人事労務
2025.03.03
ユニークな福利厚生制度の導入事例、導入メリットやポイントを解説
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福利厚生は、人材確保や、社員の満足度・モチベーションの向上、企業への帰属意識強化のための重要な手段です。多くの企業で導入されている定番の福利厚生もありますが、中には、他社にはない独自の着眼点から設けられたユニークな福利厚生もあります。
この記事では、ユニークな福利厚生の例を解説します。導入するメリットや、導入する際のポイントもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
ユニークな福利厚生制度を導入するメリット
福利厚生の導入は、企業に以下のようなメリットをもたらします。制度の内容がユニークなものであれば、これらのメリットはさらに大きくなるでしょう。
- 社員のモチベーション向上
- 人材確保と社員の定着
- 企業のブランドイメージ向上
- 法人税の節税
それぞれの内容を確認しましょう。
社員のモチベーション向上
福利厚生には、社員のモチベーションを高める効果があります。ユニークで社員のニーズを満たすような制度内容であれば、より一層、仕事に対する意欲が高まるでしょう。
人材確保と社員の定着
福利厚生の充実は、人材流出の防止や、人材を引きつけることにもつながります。企業独自のユニークな福利厚生を設けると、職場環境の魅力がより向上し、長期的に働いてもらうことや、求職者の関心を高めることが期待できます。
企業のブランドイメージ向上
福利厚生は、「社員を大切にしている」という姿勢を社外に示す効果があります。他社にはないユニークで魅力的な福利厚生であれば、世間からの注目も集まりやすく、さらなるイメージアップ、ブランド価値の向上につながるでしょう。
法人税の節税
一定の条件を満たす福利厚生は、経費として扱われ非課税となり、節税効果が見込める点も、メリットです。
ただし、ユニークで良い福利厚生を導入したいとしても、条件を満たさない場合には、給与として扱われ、所得税の対象となることに注意しましょう。映画やスポーツ観戦のチケットなどの換金性の高いものや、一部の社員しかが使用できないもの、金額が妥当でなく高額なものなどは、課税対象になる可能性があります。
近年の福利厚生制度のトレンド
続いてユニークな福利厚生の事例を見ていく前に、近年のトレンドを知っておきましょう。
近年、仕事と生活のバランスを保ち、心身ともに健康な状態で長く働けるためのサポートが福利厚生として求められる傾向にあります。
たとえば、人間ドック受診の補助、有給休暇以外の病気休暇制度や病気休職制度、治療と仕事の両立支援策などが代表的な制度です。また、社員のストレス解消・メンタルケアにも役立つ、リフレッシュ休暇や、有給休暇の日数の上乗せなども人気があります。
こうしたトレンドも踏まえ、自社でどのような制度を採用すべきかを検討するとよいでしょう。
ユニークな福利厚生制度の事例
ここからは、ユニークな福利厚生の制度の導入事例について解説します。実際にどのような制度を導入するか悩んでいる場合は、ぜひ参考にしてください。
24時間365日フード・ドリンクが無料
多様な働き方をする社員のために、24時間365日にわたり社内のカフェを営業している事例があります。ランチビュッフェやパン、お菓子、ドリンクがすべて無料で提供されており、いつでも小腹を満たせるだけでなく食費の節約が可能です。
提供されるランチにはアンチエイジングプレートがあったり、1品1品カロリー表示・適量目安表示がされていたりと、カロリーやアンチエイジングを気にかける社員のニーズに応えています。
おやつについても、脳を活性化させ集中力を高めるぶどう糖が入ったものを用意するなど、社員の健康と生産性向上につながるように配慮されています。
お菓子を無料で提供
どら焼きやチョコレートなどさまざまな種類のお菓子をすべて無料で提供する「フリースナック制度」を導入している企業があります。お茶やコーヒーなどもすべて無料で飲めることもうれしいポイントといえるでしょう。
このようにお菓子を無料で提供するのは、仕事の合間や休憩時間に社員がリフレッシュやストレス解消効果を得られるようにするためです。また、エネルギー補給や集中力維持の効果も期待できます。
参照:アポロ株式会社 note
食べたラーメンの画像の共有で費用を支給
ラーメン通販サイトの運営会社が実施する、「ラーメン飲食手当」という福利厚生があります。これは、ラーメン店でラーメンを食べた際、その写真と味やお店に関するコメントを社内で共有すると、飲食代が原則として全額支給されるという、ユニークな制度です。
ラーメンの話をきっかけとして社内のコミュニケーションを活性化させることや、社員がラーメン業界に関する知見を広げ、ユーザーの体験価値向上につなげることをねらいとしています。
参照:グルメエックス株式会社
健康診断で総合A判定なら報奨金支給
健康診断で総合A判定の場合、健康報奨金が支給されるというユニークな福利厚生の制度を採用している企業もあります。
健康診断で総合A判定を獲得した社員は3万2,000円、肥満気味の判定が出た社員は、翌年に基準値をクリアすれば1万円の健康報奨金が支給される制度です。さらに、会社が契約しているスポーツジムは1,000円で利用することが可能です。
社員の健康意識を高め、自ら生活習慣の見直しに取り組む動機づけとなることが期待できます。
