるため、注意が必要です。

一方、法定外福利費は支出の義務や罰則があるものではありません。ただし、社員の満足度や働きやすさに影響するため、支出の項目や金額は十分に考える必要があります。

厚生労働省の調査によると、2020年の法定外福利費の社員1人あたりの1ヶ月平均は、4,882円です。これを下回っている場合、他社と比較して福利厚生の魅力が不足している可能性があり、福利厚生の拡充を検討することも考えられます。他方、これを大きく超えている場合は、人件費が高くなりすぎている可能性があります。コストが嵩み経営の悪化につながるおそれもあることに留意してもよいでしょう。

参照:厚生労働省「令和3年就労条件総合調査 結果の概況」

福利厚生費が経費として認められるポイント

福利厚生費は、経費として計上可能であり、節税効果が期待できます。ただし、法定外福利費に関しては、経費計上可能な福利厚生費として認められるには、以下の4つの条件を満たさなければなりません。

  • 給与ではないこと
  • 全社員が対象とされていること
  • 金額が社会通念上妥当であること
  • 税制上の金額の範囲内であること

それぞれについて以下で確認しましょう。

給与ではないこと

給与については当然ながら福利厚生費には該当しません。また、現金や、商品券など換金性の高いものは、給与として扱われ福利厚生費としては認められない可能性が高いといえます。

全社員が対象とされていること

福利厚生費として経費計上が認められるには、すべての社員に平等に機会が与えられた支給であることが必要です。一部の社員しか利用できないものは、福利厚生費としては認められないため、誰もが利用できるような制度設計を行いましょう。

具体的には、一部の社員や役員のみが参加できる懇親会の費用などは、福利厚生費としては認められません。また、クライアントとの食事会など社外関係者に支払った費用は、福利厚生費ではなく交際費とされます。

金額が社会通念上妥当であること

福利厚生費は、常識の範囲内の金額である必要があり、社会通念上妥当であることが求められます。海外旅行費といった高額な費用は、福利厚生費として認められないことは覚えておきましょう。

また、全社員を対象とする忘年会や新年会、歓送迎会などの費用は一般的に福利厚生費に該当しますが、高額すぎる場合や開催頻度が高すぎる場合、交際費や給与にあたるとされる可能性があります。

税制上の金額の範囲内であること

福利厚生費として経費計上が認められると課税の対象となりませんが、非課税となる上限額が定められているものもあります。ここでは、食事代と通勤手当について解説します。

食事代

非課税の福利厚生費として計上できる食事代の上限額は、1人あたり月3,500円です。そのほか、以下の条件を満たす必要があります。

  • 社員が食事の価格の半額以上を負担していること
  • 現物で支給していること

食事代が福利厚生費として認められるのは、弁当などの現物を支給したときのみです。飲食店で食事をした際に支払った食事代を精算した場合は、福利厚生費とは認められません。ただし、深夜勤務者に現物を支給することができない場合には、1食あたり税抜300円以下であれば、福利厚生費として計上可能です。

参照:国税庁|No.2594 食事を支給したとき

通勤手当

通勤手当は、利用する交通手段によって上限額が異なります。電車やバスといった公共交通機関を利用した際の上限額は、月15万円です。通勤にかかる費用は、最も経済的かつ合理的な経路で計算するとされ、グリーン料金は福利厚生費には含まれません。

マイカーで通勤した場合の1ヶ月あたりの上限額は、距離によって変わります。詳細は以下のとおりです。

通勤距離(片道)上限額(1ヶ月)
2キロメートル未満上限額なし(全額課税)
2キロメートル以上10キロメートル未満4,200円
10キロメートル以上15キロメートル未満7,100円
15キロメートル以上25キロメートル未満12,900円
25キロメートル以上35キロメートル未満1万8,700円
35キロメートル以上45キロメートル未満2万4,400円
45キロメートル以上55キロメートル未満2万8,000円
55キロメートル以上3万1,600円

