人材開発・教育
2025.01.23
5W1Hとは? ビジネスでの具体例やメリット、注意点を解説
- #ビジネススキル

ビジネスにおいては日々、情報伝達や情報整理を正確・適切に行うことが求められます。その際、「5W1H」というフレームワークを活用することが効果的であり、これによりコミュニケーションの円滑化を期待することもできます。
この記事では、5W1Hの意味や使用例、活用するメリット、注意点を解説します。5W1Hを活かした業務・コミュニケーションを考える上で、ぜひ参考にしてください。
5W1Hの意味
「5W1H」とは、情報や物事を整理して伝達するために有効なフレームワークのことです。5W1Hを活用することで情報が整理され、業務改善や戦略の立て直し、新事業の発掘につながる可能性があります。
5W1Hは、以下の6つの要素で構成されます。
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(誰が)
- What(何を)
- Why(なぜ)
- How(どのように)
ここではまず、それぞれの要素の意味と必要性を見ていきましょう。
When(いつ)
「When(いつ)」とは、時間に関する要素のことです。日時や期間・期限・時期・タイミングが該当します。具体例を以下で確認しましょう。
- ○○時に
- ○○日までに
- ○ヶ月後には
- ○○年後に
Whenを明確にすることで、今後のスケジューリングやデッドラインを正しく把握できます。また、時間の要素を情報に加えることで、今後の展望や大きな流れをイメージしやすくなるでしょう。
Whenが明示されていないと、具体的なスケジューリングが進まない、期限内の遂行ができないといった問題が生じるおそれがあります。
Where(どこで)
「Where(どこで)」とは、場所に関する要素のことです。特定の地名やエリア、建物名、部屋などが該当します。また、Web上のURLや仮想空間、ファイル名など、概念的な場所も含みます。具体例を以下で確認しましょう。
- ○○支店で
- ○○社ホームページで
- ○○案件ファイルで
- オンライン会議システム上で
Whereを明示することで、対象となっているものの規模や周辺環境のイメージが可能になります。また、場所がはっきりすることで、移動時間やコストの把握も可能です。
会議を開く際などはWhereを示すことは不可欠であるほか、Whereが明確でないと、プランの具体性が下がり不十分な構想となることがあるかもしれません。Whereが決まっているときは、漏れなく伝えることが肝心です。
Who(誰が)
「Who(誰が)」とは、人物に関する要素のことです。個人名だけでなく役職名やチーム名、会社名なども含まれます。具体例を以下で確認しましょう。
- 私が
- ○○部長が
- 顧客の○○企業が
- ○○チームが
Whoを明示することで、交渉や相談が必要な相手を明確にできます。また、責任者をはっきりできるといった効果も期待できるでしょう。
Whoが明確でないと、ターゲットが不明確で戦略が立てづらくなります。Whoに誰が含まれるかによって、WhenやWhere、後述するWhat、Howが変わることも少なくないことに留意するとよいでしょう。
What(何を)
「What(何を)」とは、対象に関する要素のことです。実在するモノはもちろん、サービスやプロジェクト、議題、価値といった概念も含まれます。具体例を以下で確認しましょう。
- 問い合わせがあった○○を
- ○○商品を
- 課題である○○を
Whatを明示することで対象の中身や目的が明確化され、具体的なアイデアや課題が出やすくなります。
Whatが正しく伝わっていない場合、内容に誤解が生まれ、認識のズレや食い違いが発生する可能性もあるため、正確かつ具体的な伝達を心がけましょう。
Why(なぜ)
「Why(なぜ)」とは、理由・根拠や原因、背景に関する要素です。さらに、目的・目標を示す場合もあります。具体例を以下で確認しましょう。
- ○○を達成するために
- ○○の発生を抑えるために
- ○○の問題を解決するために
何か問題が生じたときにWhyを意識して原因を明示すると、再発防止に役立てられます。また、プロジェクトの目的をはっきりさせるためにWhyを明示すれば、円滑で効率的な進行につなげられるでしょう。
Whyが明示されていないと、目指す目的が不明確になり業務効率が下がる可能性があります。とくに、個人ではなくチームなど複数人で物事を遂行する場合は、Whyを共有し足並みをそろえて業務を進められるように心がけることが重要です。
How(どのように)
「How(どのように)」とは、手段や方法に関する要素です。そのほか、「どのような」という状態や、「どのくらい」という程度を示すこともあります。具体例を以下で確認しましょう。
- ○○を使って
- ○○に依頼して
- ○○を実行することで
Howを明示することで、具体的な取り組みや手順がわかります。これにより、業務の効率化を図れるでしょう。
Howが明確でないと、戦略を実行するための具体的な手段がわからず業務がストップする可能性があります。Howを言葉だけで伝えるのが困難な場合は、お手本を示すことも効果的です。
合わせて押さえておきたいフレームワーク|7W1Hや5W2H、5W3H
5W1Hとよく似たものとして、5W1Hに要素の加わった7W1Hや5W2H、5W3Hがあります。それぞれの概要は、以下のとおりです。
項目 | 概要 |
---|---|
7W1H | 5W1H+「Whom(to Whom:誰に/with Whom:誰と)」「Which(どちら)」 |
5W2H | 5W1H+「How much(いくら)」 |
5W3H | 5W1H+「How much(いくら)」「How many(どのくらい)」 |
7W1Hは人物に関する要素が増えるため、関係者についての情報量が増えます。5W1Hよりさらにターゲットやペルソナを明確にすることで、より効果的な施策を打ち出すことができるでしょう。