花粉症手当の支給
「花粉症手当」という手当が支給される例もあります。支給されるのは、花粉症の診察費用や上質ティッシュ、マスク、目薬などです。花粉症に関連する支出の負担が軽減されるため、社員から支持される福利厚生制度といえるでしょう。
花粉症の症状が重い場合、仕事の生産性に大きな影響を及ぼします。そのため、近年は全社的に花粉症対策に取り組む企業が増加傾向にあります。
社内副業制度の導入
社内副業とは一般に、所属部署とは別の社内の部署で働くこと、また、それを認める制度のことを指します。社内副業を導入する会社も出てきていますが、中には、複数の部署に自分のスキルを提供する働き方という捉え方をしている会社もあります。ここでは、社員は有償の業務委託という契約形態で他部署に自分のスキルを提供することができ、社員のキャリア自律を加速させています。
この会社では、もともと「出社は権利」や「給料は自分で決める」といったユニークな文化があり、社員が働き方を自分で選択できる土壌がありました。各社員のライフスタイルや能力に合わせた多様な働き方、また、常識にとらわれない組織の在り方を実践するひとつの形となっています。
参照:株式会社ガイアックス
オンラインピルの処方費用の補助
オンライン診療と低用量ピルの処方にかかる費用を補助する制度を設ける会社もあります。生理やPMS(月経前症候群)などの女性特有の健康課題に悩む社員は、医師による診察をオンラインで5〜10分ほど受けた後、郵送で薬を受け取ることが可能です。生理やPMSのつらい症状を緩和し、日々のパフォーマンス・生産性向上を後押しすることを目的としています。
この会社は、「社員一人ひとりの生産性を高め、事業成長を加速させる」ことをポリシーとして、あらゆる社内制度を設計しています。「PMS症状に悩まされている」「生理痛で思うように仕事ができない」といった声が複数寄せられていたこともあり、生理・PMSが課題感の強いテーマとして意識され、対象者が多いことや大幅な生産性向上が見込まれることから導入に至りました。
参照:Sansan株式会社
昼寝を制度として導入
就業時間中に15分〜20分程度、昼寝(仮眠)をとることを認める例も見られます。「パワーナップ」とも呼ばれる短時間の昼寝には疲労回復の効果があり、リフレッシュしたり集中力や作業効率を高めたりすることを目的に取り入れられています。
参照:株式会社OKUTA
参照:日本経済新聞 電子版
次世代育成手当の支給
出産費用や養育費の補助のための支給を独自に行う企業もあります。子ども1人につき1万3,000円を支給するケースや、出産時に一時金として子ども1人につき100万円を支給するケースなど、企業によって支給金額や支給条件はさまざまです。手当を支給することで、子育て中の社員の経済的な負担を軽減します。
参照:さくらインターネット株式会社
参照:大和ハウス工業株式会社
猫手当の支給
猫手当という制度を設け、捨て猫や保健所から引き取った猫を飼う社員に対して、月5,000円の手当を支給している企業があります。飼い猫を連れて出社することも認められており、会社全体で猫の飼育に力を注いでいます。恵まれない猫の保護を通じた社会貢献を目的としたものですが、社員のコミュニケーションが生まれるきっかけにもなっています。
参照:ファーレイ株式会社
ユニークな福利厚生制度を導入する際のポイント
ここでは、ユニークな福利厚生制度を導入する際に、押さえておきたいポイントを解説します。
社員のニーズを踏まえて検討する
ユニークな福利厚生の制度を導入しようとする際は、必ず「社員のニーズはあるか」という点を確認しましょう。
どんなにユニークな福利厚生でも、社員のニーズとずれていると、利用されずに終わってしまうでしょう。面白さのみを追求してしまい、独りよがりな取り組みになってしまうと、社員に還元できません。
社員のニーズを反映させるためには、あらかじめ「あったらうれしいと思う福利厚生」について、アンケートやヒアリングを実施しておくとよいでしょう。また、ユニークな福利厚生の制度を思いついたら、部分的に導入して、社員に感想を聞いてみることもおすすめです。
実際に福利厚生を使うのは社員です。社員の声やニーズを汲み取り、制度に反映させましょう。
社外にも積極的にアピールする
ユニークな福利厚生を導入する際は、社員に対してだけでなく、社外にも積極的にアピールするとよいでしょう。ユニークな福利厚生の存在が社外でも話題になれば、「自分もこんな会社で働きたい」と考える人が増え、人材確保が容易になります。
ユニークな福利厚生を取り入れれば企業のイメージも向上するため、魅力的な制度がある場合は、ホームページやプレスリリースなどを活用して、社外に向けて上手に情報発信していきましょう。
まとめ
ユニークで魅力的な福利厚生の制度は、社員の満足度やモチベーションを向上させることが期待できるのはもちろん、発想力のある人材がいることや、常識にとらわれない企業であることのアピールにもなります。また、社員を大切していると評価され、企業のブランド価値も向上するでしょう。
ただし、どんなにユニークな制度であっても、社員のニーズと合致していなければ、十分に利用されることはないでしょう。面白さを追求するあまり、社員に還元されないといった状況を回避するためにも、社員のニーズがあるかどうかを事前に確認することが大切です。
ユニークな福利厚生の制度を導入しようとしている場合は、社員の声やニーズを汲み取ることを意識しましょう。