株式会社さんだん花 導入事例
介護の魅力を再定義。職員の個性と貢献をポジティブに評価し合いたい
株式会社さんだん花 代表取締役 天願 荘子 氏
株式会社さんだん花 専務取締役 𠮷村 忠 氏
株式会社さんだん花 統括部長/介護福祉士 町田 淳子 氏
- 導入の背景
- 職員それぞれの頭の中にしかなかった情報を可視化したい
- 導入の決め手
- 介護のアセスメントシートの「職員版」として活用イメージがわいた
- 社名
- 株式会社さんだん花
- 業種
- 医療・福祉
- 従業員数
- 101名~300名
- 課題
- 社員交流・エンゲージメント
- エリア
- 九州沖縄
導入の背景
小さい花が集まって咲く「サンダンカ」のように、職員が集い、支え合う組織
天願:弊社は2001年に設立した、介護保険サービスを提供する事業者です。現在は、沖縄県の宜野湾市と嘉手納町で、デイサービス、サービス付き高齢者向け住宅、グループホーム、鍼灸整骨院、居宅介護支援といった事業を運営しており、グループ全体で約120名の職員が在籍しています。
高齢の方々がより良い日常生活を送るためのお手伝いをするとともに、職員、取引先の誰もが、満足を得られ気持ちよく集える組織でありたいと考えています。「蝶を集めるには花を育てよ」という言葉を会社のスローガンに掲げていますが、キラキラとした花に蝶が引き寄せられていくように、会社という土づくりによって根や枝葉を大きくし、美しい花を育てていくからこそ人が集まってくれる、というイメージをもって会社を運営しています。
社名も花の名前ですが、これは宜野湾市の「市の花木」でもある「サンダンカ」に由来します。小さい花が集まって1つの大輪のように見える花なのですが、生命力の強さでも知られています。このサンダンカのように、ここに集う一人ひとりが家族のような温もりで寄り添い、支え合い、力を合わせてより良い地域を目指しましょう、という想いも、とても大切にしています。
組織というものは人間の身体と同じで、それぞれが自らの役割を果たしながらやりがいを持って働き、学び合い、変化を続ける「生きた存在」であると考えています。私自身、社長という立場にありますが、それは特別に偉いわけではなく、一つの役割を担っているに過ぎません。職員一人ひとりが自分の役割を果たしつつ、お互いを支えながら働く――「お互い様」「おかげ様」という精神を大切にしようと、皆にはよく伝えています。
会社設立から間もない21年前、私は25歳で社長になりました。それまで経営の経験は何もなかったのですが、いきなり人事評価をしなければならない立場になり途方に暮れたことを覚えています。そこで父に相談したところ、「自分より年長の部長たちを”評価”するなんておこがましい。そうではなく、一人ひとりの長所を見つけることで、良いチームプレーが生まれるよ」と言われたのです。そこで、欠点を指摘するよりも長所を見つけて向き合うことを大事にしようと決め、今日に至ります。日ごろの会話の中で褒め合うことを大事にしていますし、仮に誰かに対してネガティブな空気感が出てきたら、別の誰かがその人の良いところを話題に挙げるといったバランスを心がけています。
町田:各部署の部長が集まる会議でも「この人にはこんな良いところがある」といったことを積極的に共有するようにしていますね。
吉村:部長会のほかにも、部署ごとの会議や日々の朝礼・終礼がありますが、そこでも同じように意識しています。
天願:社内の雰囲気づくりの取り組みとして、他には「職場づくり提案書」というものを設けています。皆が考えている小さな工夫やアイディアを書いて出してもらうのですが、その内容が承認されたらその数だけ表彰を行い、さらにその中からMVPを決めるという機会を年に1回もっています。そのほか、普段話をしない人とも交流を持てるようにバーベキューを企画したり、「ハーリー」という沖縄の地域のお祭りに皆で参加したりと、親睦を深め、思ったことを声に出しやすい環境を作るようにしています。20代前半から70代までと幅広い世代の職員が一緒に仕事をしているので、誰もが長く働けるようにといつも工夫しています。
