人材開発・教育
2025.02.05
エニアグラムとは? 9つの性格タイプや診断を行うことで得られるメリット、ビジネスへの応用方法などを紹介
- #エニアグラム
- #性格診断

エニアグラムは、現代社会における自己理解の重要性と他者との良好な関係構築に役立つツールであり、ビジネスやカウンセリング、教育分野など、さまざまな場面で活用されています。この記事ではエニアグラムの基礎知識から具体的な9つの性格タイプ、ビジネスシーンへの応用例などを詳しく紹介します。
エニアグラムとは?
エニアグラム(Enneagram)は、人間の性格を9つのタイプに分類し、それぞれの特徴や行動傾向を理解するための心理学的・自己啓発的なツールです。9つの性格タイプが円形に配置される図形(エニアグラム図)に基づき、その人の本質的な性質やタイプ別の相性などを診断できます。
エニアグラムの性格タイプを調べるには、専門の書籍やウェブサイトで提供されている診断テストを利用する方法があります。
エニアグラムのメリット
エニアグラムによって性格を診断するメリットは、自己理解と他者理解を深め、人生のあらゆる場面でより良い選択をするための指針を得ることにあります。以下に、エニアグラム診断から得られるメリットを3つ紹介します。
- 自己理解や自己成長の促進
- 他者理解と共感の向上
- チームのパフォーマンス向上
それぞれ詳しく見ていきましょう。
自己理解や自己成長の促進
エニアグラムはその人の行動の背後にある「根本的な動機」や「恐れ」を明らかにします。これにより、自分がなぜ特定の選択や反応をするのかを深く理解でき、そこから自分の強みを活かし、短所に対処する方法を見つけることができます。またそこから、自分の成長のために必要な具体的な方向性を見出すことができます。
他者理解と共感の向上
他者の性格タイプを理解することで、相手の行動や考え方の背景を知ることができます。これにより、共感力が高まり、効果的なコミュニケーション方法を選ぶことができるようになります。誤解や対立を減らすことも可能です。また、人それぞれの特性を尊重し、多様な価値観を受け入れる姿勢を育む助けとなります。
チームのパフォーマンス向上
エニアグラムを用いることで、チームメンバーの得意分野や適性に応じた役割分担が可能になります。たとえば、リーダーがメンバーの性格タイプを理解することで、個々のモチベーションを引き出しやすくなり、チーム全体のパフォーマンスが向上します。
エニアグラムの目的は、個人や組織が持つ可能性を最大限に引き出し、成長と調和を実現することです。自己認識を深めるだけでなく、他者との相互理解を通じて、豊かでバランスの取れた人生を築くための強力なツールと言えるでしょう。
エニアグラムの具体的な分類
エニアグラムの性格タイプは、それぞれの内面的な動機や行動パターンをもとに9つに分類されています。
タイプ1:改革者・理想主義者
タイプ2:助け手・献身家
タイプ3:達成者・成功者
タイプ4:芸術家・個性派
タイプ5:研究者・観察者
タイプ6:懸念者・忠誠者
タイプ7:楽観主義者・冒険家
タイプ8:リーダー・保護者
タイプ9:調停者・安定者
以下に、それぞれの性格における基本欲求・恐れ・特徴・健康的な状態・非健康的な状態の5つに分けて解説します。
タイプ1. 改革者・理想主義者
基本欲求:物事を正しくしたい、公正でありたい。
恐れ:間違っている、または堕落していると見られること。
特徴:責任感が強く、正義感に燃える一方で、他人や自分への厳しい態度を取る時がある。
健康的な状態:倫理的で公平、理想に向かって努力する。
非健康的な状態:過度に厳格、批判的、完璧主義。
タイプ2. 助け手・献身家
基本欲求:他人に愛され、必要とされたい。
恐れ:見捨てられる、または愛されないこと。
特徴:他者への献身的な態度が強く、自己犠牲的な傾向がある。
健康的な状態:愛情深く、共感力があり、支援的。
非健康的な状態:執着的、自己犠牲が過剰になりすぎる。
タイプ3. 達成者・成功者
基本欲求:成功し、有能でありたい。
恐れ:失敗する、または価値がないと思われること。
特徴:成果主義で目標達成に意欲的、競争心が強い。
健康的な状態:自信に満ち、目標達成能力が高い。
非健康的な状態:虚栄心や自己中心的な行動に陥る。
タイプ4. 芸術家・個性派
基本欲求:自分が特別で独自性を持っていると感じたい。
恐れ:自分に特別な価値がないと感じること。
特徴:感受性豊かで芸術的、感情の深みを追求。
健康的な状態:独創的、感情を表現する力がある。
非健康的な状態:自己憐憫や疎外感に陥る。
タイプ5. 研究者・観察者
基本欲求:知識を得て理解し、周囲に影響されない自立を保ちたい。
