人材開発・教育
2024.12.19
【企業向け】中間管理職に求められる役割やストレスを抱えやすい理由、必要なスキルを磨く方法などを紹介
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組織の方針や目標を現場に浸透させ、実行を支援する役割を担う中間管理職は、上司と部下の架け橋として複雑な調整を求められるポジションです。この記事では、中間管理職の役割やストレスを抱えやすい理由、必要なスキルの育成のポイントなどについて詳しく紹介します。
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中間管理職とは?
中間管理職とは、組織において上位層と現場の社員の間に位置する管理職を指します。企業によって具体的な役職名は異なりますが、一般的には課長や部長がこれにあたります。中間管理職は、経営層からの戦略や目標を理解し、現場での実行を支援しながら、現場の意見を上層部に伝える役割を果たします。
以下に、中間管理職の主な役割を3つ紹介します。
- 経営戦略の実行支援
- チームマネジメント
- 人材育成
それぞれ詳しく見ていきましょう。
経営戦略の実行支援
中間管理職の一番の役割は、経営層の戦略や目標を日々の業務に反映できるように、チームの舵を切ることです。これにより、組織全体の方向性が一貫し、目標が明確化します。この役割がなければ、現場が組織の方針を理解できず、全体としての一体感が欠け、成果に影響を及ぼす可能性があります。
チームマネジメント
中間管理職には、部下のパフォーマンスとモチベーションを管理する責任があります。目標設定、進捗管理、パフォーマンス評価などを通じてチーム全体が組織目標に向かって動けるようにします。また、メンバー一人ひとりに適切なフィードバックを行うことで、各自が成長を感じ、チームの一体感が高まります。
人材育成
部下の成長を支援し、スキルや知識の向上を促進することは、中間管理職の重要な役割です。各メンバーのキャリア目標や能力に応じた指導やトレーニング機会の提供を通じて、彼らが将来の組織の中核となるようサポートします。この育成により、組織全体のスキルレベルが向上し、組織の競争力を高めるとともに、部下のやりがいや定着率も向上する効果が期待できます。
参照:日経HCラボ
「ハブ」としての役割
中間管理職は、組織間のコミュニケーションを円滑にし、部門間の連携や組織の一体感を保つための「ハブ(結節点)」としての役割があり、上下、または部門を超えた左右の調整を通じて、効率的で活気ある職場づくりに貢献することが求められます。
以下に、中間管理職のハブとしての役割を具体例を踏まえて3つ紹介します。
- 経営層から現場への情報伝達
- 現場から経営層へのフィードバック
- 部門間の調整役
それぞれ詳しく見ていきましょう。
経営層から現場への情報伝達
経営層からの方針や目標、戦略を現場に浸透させるのは中間管理職の重要な役目です。経営層のビジョンを現場に伝えやすい言葉で解説し、現場が日常業務に取り入れやすい形に落とし込むことで、経営と現場が一体感を持って行動できるように支援します。たとえば、経営層が「コスト削減」を方針とした場合、現場のスタッフには「消耗品の無駄遣いを避ける」「在庫管理の工夫」といった具体的な行動に落とし込んで伝達します。
現場から経営層へのフィードバック
会社の方針を伝える一方で、現場で起きていることや社員の声、直面している課題を経営層に報告し、組織全体の改善に役立てることも中間管理職には求められます。このフィードバックが適切であればあるほど、経営層はより現実的な判断を下しやすくなり、意思決定に反映させることが可能となります。たとえば、新しいプロジェクトの進捗状況や問題点を経営層に報告し、改善策や追加リソースの必要性を伝えることも中間管理職の役目です。
部門間の調整役
異なる部門同士の橋渡しを行い、部門間の連携を促進することも重要です。たとえば、営業部門と製造部門の間でのコミュニケーションを円滑にすることで、顧客の要望が伝わりやすくなり、製品の改善が促進されることが考えられます。
経営層と現場の間には、しばしば異なる視点や価値観のギャップが生まれます。このギャップを埋め、両者が納得する形で調整を行うのも中間管理職の「ハブ」としての大切な役割です。現場の立場に立ちつつ、経営層の意向を適切に伝えるため、柔軟な対応力が求められます。
中間管理職がストレスを抱えやすい理由
中間管理職は、その立場から生じる多面的なプレッシャーによりストレスを抱えやすい傾向にあります。上層部と現場からの双方の異なる期待や要望に応える必要があるからです。
とくに「上司と部下の板挟み」という立場は大きな心的負担となります。上層部からは厳しい目標や成果が求められ、その結果に対する責任は中間管理職に重くのしかかりますが、一方で、現場の社員からは目標に対する不満や実務的な苦労の声が聞こえてきます。
経営層と現場の意見の調整役を担うことから、双方の意見や立場の違いに振り回されるとともに、意見が通らない時にはその矛先が向けられ、心理的な負担が増します。