5W2Hや5W3Hでは、コストや規模に関する情報が増えます。これにより、どのくらいの費用や人員が必要なのかが明確になり、正しい予算作成やコスト管理を実現できます。
5W1Hのビジネスにおける具体例
ビジネスの現場で、5W1Hは実際にどのように活用できるでしょうか。ここでは、5W1Hの使い方について、具体例を挙げて解説します。
報連相をするとき
クレーム対応をしたことを上司に報告する際は、以下のような5W1Hが考えられます。
- いつ(When):今日15時に
- どこで(Where):カスタマーサービスセンターで
- 誰が(Who):私が
- 何を(What):お客様が示された商品の返品・交換対応を
- なぜ(Why):購入した商品に不良品があったとクレームを受けたため
- どのように(How):対面で、返品・交換マニュアルに沿って
5W1Hを用いて、上司に情報を漏れなく伝えることで、わかりやすく行き違いが少ない伝達を目指せます。
指示出しをするとき
1週間後に取引先とプロジェクトのミーティングをするよう部下に指示を出す際の5W1Hは、以下のようになります。
- いつ(When):1週間後に
- どこで(Where):取引先が指定する場所で
- 誰が(Who):プロジェクト担当者が
- 何を(What):プロジェクトのミーティングを
- なぜ(Why):取引先にプロジェクトの進捗状況を伝えるため
- どのように(How):対面で資料を活用して
指示出しをするときも、5W1Hを意識したいタイミングです。指示の内容が一度で正確に伝わらないと、二度手間が発生する可能性もあります。正しい指示出しを心がけ、スムーズな業務進行を目指しましょう。
企画書を作成するとき
3ヶ月後に新商品の配布イベントを開催するための企画書を作成する際の5W1Hは、以下のようになります。
- いつ(When):3ヶ月後に
- どこで(Where):ショッピングセンターで
- 誰が(Who):自社広報部が
- 何を(What):新商品のサンプルを
- なぜ(Why):新商品の認知度を上げるため
- どのように(How):ショッピングセンターにいる方に配布する
企画書は、相手がイメージできるようなより具体的な内容で作成することが重要です。必要に応じて、「How much」や「How many」も活用してください。
マーケティングを実施するとき
半年後に新商品を販売するためにマーケティングを実施するときの5W1Hは、以下のようになります。
- いつ(When):半年後に
- どこで(Where):ECサイトで
- 誰が(Who):自社マーケティング担当者が
- 何を(What):新商品の情報を
- なぜ?(Why):オンラインショッピングを頻繁に活用する世代に向けて、ECサイトで自社製品を販売するため
- どのように(How):20代〜30代に向けたオンライン広告やキャンペーンを活用して
このように5W1Hを活用することで、マーケティングも効果的に実施することができます。
ブランディングを実施するとき
新たなロゴを用いて、自社の認知度アップとブランディングを図るための5W1Hは、以下のようになります。
- いつ(When):通勤時間帯
- どこで(Where):電車内で
- 誰が(Who):自社広報部が
- 何を(What):新たなロゴを用いたブランディング広告を
- なぜ?(Why):認知度アップとブランドの確立のため
- どのように(How):電車通勤をする方に向け、車内広告を展開することで
ブランディングを実施するには、とくにターゲットや方法を明確にすることが重要です。「How much」や「How many」も明確にすると、よりスムーズに進められます。
5W1Hをビジネスに取り入れるメリット
ここまで解説してきたとおり、5W1Hはビジネスにおけるさまざまな場面で活用することができる汎用性の高いフレームワークです。5W1Hをビジネスに取り入れるメリットを確認し、ぜひ積極的に取り入れてください。
情報の正確なやり取りが可能になる
5W1Hを取り入れると、過不足なく正確かつ適切なやり取りが可能になります。
ビジネス上のトラブルは、情報の行き違いや認識違いにより発生することも少なくありません。5W1Hを意識したコミュニケーションを実施することで、情報の行き違いによるトラブルを未然に防げるでしょう。また、情報がしっかりと共有されることで、目的や道筋の明確化による業務効率向上も期待できます。
情報が整理され新たな視点が生まれる
情報を整理し可視化することができる点も、5W1Hを取り入れるメリットの一つです。
情報が整理されず散らかった状態では、新たな視点を持つことは難しくなります。5W1Hの活用により、これまでになかった視点で物事を捉え、アイデア創出や課題の発掘につなげられる可能性があります。新たなアイデアや課題を得て、新商品や新サービスの誕生につなげることも期待できるでしょう。
5W1Hを使う際の注意点
さまざまな場面で活用できる5W1Hですが、注意点もあります。
5W1Hの要素のすべてを意識しすぎると、情報が多くなりすぎ話が冗長になるおそれがあります。そうなると、かえって情報がうまく伝わらず混乱を招くかもしれません。
情報をよりよく伝えるには、場合によっては5W1Hに固執せず端的に伝えたほうがよいケースもあります。円滑なコミュニケーションのためには、情報の量や内容、相手の状況に合わせて、5W1Hを上手に活用しましょう。
まとめ
5W1Hとは、情報や物事を整理して伝達するために有効なフレームワークです。コミュニケーションに取り入れることで、情報を正確にわかりやすく伝えられます。情報が整理されることで、業務効率化や新たなアイデアの創出も期待できるでしょう。
5W1Hには、派生形となる7W1Hや5W2H、5W3Hもあります。伝えたい情報や相手によって使い分けることで、より円滑なコミュニケーションを実現してください。