町田:わからないことがあれば気兼ねなく聞いてもらえる環境を作ることも大事です。年に2回行っている社内の研修会も、そのような場として機能するように計画しています。今は勤務時間内に1時間、世代を問わず、各回3人~5人を対象として小規模で研修(勉強会)を実施しているのですが、普段現場では忙しかったり改まった相談はしづらかったりして聞けないようなこともここで聞けて良い、と言ってもらえています。
吉村:研修会の後にはアンケートを書いてもらうことにしているのですが、そこから職員一人ひとりの力量や想いも見えてきて、この人はこう評価すべきではないか、次はこれを任せてはどうか、といった気づきにもつながっています。
導入の決め手
介護のアセスメントシートの「職員版」として
町田:先ほど天願が申し上げた通り、弊社は家族のような温かい雰囲気を持つ職場です。業務の話だけでなく、趣味やお互いの人となりについても、すでに十分理解し合っていると感じています。そのため、「スキルや趣味を可視化するツール」の導入については、正直なところ最初は少し懐疑的でした。
しかし、PeopleXの営業担当の方からデモを見せていただき、詳しく説明を受ける中で、職員それぞれの頭の中にしかなかった情報を共有し、自由に検索できる仕組みができると、大きな価値があることに気づかされました。
天願:われわれの組織の強みの1つに、定着率の高さが挙げられます。この15年以上、離職率は3%以下を維持しており、さらに退職しても再び戻ってくる職員が6割いますので、実質的には2%を下回ると言えます。人事施策が一定の成果を上げているという捉え方もできると思いますが、今後さらに多様な人材を迎え入れたり、適材適所をより進めたりするためには、職員の情報を共通のプラットフォーム上で一元管理することの重要性が、一層高まると感じています。
介護の業界では、利用者の個々の状況に応じた適切なケアにつなげるため、生活の自立度や要介護度をまとめた「アセスメントシート」というものを利用者個人ごとに作成します。「PeopleWork」はそれと似ている部分があり、「職員のスキルや状況をまとめていく職員版アセスメントシートである」と伝えると社内での導入もしやすそうだという印象を受けました。
(参考:「PeopleWork」のプロフィール画像抜粋)
また、人事評価のために「人事考課セルフチェックシート」を使っていますが、今は紙ベースで実施しています。これもプラットフォーム上で管理することで、個々人のセルフチェックの結果はもちろん、「賞賛したい職員」の情報などもデータとして蓄積していくことができるのも嬉しいことです。アナログな部分がまだ多い会社・業界ではありますが、「PeopleWork」を利用することで化学反応が起きて会社での取組みをもっと良くしていけるだろうと期待しており、グループ全体で活用していきたいと考えています。
今後期待すること
職員の個性をプラットフォーム上で表現したい
天願:介護業界と聞くと、「大変ですね」といった声をよくいただきます。それは、「介護」に対する漠然としたイメージが一人歩きし、実際のやりがいや可能性が十分に知られていないからではないかと感じています。確かに、一見地味で大変な仕事と思われがちではあるものの、実は職員一人ひとりが個性を発揮する場面が多く、人間力やコミュニケーション力が鍛えられる機会にあふれた仕事です。
例えば弊社では、利用者様に「孫」のように接し、他の職員には見せないような表情を引き出す「孫系介護」、拒否反応のある方にもうまく気分を乗せて入浴や外出を楽しんでいただく「ポジティブ介護」、髪型やお化粧などへの気遣い、さらには足の指の間まで丁寧にケアをする「ビジュアル重視型介護」など、職員それぞれの得意分野や特性に基づいてスキルをパターン分けし、個性を最大限に発揮しています。こうした独自のフレーズや考え方を、「PeopleWork」の中で可視化できたら良いですね。
この二十数年、本当にさまざまな試練がありました。それでも、何度倒れても立ち上がる、そのたびにただ起き上がるだけではなく、転んだときに周りにあるものをすべて吸収して次の力に変えるーーそんな「七転び八起き」の精神で、私たちさんだん花グループは成長してきました。この姿勢を支える考え方を「PeopleWork」を活用してより一層社内に浸透させていくとともに、介護の仕事の多様な魅力を業界外の人にも伝えたり、この宜野湾や嘉手納という地域をもっと良くしていくことにも貢献していきたいと思っています。