また、部下の指導・育成も担っており、部下一人ひとりの成長や悩みに対応しなければならないという重責も負っています。全員をサポートしきれないジレンマを抱え、「支えたいけれど十分でない」という自責の念がストレスにつながりやすいのです。
こうした背景から、中間管理職にはある程度の精神的な強さやストレスへの耐性も求められると考えられます。
中間管理職に向いている人の特徴
中間管理職には、チームを支えるための対人スキルや状況に応じた対応力が求められます。とくに資質や性格の面で適性があると、周囲と良い関係を自然と築きやすく、円滑な業務運営に役立ちます。以下に、中間管理職に向いている人の特徴を5つ紹介します。
- 高いコミュニケーション能力
- 相手を理解する共感力
- 人の成長を喜べる面倒見の良さ
- 組織全体を見渡せる広い視野
- 問題解決能力
それぞれ詳しく見ていきましょう。
高いコミュニケーション能力
中間管理職は、上司や部下、他部署との連携を担うため、意見をわかりやすく伝える力や、相手の話をしっかりと聞く姿勢は欠かせません。相手の立場を理解しながら、誰にでも心を開けるコミュニケーション力の高さは、中間管理職の基礎を支える重要な素質と言えるでしょう。
相手を理解する共感力
中間管理職は、部下や上司、他部署と関わる場面が多く、相手の気持ちを理解して対応することが求められます。共感力がある人は、他人の考えや感情を感じ取り、配慮しながら行動できるため、同僚や部下からの信頼も得やすく、上司との調整もうまく進められる傾向にあります。
人の成長を喜べる面倒見の良さ
他の社員やチームメンバーの成功を自分の喜びとして感じられる人は、部下の力を引き出す指導や支援が自然にできます。面倒見が良く、人をサポートしたり育成したりすることにやりがいを感じられる性格は、中間管理職として大きな強みになります。
組織全体を見渡せる広い視野
個々のタスクだけでなく、組織全体の流れや目標を理解し、全体を俯瞰して観察する広い視野があると役に立ちます。経営層のビジョンやミッションを理解し、現場での実務に落とし込んで物事を判断できる力も必要です。
問題解決能力
現場で問題や課題が発生する中で、状況を冷静に分析し、適切な解決策を見つける力は中間管理職に欠かせない能力です。問題を見逃さず、改善のための行動が取れることは、チームの安定した運営と成長につながります。
このような性質はトレーニングによって身につけることも可能ですが、日々の業務においても表層化されるため、次期の中間管理職を見極める基準にもなるでしょう。
中間管理職育成のポイント
中間管理職を効果的に育成するためには、業務の専門的知識に加え、リーダーシップやマネジメントスキルといったソフトスキルを磨くことが求められます。以下に、中間管理職に求められるソフトスキルと、その磨き方を4つ紹介します。
- リーダーシップスキルの強化
- コーチングスキルの習得
- フィードバック力の向上
- ロジカルシンキングの実践
それぞれ詳しく見ていきましょう。
リーダーシップスキルの強化
中間管理職には、チームをリードし、目標を達成するためのリーダーシップが求められます。リーダーシップを養うには、ミーティングの進行役を務めることが良い練習になります。意見が偏らないように場を仕切りながら、メンバーの発言を引き出すことで、全員が参加する環境を作る訓練ができます。
コーチングスキルの習得
中間管理職は、部下の成長とスキル向上を支援する役割も持っています。そのため、質問を使って部下自身に気づきを促す技術や、目標達成に向けた行動計画をサポートする「コーチングスキル」の習得が有用です。コーチングスキルはeラーニング環境でも効果的に学べます。
フィードバック力の向上
中間管理職には、チームや部下の業績を適切に評価し、建設的なフィードバックを行う役割もあります。たとえば、同僚が作成した資料や提案書について、「ここがわかりやすかった」と具体的に伝えつつ、「この部分をさらにこうするともっと良くなりそうですね」などと前向きな改善点を提案することで、実践的なフィードバック力が身につくでしょう。
ロジカルシンキングの実践
日常的に発生する業務の課題やトラブルを迅速に解決するには、物事を論理的に整理し、筋道を立てて考える「ロジカルシンキング」を身につけることが大切です。たとえば、プロジェクトが遅延している場合、遅延の要因を小さく分け、作業量、コミュニケーション不足、リソース不足などの要素に整理し、どの要因が遅延に直結しているか因果関係を見極めるようにすることで、実践を通して磨くことが可能です。
まとめ
中間管理職は、上層部と現場の間で業務方針を実行に移し、チームを指導・育成、また部門全体の調整役として組織全体の目標達成を支えます。その一方で、上司と部下の板挟みに合うため、ストレスを抱えやすい一面もあります。中間管理職に求められるスキルには、リーダーシップやコーチング、ロジカルシンキングなどがあり、これらのスキルを伸ばすにはeラーニングのような座学に加え、日々の業務における実践的な学びも有効でしょう。