公共交通機関とマイカーの両方を通勤に使用している場合は、合計15万円が1ヶ月あたりの上限額となります。

参照:国税庁|No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当
参照:国税庁|No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当

人材確保にも有効な、おすすめの福利厚生

福利厚生は、給与や賞与以外に社員が得られる報酬の一つです。そのため、福利厚生の充実は、会社の魅力を高める要因となるでしょう。

どのような福利厚生を用意しているかは、会社によってさまざまです。ここでは、おすすめの福利厚生を5つ解説します。人材確保につながる魅力的な福利厚生の導入を目指しましょう。

特別休暇

特別休暇とは、法律に定められた休暇とは異なり、会社が独自に設ける休暇のことです。慶弔休暇やリフレッシュ休暇のほか、結婚や引っ越し、家族の病気や介護の際に休暇を取得できる例があります。

導入に大きなコストがかからないため、どの会社でも比較的採用しやすい福利厚生といえるでしょう。導入にあたっては、単に制度を設けるだけでなく、実際に取得できる体制作りをすることが肝心です。

家賃補助・住宅手当

家賃補助や住宅手当は、社員の住居費をサポートする費用です。給与水準が低い傾向にある若年層や、生活費の高騰する地域の社員にとって、家賃補助や住宅手当は非常に魅力的な福利厚生といえるでしょう。

会社にとってコストがかかる福利厚生の一つですが、優秀な人材確保が期待できるのであれば、導入の意味は十分にあるといえます。

社員旅行・懇親会

社員全員を対象とする社員旅行や懇親会も、おすすめの福利厚生です。福利厚生として導入することで、社内のコミュニケーションの活性化や、社員のリフレッシュ効果が期待されます。

社員旅行や懇親会を開催するポイントは、強制的にではなく希望者が楽しんで参加できるようにする点です。自由参加とすることで、社員が負担を感じることなくイベントを開催できます。

健康診断

健康診断を行うことは労働安全衛生法で企業に義務づけられており、法定の検査項目については基本的に企業が費用を負担します。しかし、オプション検査や人間ドックなど、基本的には社員の自己負担となるものについて、福利厚生の一つとして企業負担とするケースもあります。社員は少ない負担で健康管理ができ、会社は社員が病欠するリスクを軽減できることから、双方にとって魅力があるサービスといえます。

なお、健康診断の費用を福利厚生費として計上するには、全社員が対象となっていること、妥当な範囲内の金額であることという上述した条件のほかに、企業が医療機関へ直接支払いをしていることが必要である点に注意してください。

資格取得・学習支援

資格取得支援や学習支援も、福利厚生費として認められます。具体的には、セミナーへの参加費や参考書の購入費の補助が挙げられます。

社員の自己研鑽を支援することで、モチベーションアップにつながることはもちろん、スキルアップによる生産性の向上も期待できるでしょう。資格取得支援や学習支援を導入する際は、誰でも公平に利用できるように、対象となる資格や上限額を明確にし、社員に周知することが重要です。

まとめ

福利厚生費は人件費の一部で、給与や賞与以外で社員に支払う費用を指します。そして、全社員を対象とし、社会通念上妥当とされる金額内のものであれば、経費として計上することが認められます。ただし、食事代や通勤手当など一部の福利厚生費については、非課税となる上限額があることに留意しておきましょう。

福利厚生は、会社の魅力を高めるサービスの一つです。魅力的な福利厚生を導入することで、より安定的な人材確保の実現につなげましょう。

PeopleWorkの資料を無料でダウンロードいただけます

PeopleWorkの資料

下記について詳しく解説しています

  • 3分で分かる「PeopleWork」
  • 活躍人材を生み出す仕組み
  • 料金プランについて

PeopleWorkの
導入をお考えの方へ

CONTACT

導入に関するお問い合わせ

導入に関してご不明点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

ESTIMATION

見積もりを依頼する

お客さまのご状況に合わせて、最適なプランを担当者よりご提案します。

DOWNLOADS

お役立ち資料ダウンロード

社内説明等に活用いただける各種製品資料を無料でダウンロードいただけます。