恐れ:無知である、自分が無力だと感じること。
特徴:知識欲旺盛、冷静で分析的。
健康的な状態:知識を共有し、独創的なアイデアを生み出す。
非健康的な状態:孤立、情報に執着しすぎる。
タイプ6. 懸念者・忠誠者
基本欲求:安全と安心を求めたい。
恐れ:支えがない、不安定な状況に直面すること。
特徴:警戒心が強く、信頼できる存在を求める。
健康的な状態:責任感があり、協力的。
非健康的な状態:過度に疑念を抱き、不安定になる。
タイプ7. 楽観主義者・冒険家
基本欲求:自由と楽しさを追求したい。
恐れ:苦痛や制限された状態に陥ること。
特徴:陽気で楽観的、新しいことへの挑戦が好き。
健康的な状態:多才で、冒険的なアイデアを持つ。
非健康的な状態:無責任、快楽主義的になる。
タイプ8. リーダー・保護者
基本欲求:自分を守り、コントロールを維持したい。
恐れ:他人に支配される、または弱みを見せること。
特徴:自己主張が強く、力強い存在感がある。
健康的な状態:カリスマ性があり、公正なリーダーシップを発揮。
非健康的な状態:支配的で攻撃的になる。
タイプ9. 調停者・安定者
基本欲求:安らぎと調和を求めたい。
恐れ:対立や不和に巻き込まれること。
特徴:穏やかで、他者との調和を重視。
健康的な状態:思いやりがあり、包括的な視点を持つ。
非健康的な状態:怠惰になり、問題を先送りにする。
ビジネスにおける活用例
エニアグラムはビジネスの場において、部下への指示出しやチームメンバー選びなどにも役立ちます。各性格タイプの特性を理解することで個々の能力を最大限に活かすことができるでしょう。
以下に、ビジネスにおける活用例を、具体的な性格タイプを交えて4つ紹介します。
チームビルディングと役割分担
エニアグラムを用いることで、メンバーそれぞれの性格タイプを理解し、適切な役割分担を行うことができます。たとえばタイプ8の性質を持つ人は、リーダーシップを発揮し、困難な状況下でも決断力を持って物事を推進します。新規プロジェクトの立ち上げや危機管理のリーダーとして活躍する一方で、独断的になりがちな場合もあるため、周囲が適切にフィードバックを行うことが重要です。
コミュニケーション改善
エニアグラムを活用することで、メンバー間のコミュニケーションを円滑にし、職場の人間関係を改善できます。たとえば、タイプ2の性質を持つ人は、他者を助けることに喜びを感じ、職場でも同僚やクライアントに尽力します。しかし、他者の要求に応えすぎて疲弊することがあるため、感謝の言葉を伝えたり、無理をしすぎないよう配慮することが求められます。
ストレスマネジメント
エニアグラムを使えば、社員やチームメンバーがストレスを感じた際の反応を予測し、適切にサポートすることができます。たとえば、タイプ7の性質を持つ人は、楽観的で新しい挑戦を楽しむ性格ですが、ストレスがかかると現実逃避に走る傾向があります。このような状況では、具体的な数値目標や優先順位の明確化をサポートすることで、心の健康状態を維持できます。
採用や人材育成
性格タイプを理解することで、採用時に適性を見極めたり、社員の育成計画を立てやすくなります。たとえばタイプ4の性質を持つ人は、クリエイティブな発想力を持ち、デザインや企画の分野で力を発揮します。ただし、感情に左右されやすい一面もあるため、目標や期待を明確に伝えることが求められます。
エニアグラムの注意点
エニアグラムは科学的な心理学の理論というよりも、自己啓発や自己認識のための実践的ツールと見なされています。必ずしも科学的根拠に基づくものではないため、診断結果を絶対視しないことが重要です。
あくまでも自己理解や他者理解を深めるための参考情報として活用し、結果に縛られすぎないようにしましょう。他者を特定のタイプに当てはめて固定的に判断するのではなく、その人が持つ個性や状況を尊重し、多角的な視点で接することが大切です。
また、診断結果には個人情報が含まれる場合が多いため、取り扱いにはプライバシーへの十分な配慮が必要です。これらの点を意識して活用することで、自己理解や人間関係の向上といったメリットを最大限に引き出すことができるでしょう。
まとめ
エニアグラムは、人間の性格を9つのタイプに分類し、それぞれの特徴や行動傾向を理解するためのツールです。ビジネスシーンでは、個人やチームの能力を引き出すことにも役立ちます。性格タイプごとの特性を理解することで、部下への指示やチーム編成が効率化し、コミュニケーションも円滑になります。ただし、結果を絶対視せず、参考情報として柔軟に活用することが重要です。エニアグラムを導入することで、組織全体の生産性向上や職場環境の改善が期待できるでしょう。